コミュニティ型BREWERYを目指して! 【ブルワリーレポート SPRING VALLEY BREWERYの挑戦】
ビール界に大きなインパクトを与えた「SPRING VALLEY BREWERY(以下、SVB)」がオープンして2年が経ちました。昨年は42種類の限定ビールを醸造、今年はその数を超える勢いだと言います。今までの概念に捉われず、色々なチャレンジをしています。今回はSVB和田徹代表取締役社長にこの2年、そして、これから目指す方向性についてお話を聞いてきました。
目次
ビール×料理が生み出す美味しさをよりわかりやすく!
SVBでは今春、メニューが一新され、よりペアリングを意識した内容となりました。これについて訊いてみました。
「SVBはペアリングを意識しています。『ビールが美味しかった』、『料理が美味しかった』と単体で美味しいお店は他にもたくさんあります。ここは『ビールと料理の相性の良さが引き出されるとより一層美味しい』と感じてもらえるお店でありたいのです。おススメのペアリングは社内の人気投票で『忘れられないペアリング』としてランキングされたものです。ぜひ試してほしいです。それとお客様からも『これとこれの組み合わせが美味しかった』とフィードバックをもらったりできたらいいなと思います」
ビールは他のお酒よりも料理によって種類を変えて楽しむ習慣が少ないと言います。「ビール自体も変化していかなければならないし、飲み方も変化していく(量ではなく、ゆっくり飲む)ことで自分たちの世代のお酒へ発展していくと思います。それを実現していく体験型レストランを普及させたいです。」と食をゆっくり楽しむ時間のなかにビールが入ってくると今までとは全然違う価値観を生み出すことができると考えています。
予想以上の注目度による葛藤の2年間
「SVBは元々、短期的な取り組みではなく、『ビールそのものを魅力的なものにしていこう!』という壮大なテーマで行っています。まだまだこれから取り組みを大きくしていきたいと考えています。東京と横浜で2年間50万人を超えるお客様に来店がありました。これは当初の予想よりも多くの方に来ていただけた形です」と順調なスタートを切ることができたと話します。
「元々、ビールのテーマパークをイメージし、色々なビールを体験してもらい『クラフトビールって面白いな』と感じ、そこからビール工場見学に行くなどビールの魅力をどんどん伝えられる。そんな場所となるようスタートしました」
しかし、予想外のことが起きたと言います。
「スタート1年くらいはお客様が想定以上に来店してもらえた結果、お客様とのコミュニケーションが取れなくなってしまいました。『ビールの魅力をしっかりと伝える』、『ビールに興味をもってもらう』という目的を果たすための時間や気持ちを取ることができませんでした」と思わぬ誤算がありました。
「最近ではミーティングで、『お客様とどのように交流を図るか』を研修などでお客様とビールの話をするような流れができるようになってきました」と話します。
若い世代に注目してもらえるBREWERYを目指して
「私たちが危惧していたのが、若い世代のビール離れ。特に女性のビール離れでした。私たちはこの世代に『ビールの面白さに気づいてもらう』、『自分たちの世代のお酒』と思ってもらえる提案をしていくことが狙いでした。蓋を開けてみると週末はまさにドンピシャの結果となりました。男女比ですか? 女性が6割ですね。これはやっぱり嬉しいですね」とアピールが成功しています。取材時は平日の午後でしたが、海外の方、女性客で賑わっていました。
「狙い通りとはいえ、これほどまでに女性の方に来店していただけるとは、私たちも正直、驚いています」と予想以上の反響だったようです。
「お客様からもインフューザーを体験してもらうと『ビールって面白いんですね』とかビアフライトを注文された方からは『色とりどりな感じがした』とか『ビールがこれほど色んな料理に合うとは思わなかった』という声をいただいています。
ビールの可能性を広げる6つのチャレンジ!
