元気回復飲料「リストラティブ・ビバレッジIPA」―ビアレポート(138)
疲れている私です。
年度末というのはなかなか忙しい時期でして、体力的にも精神的にも疲労している感じがあります。季節の変わり目ということもあり、体調を崩してしまった方もいるのではないでしょうか。自分の場合、体力的にはともかく、精神的な疲労にはやっぱりビールがよく効きますので、ビールで気持ちを回復させる毎日です。
さて、今回ご紹介するのはブリュードッグ「リストラティブ・ビバレッジIPA」です。
いつものことながらジャケ買いなのですが、いまの自分にはぴったりのビールでした。なぜなら、日本語の商品名では「リストラティブ・ビバレッジIPA」となっていますが、缶には長い名称が書かれているのです。「RESTORATIVE BEVERAGE FOR INVALIDS AND CONVALESCENTS」と。
インポーター資料によると、直訳すると「病人と病気上がりの方用の元気回復飲料」だそうです。自分はまだ病気にはなっていませんが、元気回復という意味ではまさにぴったり。
そもそも、古代エジプトではピラミッド建設に従事した人たちの疲労回復飲料としてビールが飲まれていたり、日本でも明治時代には滋養強壮によいということで薬局で売られていたのですから、ビールは健康にいいのです。そうなのです(実際に病気の時の飲酒は控えてください)。
なお、このビールは、1843年に出版されたジョナサン・ペレイラ医師の本からインスピレーションを受けていて、その本には「IPAは、もっとも滋養強壮に役立つ」という記載があるそうです。
調べてみました。
その本のタイトルは「A Treatise on Food and Diet」。この本はGoogleブックスで読むことができます。無料です。なんと便利な世の中になったことか。200ページにその記載があります。
It is carefully fermented, so as to be devoid of all sweetness, or, in other words, to be dry; and it contains double the usual quantity of hops: it forms, therefore, a most valuable restorative beverage for invalids and convalescents.
簡単に訳してみると、
「それ(IPA)はじっくりと発酵されるので甘さがなく、言い換えるとドライな味わい。そして、通常の2倍のホップを使用している。なので、病人と病み上がりの人には最もよい回復飲料である」
といった感じでしょうか。
ここに出てきましたね。「restorative beverage for invalids and convalescents」という文章が。これがこのビールの名称となっているわけです。
では、飲んでみましょう。圧倒的なマンゴー、パイナップル、ピーチを思わせるアロマ。苦味は、序盤からジリジリとフィニッシュまで持続します。甘味はないわけではないですが、IBU100超の苦味によって控えめな印象。ペレイラ先生の言うとおり。
なるほど。洋の東西を問わず、「良薬は口に苦し」なんですね。
【BEER DATA】
リストラティブ・ビバレッジIPA
生産地:イギリス
醸造所:ブリュードッグ
スタイル:IPA
アルコール度数:8.7%
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。