(ベアレン)アルトのご案内
岩手県盛岡市にあるベアレン醸造所は2001年2月の設立から16年に渡り日本の地ビール、クラフトビールをけん引してきたブルワリーである。過日新工場の建設も発表しますます勢いを増すブルワリーだ。
特に地元、盛岡と人のつながりを大切にして来たが、今後海外への進出も視野に入れより一層うまいビールを日本中に届けてくれるはずだ 。
さて、そんなブルワリーからのニュースメールが届いた。
寒い盛岡から熱い情熱と知識を持ってビールのスタイルについて教えてくれる、プロ用のニュースメールである。
毎回深い知識とビール愛でいっぱいのメールであり、個人的にもとても楽しみにしている。
今回はドイツのデュッセルドルフ市の地元ビールであり、ベアレン醸造所のレギュラービールでもある「アルト」に関してマースジョッキも溢れんばかりの愛を語ってくれている。
一介の、アルトビールファンとして皆様に知って頂きたく、ご許可を頂き発表させて頂く。
以下、ベアレン醸造所からのニュースメール
ベアレン醸造所の高橋です。今回は「アルト」のご案内です。なかなか地味な存在なので、皆さんも魅力を伝えにくいかと思います。私なりに、「ベアレン アルト」の魅力をお伝えしつつ、改めて「アルト」の美味さをしってもらいたいと思います。
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アルト、というとドイツ語で「オールド」(古い)という意味になります。しかし、実際にビールの液体自体が古いわけではなく、伝統的な製法で作られる古いスタイル、という意味合いからきています。
・ネーミングについて
そもそもドイツでは、ビール純粋令が発布される前から存在していた「アルト」ですが、当時は「アルト」(古いスタイル)ではなかったと思われます。いわゆるレトロニムで、ラガービールが発明されて世の中に広まった時にそれを「ノイ」ドイツ語で「新しい」ビール、と呼んでいました。そうなると、今まであったビールはそれに対してオールドスタイル、ということになるわけで、一つのビアスタイルとして残ったのが「アルト」ということになります。
・ドイツビールにおける例外的存在
ドイツスタイルのビールにおいて唯一、「大麦麦芽100%の上面発酵ビール」が「アルト」です。 ビール純粋令において、「麦芽、ホップ、水のみで作ること」という文言とは別に、「大麦麦芽のみで造られるビールは下面発酵酵母を使用」、「小麦やライ麦の麦芽を使うビールは上面発酵で造る」と決められています(パンの原料となっている小麦、ライ麦を宮廷で確保するため)。ビール純粋令より以前に、デュッセルドルフを中心に確立されていた「アルト」は、例外として、大麦麦芽100%での上面発酵ビールとして認められており、琥珀色で、上面発酵由来のエステルのような香り、華やかな香りを感じさせます。そこに、モルトの風味、ホップの香りの違いを醸造所ごとに表現しているのですが、見た目がほとんど一緒。そしてドイツビールらしく、「ドリンカブル」が故、たくさん飲むほどにその魅力を強く感じることができる、飲み飽きしない味わいが真骨頂です。
・IPA主流が故の分かりにくさ、だからこそ玄人好み(私見)
ホップのキャラクターを前面に押し出したクラフトビールがここ数年多く見受けられます。そのため、1杯のインパクトによる差別化が求められているように思います。しかしながら、あえて「たくさん飲む」ということで知ることができるビールの楽しみを知ってもらいたいです。飲み口が軽やかだけど、アフターで感じるエステル香やモルトの香り少し焦がしたようなパンや蜂蜜のようはニュアンス・・・
上記の特徴は、ホップで差別化する差の1/10程度の範囲かもしれません。 だからこそ飲み飽きない。それがアルトの最大の特徴だと思います。それを語ることが出来るのは、「たくさん飲んでこそわかる魅力」を理解している、プロの方々なんだと思います。
ビール純粋令の前から、脈々と受け継がれて、生き残っている「アルト」。伝統あるビール造りを尊重しているベアレン醸造所としてはこのアルトの魅力を伝えていただけたら、本当にうれしく思います。
転載ここまで。
滋味ながらもファンの多いアルトビール。
日本でも多くのアルトビールが造られており、その品質は本場ドイツのアルトビールにも負けない。
ぜひより多くの方に楽しんで頂きたい。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。