WDMC日本大会:結果概要
前回のコラムでお伝えした「World Draught Master Competition(ワールド ドラフト マスター コンペティション)」の日本大会が、9月19日(日)に東京・銀座の「ベルジアンビア・カフェ アントワープシックス」で開催された。
当日参加したのは東京、大阪、名古屋、松本、札幌などから集まった10名。ステラ・アルトワのあるバーカウンターの前に審査員が3名、客役としてテーブル席に並ぶ。客の前でまずはステラ・アルトワのプレゼンテーション。それからオーダーをとり、バーカウンターでオーダーされたビールを用意する。ベルギービールタップから注ぐドラフトビールが2杯、330mのボトルビールを1杯注ぐことは決まっているが、誰がどのオーダーをしたかは書きとめることができない。ボトルビールは審査員テーブルの目の前で注ぎ、オーダーした客へ提供する──のが一連の流れだ。
カウンターの中ではシンク内のブラシを使った洗剤の泡によるグラスの洗浄、そのすすぎ、水切り、グラス拭き、脂汚れや水残りなどのチェックなどを経て、サーバーからのビールの注ぎ方、泡カッターの使い方、グラスの持ち方、ビールの泡持ちなどが厳しく採点される。
その上で、ステラ アルトワを正しく魅力的に紹介できているか、笑顔や客への気の配り方、グラスの用意からビールのサーブ、客への提供までがエレガントにできているか…などのサービングスタイルも評価の対象だ。
普段お店でやっていることでも、審査員たちから行動を逐一チェックされ、ギャラリーの注目を集める中でのパフォーマンスは、どんなに心を静めようと思ってもなかなかできることではない。そんな中、ドラフトを注いでいる最中に樽が切れてしまうアクシデントに見舞われながらも見事優勝したのが、名古屋の「ビストロ&ビアカフェ カンカル」から参加した土屋玲子さん。
土屋さんは前回3位で、今回が2度目の挑戦だ。「昨年はミスしてしまったが、今回は完璧にできた」という快心のでき。緊張しっぱなしだったが、それがいい興奮状態になったという。プレゼンテーションでは、ステラの特長を前面に押し出した。「ホップが香るキレのある爽快さ、キリッとした飲み口が世界で愛されています。自分自身も数あるビールの中で一番好きな銘柄なので、その想いを伝えられたのがよかったかな」
2004年の世界大会で「ベストスマイル賞」を受賞し、カウンター内で審査員を務めた岩本裕愛さん(アントワープシックス)は、「カウンター内の点数はパーフェクトに近かった。また、表現力が昨年よりも磨かれている。緊張感のある中で普段の落ち着いた感じが出ていたし、笑顔が光っていた」と、土屋さんの優勝の決め手を語った。
二位は長沢篤さん(ベルジアンビア・カフェ アントワープポート)、三位は小門泰彰さん(ベルジアンビアカフェ アントワープバレル)。
土屋さんは10月28日、ロンドンで開催される同大会に出場する。プレゼンテーションは英語。アクションが大きい外国人参加者の中で、どれだけ存在感をアピールし、ホスピタリティの印象を残せるか。表現力をより磨くために、現在特訓を重ねている。■
参加者:
砂川潤也さん(ベルジアンビアカフェ アントワープシックス)
井上優一さん(ベルジアンビアカフェ アントワープセントラル)
長沢篤さん(ベルジアンビアカフェ アントワープポート)
濱田聡一郎さん(フランダーステイル)
新妻正人さん(シャン ドュ ソレイユ)
高橋渚さん(グランドルフィンズ)
土屋怜子さん(ビストロ&ビアカフェ カンカル)
小門泰彰さん(ベルジアンビアカフェ アントワープバレル)
デ コニンク ポールさん(ポールズカフェ)
上條哲弥さん(オールドロック)
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