[ブルワー,新商品情報]2017.5.29

テイスティングレポ:オレの町のフルーティーなビール「Darguner Weißbier(ダルグナーヴァイツェン)」

ドイツの人に「どのビールが一番おいしい?」と質問すると、決まって同じ答えが返ってきます。
そんな素晴らしいビール、どの醸造所だと思いますか??

正解は
「オレの町のビールが一番うまいに決まっている」ですって。

ドイツにはどんな小さな町でも、決まって広場と教会と醸造所があります。
醸造所付属のレストランやビアガーデンは、地域の人が集まって憩うコミュニケーションの場。
自分の育った町のビールが一番。
これって、好きなのはビールとビールを介して生まれる故郷のコミュニティそのものなんでしょうね。

さて、ドイツには沢山の“故郷”があり、沢山のビールがあります。
今回テイスティングしたのは、ダルグンという故郷の「Darguner Weißbier ダルグナーヴァイツェン」
日本へは横浜にある富士貿易株式会社が3月から輸入をしています。
ドイツ語ではWeißbier(ヴァイスビア)なのですが、日本ではあえてよく知られているヴァイツェンと商品名が付けられています。

ドイツ北東部メクレンブルク=フォアポンメルン州にあるダルグンという人口4,500人ほどの小さな町のビールで、多くのドイツビールにあるように、町の名前が付けられています。
ダルグンが誇る”オレの町のビール”です。

デンマークにも近いダルグンでは、1172年からデンマークの僧侶たちによりビール造りが行われてきました。
緑と湖に輝く町には、廃墟となった修道院や城が点在し、まるでおとぎ話に出てきそうな雰囲気。

あまり耳慣れない醸造所ですが、ドイツ農業協会(DLG)の「ドイツ連邦栄誉賞」も受賞しているドイツでもトップクラスの醸造所です。

ヴァイツェンとはドイツ語で「小麦」の意。
小麦麦芽を50%以上使用し、上面発酵により醸造した南ドイツ発祥のビールです。

ダルグナーのヴァイツェンは、無濾過のため酵母とたんぱく質が缶の底に残っています。
ですがら、美味しくいただくためのヴァイツェン特有の注ぎ方があります。

後ほど手順を紹介するとして、早速テイスティングしてみます。

こんもりと盛り上がるクリーミーな泡。
グラスから広がるパッションフルーツやバナナ、オレンジなどのトロピカルフルーツを連想させる甘い香り。
ひと口すすると、期待を裏切らない濃厚な味わいが口いっぱいに広がります。
フルーティーな甘さのあとから現れるクローヴのようなスパイシーさ。
炭酸ガスの刺激によって甘味はすーっと消え去り爽やかな印象ですが、フルーティーな余韻がいつまでも舌の上に残ります。
苦みはほとんど感じられず、ジューシーかつ軽やかな味わい。

ラガービールしか飲んでこなかった方は驚かれることでしょう。
今年ビールデビューしたばかりの若者や、苦いのが不得手という女性にも飲んでもらいたいビールです。

Darguner Weißbier(ダルグナーヴァイツェン)
生産国:ドイツ
醸造所:Darguner Brauerei
原材料:麦芽、ホップ、水
アルコール度数:5.1%

~ヴァイツェンをおいしく飲むためのスペシャルな注ぎ方~
・ボトル・缶を卓上に優しく転がし底に溜まった酵母を均一にならす。
・10秒ほど待ってから開栓し、グラスを水平近くまで傾け、ビールを小さい落差で4/5ほど注く。
・残り1/4はボトルを左右にスイングさせ下に溜まった酵母をさらに混ぜ、グラスに注ぐ。
・乾杯!! グラス上部ではなく底部分を打ち合わせる。

私は香りをより感じやすくなるチューリップグラスを使用していますが、
可能であればくびれのあるヴァイツェン専用グラスがおすすめです。
ヴァイツェン特有の白く濁ったグラデーションと豊かな泡を最後まで楽しむことができます。

缶に口を付けて直接飲むのは絶対にNG!
注いだ時にちょうどいいように炭酸が強めになっているので、直接口を当てるとピリピリという印象になります。
何より、ビールの香りを楽しむことができませんから。

普段使いのグラスでもプラカップでも、なければマグカップでも構いませんから、カップに移してからお楽しみくださいね。

Dargunerダルグナー醸造所富士貿易

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

コウゴ アヤコ

ビアジャーナリスト

1978年東京生まれ。看護師を経て、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール(タビール)」をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールに惚れこみ1年半ドイツで生活したことも。『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『BRUTUS』(マガジンハウス)など様々なメディアで執筆。

最近はキャンプとサウナにドハマり中。そこにもやはりビールは欠かせない。最高の「ビアキャンプ」&「ビアサウナ」を求めて、日本全国津々浦々旅をしている。

■執筆歴■
-海外生活情報誌ドイツニュースダイジェストで「旅ールのススメ」連載中
ビール小話 (ドイツニュースダイジェスト)2009~16年連載
-東海教育研究所かもめの本棚onlineにて「旅においしいビールあり」
-クラフトビールで乾杯!(日本トランスオーシャン航空機内誌Coralway2020年9.10月号特集)
-ビール王国(ワイン王国)
-ビールの図鑑・クラフトビールの図鑑(マイナビ)
-BRUTUS(マガジンハウス)
-an・an(マガジンハウス)
-CanCam(小学館)
-DIME(小学館)
-東京人(都市出版)
-るるぶキッチンmagazine 秋冬号(JTBパブリッシング)
など
■出演歴■
-アサデス。7(KBC九州朝日放送)
-KURASEEDS(J-WAVE81.3FM)
-食べて!歌って!まるごとユーロ!ドイツ語(NHKラジオ第2)
-トークイントーク(フレンズFM)
-売れ筋RANKING~クラフトビール(KTSライブニュース)
-よじごじDays(テレビ東京)
など

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