藤原ヒロユキが5人のキーパーソンに訊く「ビールの未来」開催される!
ホップの生産地でビールを醸造、おいしく提供、ビールパワーで持続可能な地球を作ろう!
東京ビアウィークの中でも注目のイベントが、5月30日開催された。ホップの作り手から、ビールの造り手、売り手、そして、ビールによる町づくり、最後に前国税長官まで、ビールの未来を左右するキーパーソンが代官山のスプリングバレーブルワリーに勢ぞろいした。
秘密基地の次は、ビール醸造所を手作り
土をデザインしながらホップを作る宇宙農民、楠瀬正紘さん
〜宇宙農法でホップを作るってどういうこと?
「地球を救うとの指令に従い、山梨県八ヶ岳で無農薬、自然栽培でホップを作り始めました。目に見えない土中の微生物、酵素を調整しながら土をホップ栽培に合わせてデザインしています」
〜栽培しているホップの種類は?
「昨年テスト栽培した中で育ちやすかったカスケードが中心、コロンバスやチヌークも少し、全部で200本ほどですね」
〜セルフビルドでブルワリーも作っているとか?タンクとかも宇宙式に作ってる?
「さすがにタンクは地球製を買わせてもらいます(笑)が、建物は土台作りから今始めています。とりあえず1仕込み1000ℓでスタートする予定です。」
ホッピーなビールを求めホップの生産地へ
ノースアイランドビールから独立、
堤野貴之さん(ホップコタン醸造株式会社)
〜なぜ、上富良野でビールを造ろうと?
「ノースアイランドビール時代にも、ヴァイツエンを造るなら北海道の小麦を使おう、そして、その小麦の生産地である江別でと考え、醸造所を江別に作りました。今回、独立してビールを造ろうと考えた時、ホッピーなビールが好きなので、ホップの生産地である上富良野で醸造しようと決めました」
〜そして地ホップ100%のビールをつくるための資金をクラウドファンディングで募った?
「タンク3基から始めようと、その資金650万をクラウドファンディングで募ることにしました。日付の変わる夜中の12時にスタートさせて、しばらくして確認してみると、どんどん増えていくじゃないですか、結局その日は一睡もできずに見守ってしまい、ありがたいことに18時間後には目標額を超えました」
〜今日現在で1700万円を超えているようですね
「はい、タンクは8基作ることができそうです」
生ビールをきちんと管理すれば、おかわりが早くなる
クラフトビールと寿司をペアリングして売る、
桑田朋之さん(株式会社ネオ・エモーション)
〜寿司とビールのペアリングで営業成績を上げていると思うけれど、今後他の飲食店にもクラフトビールは広まる?
「ビールの営業さんがもっと料理とのペアリングなどの提案をできれば、いろいろなスタイルのビールは広まると思います。自社でも、藤原さんにも協力いただいて、実際にビールと寿司をいろいろ食べ飲みくらべ、寿司とビールのペリングを紹介したメニューを出したところ、クラフトビールをたくさん注文していただけるようになりました。また、大手メーカー中心のお酒のラインナップをやめ、自由に飲食店がビールを提供できるような環境になって欲しいですね」
〜タップマルシェを導入して売り上げアップにつながったとか。
「生ビールをタップでサービスする場合、サーバーの管理が重要です。サーバーの洗浄などをきちんとして、おいしいビールを提供すると、ビールを飲むスピードも早く、おかわりが早くなりたくさん売れるのを実感しています。ところが、このサーバーの洗浄など、管理は大変ですし、ビールのロスも出ます。で、タップマルシェを立ち飲み店などで採用しました。タップマルシェは、単価は少し高くなりますが、洗浄管理する箇所が少なく、また、ビールのロスはほとんど出ません。また、洗浄に関しても、バイオキューテックを採用したところ、その効果に驚き、同業者にもオススメしているくらいです。」
高齢化するホップ農家の次の担い手を育て、衰退化を防ぐ
ビールを通して町おこしをする、
田村淳一さん(株式会社ネクストコモンズ)
〜遠野でビールを使ってまちづくりするってどういうこと?
「ホップの里をビールの里へを合言葉に、ホップ栽培農家が高齢化し、衰退化が進んでいる遠野を、ホップを使ったビールの町へシフトして盛り上げていきたいと、ブルーイング遠野というプロジェクトを進めています」
〜遠野といえば、ズモナビールがあるよね?
「ズモナビールさんだけでなく、他にも町中でビールを造りたい、5年後には10か所位に増やしたいと考えています。遠野はクラフトビールで活性化できると考えています。まず、ホップ農業が身近にあり、ビールの原材料を地元で作れること、そして、ビール醸造という産業を増やし雇用や地元の人と関わるコミュニティを作れるからです」
〜遠野だけでなく各地で町おこしをするそうだけど、どこで?
「石川県、奈良県、宮城県の南三陸、青森県、滋賀県、そして台湾でもやろうと考えています。クラフトビールというムーブメントを流行ではなく文化として、町おこしに活用していきたいと考えています。いろいろな拠点をつくり、人や知識、情報なども移動させて盛り上げて行きたいなと考えています」
ビールが価格だけの競争にならないように酒税法が改正
ビール業界を見守ってきた、前国税庁長官、中原広さん
〜IPAがお好きだとか?
「普通のおじさんですから、いつも最初はとりあえずのビールを飲みます。苦味のあるホップの効いたビールが好きなんですが、それがインディアペールエールというビールなんだと藤原さんの本で勉強しました」
〜6月1日から酒税法改正になったのはどうしてなんですか?
「10年ほど前に酒類の小売制限がなくなり、酒類の小売競争が激しくなりました。その結果、小さな酒屋さんが少なくなり、また、価格競争が激しくなったので、価格だけの競争がなくなるようにと、昨年5月に決められたものです」
〜そもそも偉そうにしているワインの税金が安すぎる! この改正、クラフトビールにとってはありがたいですが、徐々に改正されるんですね
「約10年かけて、ビールは、発泡酒などと一本化されて、税率を考えたビールが開発されるのを防ぐことができると思います。ワインとはジャンルが違うので、なかなか同じにはできないのですが。明治時代、ビールは高級品だったので税率も高くなってしまったんですよね」
〜ホームブリューイングについては?
「これまで何度も問題になっていますが、今の日本ではホームブリューイングを解禁にしてしまうと、酒税が減ってしまうということと、保健衛生上の問題がありそうですから、何らかの規制はあったほうがいいと思います。」
こうして5人のゲストが揃ったところで、「あなたはビールのどこが好きですか?」というのをフリップに書いていただき、トークショーは終了しました。ビールをホップから作る、作ったビールはおいしく提供すればもっと広がる、そしてビールの力で町おこしもできると、ビールの秘めたるパワー、そしてビールマイレージ(ビールの地産地消)を実感するものとなりました。
1期生 根岸絹恵
日本ビアジャーナリスト協会 フェイスブック
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