[ブルワー]2017.6.2

日本の地ビールを探して 忽布古丹醸造

日本で本当の意味での地元に根差したビールとは存在していない。と言えば言い過ぎだろうか?

最も地元に根差したビール(≒地ビール)に近いのは沖縄のオリオンビールであろう。
しかし、そのオリオンビールを始めほとんどのビールはビールの原材料を輸入に頼っている。
国産の、さらにその地方の原材料だけで恒常的にビールを造っている醸造所は私は聞いたことがない。
もしご存知であればぜひ教えて頂きたい。

しかしながらここ数年「このままではいけない。」と日本国内産の原材料を意識して醸造したり、
ホップだけでもと各地方でそれぞれの醸造所がホップの栽培を始めたり、地元の農家と協力して
地ビールを造ろうとしている。
モルト≒大麦も同じだ。
地元の大麦でビールを醸す。それを目指している醸造所も多くなってきた。
どちらも植物であるので育成条件がありどこでも出来る訳ではない。
ゆえにどちらか一方だけに注力している醸造所が大半だ。
さらにモルトに関しては大麦(もしく各種穀類)を精麦する技術は難しく、
とても素人の思いつきで出来る事ではないらしい。

そんな中で北の大地で「あのおじさんのホップ」でビールを造ろうとしている醸造所がある。
いや生まれようとしている。

「忽布古丹醸造(ほっぷこたんじょうぞう)」

「北海道・上富良野で、地ホップ100%の超希少クラフトビールをつくる!」事を目的とした醸造所だ。
今はまだない。
しかし、クラウドファインディングと言う素晴らしきシステムを利用してその基盤は固まった。
目標の金額をたった18時間で達成したのだ。
これがどういう事か?
クラウドファインディングが成功した話はあまり聞かない。
それがこれほどの短期間、短時間で達成する事が出来た。
これは忽布古丹醸造の代表であり、ブルワーである堤野貴之氏が他に例のないほど
日本中のビアラバーから信頼され期待されていることの証だと思う。

彼の言葉を引用しよう。

上富良野町のホップ生産者と3年前に出会い、その達人がつくった「カスケード」という品種のホップを初めて使ったときの感慨は、今でも忘れられません。「あのおじさんのホップなんだよな」。顔も名前も知らない外国の誰かのホップしか使ったことのなかった私にとって、とても不思議な、とてもうれしい感覚だったんです。

ビールを造った人の顔、ホップを作った人の顔がわかる。
そしてクラフトビールを日常のテーブルに。
素晴らしい取り組みだ。
その堤野社長の挑戦は今始まったばかりだ。
永年の誠意ある行動で勝ち取った信頼で目標とする金額は一日も経たずに達成。
当初の目標を軽く超えストレッチゴール(新たなゴールの設定)にもまもなく到達しようとしている。
個人的にはこのまま当初目的の3倍を集め驚きで彼の眼がくるくると廻っているところを見てやりたい。

醸造所の立ち上げを一々追うつもりはない。
しかし、地場産業を盛り上げる、本来の形かもしれない地ビールは逐次応援して行きたいと
今回堤野社長の挑戦を取り上げた。
個人的に今後も日本の地ビールを応援して行く所存だ。

忽布古丹(ホップコタン)醸造をクラウドファインディングで
応援して下さる方は↓へどうぞ。

https://camp-fire.jp/projects/view/26002

このコラムはクラウドファインディングを啓蒙するものではありません。
クラウドファインディングへの投資は個人の責任となり、
記者および日本ジャーナリスト協会は一切の責任を負いません。

クラフトビールホップ上富良野北海道地ホップ忽布古丹醸造

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

カジ

ビアジャーナリスト

1965年愛知県大府市生まれ、現在世界一小さなビアパブを運営中。
ビールデ部所属
好きなモノは冷し中華です。
冷し中華で語ると2、3時間はしゃべれます。
例えば「冷し中華の一番大切なモノはなんですか?」と聞かれれば、
「それは錦糸玉子です。」と答えます。
ラーメン屋さんにとっても、中華屋さんにとっても錦糸玉子は、
冷し中華にしか使わない材料、
そして毎日一定数を事前に作り置きしなければならない材料です。
3~4か月間、毎日錦糸玉子を作る覚悟を決めた時、
彼らは「冷し中華始めました」と店先に高らかに宣言するのです。

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