ホワイトビール
今回からは各カテゴリの簡単な解説です。
最初はおそらく日本でもっとも良く飲まれているベルギービール、「ホワイトビール」から。
ビール好きの皆さんなら一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。
■ホワイトビール(ウィートビール)とは
通常ビールの醸造には大麦を使用するのですが、その大麦に加えて生の小麦または小麦麦芽を使用したものをホワイトビールといいます。
たんぱく質の含有量が多いので泡持ちがよく、発酵過程で非常に淡い色の泡を造ります。
爽やかな口当たりが特徴で、その特有の酸味が喉の渇きを癒す働きがあります。
かつてピルスナーがまだ無かった頃のエールに比べて色が淡い上に、酵母やたんぱく質のため白く霞がかって見えたので、ホワイト(白)ビールと呼ばれたと言われています。
代表的なスタイルとして、ベルジャンスタイル(ヴィット<ウィット>/ビエール・ブロンシュ)、北ドイツスタイル(ベルリーナ・ヴァイセ、ケルシュなど)、バヴァリアスタイル(ヴァイツェンなど)などがあります。
<各国の「白」「小麦」の呼び方>
言語 白 小麦
英語 white wheat
仏語 blanche ble
蘭語 wit tarwe
独語 weiss weizen
※小麦を使ったビールに使われていることが多いので、いろいろな銘柄に当てはめてみると面白いです。
■ホワイトビール(ウィートビール)の歴史
小麦は古代より醸造原料として使われてきました。
中世になってもヨーロッパ各地で造られていました。
小麦の収穫量の多くはビール造りにまわされ、パンを作る粉がよく不足しました。
南ドイツのバヴァリア国では「ビール純粋令」を出して小麦の使用量を制限しようとしましたがあまり効果は上がらなかったようです。
そんな小麦ですが、今までの歴史の中で醸造の過程から消え去ってしまったことが何度もありました。
しかし後に必ず復活しています。
なぜあまり評価されなかったのかというと、麦芽を作るときに壊れやすい、粉砕の時に粉々になりやすい、殻が無いので糖化槽をつまらせることが多い、たんぱく質が多く粘性が強いので濾過しにくい、など、醸造士にとって扱いにくいことがありました。
そのため実際には小麦だけで造られることはほとんどなく、一定の比率で大麦と併用されることが多いのです。
■ベルジャン・ホワイト(ヴィット<ウィット>/ビエール・ブロンシュ)
ベルギービールの中には、小麦を使って造られるものが非常に多くあります。
中でも有名なのは野生酵母によって自然発酵させるランビック。
もうひとつが今日の主役であるヴィット<ウィット>/ビエール・ブロンシュと呼ばれるベルジャン・ホワイトです。
煮沸釜のなかでオレンジピールと少し柑橘系の味がするコリアンダーの種を使うのがベルギーのホワイトビールの特徴です。
ベルギーでホワイトビールを造っている醸造所は、いずれもひとつのある有名なビールをお手本にしています。
そのビールが「ヒューガルデン・ホワイト」です。
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