「現在は6つテーマに挑戦をしています。その中の1つにホップにイノベーションを起こすテーマがあります。これは1つのホップの特徴を最大限に引き出すシングルホップでのビール造りで、ここから『MURAKAMI SEVEN』が誕生しています。また、フルーツビールでは『ビールが苦手』という方に対して、入門のビールとして最適です。フルーツビールはペアリングを考えるうえで、とても相性の良さを引き出せることがわかってきました。私たちの追い求めるフルーツビールは果汁を混ぜるだけのビアカクテルではなく、『フルーツとビールの持ち味が完全に融合する』新しい美味しさを造っていくのがこのカテゴリーのテーマです」と語ります。
「オープン当初はここまで明確ではありませんでした。2年が経ち、明確になってきました。現在はお客様にチャレンジを開示し、造ったものを一方的に提供するのではなく、『一緒になってものづくりに参加してもらおう』という形ができつつあります」とその成果は様々なフィードバックとして返ってきています。
新店に新たなジャンルの確立 やりたいことは山ほどある
「やりたいことはたくさんあります。1つはこの秋に京都に出店予定です。ここを西の拠点としていきたいです。しかし、京都は東京のコピーのお店ではなく、新しい食文化みたいなものを発信していきたいです。日本を意識したメニューですか? そうですね。世界に向けた日本の食文化、あるいは日本の伝統文化の良さを発信していく拠点になればと思います」と新店への意欲を語ります。
しかし、『和』だけでまとめるつもりはないと言います。日本人がもつ美意識とか洗練された価値観で融合して新しい文化を作っていきたいと考えています。
「他にはCLUB SVBの会員の方たちと一緒になってプラントを運営していき、SVBを参加型のブランドに成長させていくことが将来的に必要だと思っています。メーカーが作ったものを一方的に提供するマス型モデルではなく、もう少しローカルコミュニティモデルの先駆けとなるようなブランドになることもやってきたいことの1つです」
「あとはビールへの挑戦です。JAPANカテゴリーは、日本ならではの原料を使ったものや醸造方法を生み出し、『日本が世界に誇れるビールを造っていきたい!』と思いが込められています。ジャパニーズウイスキーが長い年月をかけて世界に認められたように、将来、ジャパンビアを世界の1つのジャンルとして確立したいですね。これは色々なブルワリーさんとも話しています。こうした横の連携強化をし、ジャパンビアを世界に誇れるようになるための旗振り役をさせてもらえればと思っています」とワクワクする構想を話してくださいました。
SVBは『ワクワクするビールの未来を作る』の実現を目指します。ぜひ、新しい挑戦を体験してみてほしいと思います。
◆SPRING VALLEY BREWERY Data
Homepage:http://springvalleybrewery.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/springvalleybrewery/
【TOKYO】
住所:東京都渋谷区代官山町13-1 ログロード代官山内
TEL:03-6416-4975(予約専用電話: 10:00~22:00) 03-6416-4960 (予約以外のお問い合わせ)
営業時間:月曜~土曜8:00〜24:00(L.O.22:30) 日曜8:00〜22:00(L.O.21:00)
※テラス席は 22:00 まで営業いたします。(冬期をのぞく)
座席数:215席(1階: 102席、2階: 84席、テラス: 29席)
・平日の17時以降は未就学児のご入店をお断りさせていただいております。
・お車や、自転車等でご来店のお客様にはお酒を提供できませんのでご了承ください。また、駐車場、駐輪場のご用意もございませんのでご了承ください。(近隣の有料駐車場及び有料駐輪場をご利用ください。)
【YOKOHAMA】
住所:神奈川県横浜市鶴見区生麦1-17-1 キリンビール横浜工場内
TEL:045-506-3013(予約専用電話: 10:00~17:00) 045-506-3017(予約以外のお問い合わせ)
FAX:045-506-3017
営業時間:11:00~22:00(L.O.21:15)
定休日:月曜日(祝日は営業)年末年始、臨時休業あり
座席数:176席(1階: 112席、2階: 28席、テラス: 36席)
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。