『和菓子』といただく風上麦酒・其の弐『慢性的賛歌』
(和菓子と合わせてみたい…)
ラベルから感じた印象をもとに、風上麦酒製造の定番3種の食べ合わせを考える『ジャケ合わせ』に挑戦する。
第2回目は「黄」こと『慢性的賛歌』だ。
■カミツレとショウガの香味が口内に舞う『トリプル』
同ビールの元となっているスタイルは「ベルジャン・トリプル」。
複雑でマイルドなスパイシー、時にはフルーティーな香りが特徴的な、色が明るめの高アルコールビールだ。
『慢性的賛歌』にはそこに「リンデン」「ジンジャー」「カモミール」を使っているというのだから驚きだ。
以下、感じた特徴をまとめてみようと思う。
●カモミールが香り、そこにリンデンやジンジャーがアロマに厚みをつけている。甘辛いニュアンス。
●口に含むとモルトの甘味を感じる…や否や、口内にリンデンやカミツレのフレーバーが満開に。
●舌の上にはショウガの辛味がじんわりと。芳醇な香味を惜しませる、辛口の日本酒のようなキレがある。
何だか祝福されている時のような、気分が高揚するのが分かる。ジンジャーの辛味が麦芽の甘味に緊張感をもたせていて素敵だ。
■多様な香味を受け止められる素材の味と食感。それは【サツマイモ】だった
君には彼がいいに違いない、飾らず、素材の味を忘れない【芋ようかん】だ(私の中では『黄』が女性だ)。
甘物にも主菜にもなるサツマイモ。和と洋、甘味と塩味…様々な香味に対応できる万能食材を、このビールに合わせてみる。
果実や洋食の香辛料を思わせる『黄』の香りがイモの甘味を引き立てる。また、その甘味と「食感」がビールの余韻に広がる辛味をしっかりなだめた。アルコールの熱やカモミールの印象が、どこかイモ焼酎や紅茶とスイーツすら連想させるのも面白い。
多彩な『黄』の個性を、羊羹の包容力がすべてを受け止めた。お似合いだよ、君たち。
「ショウガ」「カモミール」「スパイス」「フルーツ」どれを合わせても美味しい食材からイメージされたのが甘い薩摩芋だったのだ。
「干しイモ」もチャレンジしてみたが、食感に物足りなさを感じ、ビールの辛味に押し負けた印象だった。「焼き干し芋」にしたら、より甘みが増し、テクスチャーもやわらかくなじみやすくなるのでいいかもしれない。
明日はラスト。「緑」こと『崇高な侵略者(すうこうなしんりゃくしゃ)』にアプローチを試みる。
《Beer Profile》
商品名:慢性的賛歌(まんせいてきさんか)
アルコール度数:8.0%
原材料:麦芽・ホップ・酵母・リンデン・カモミール・ジンジャー
【Next Number】
和菓子といただく風上麦酒・其の参『崇高な侵略者』
https://www.jbja.jp/archives/15413
【Back Number】
和菓子といただく風上麦酒・其の壱『無意識の承認』
https://www.jbja.jp/archives/15410
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