国産ホップの地を訪ねて 【京都与謝野ホップ生産者組合の取り組み】
ホップは現代のビール造りには欠かせない原材料です。日本ではその多くをドイツやアメリカから輸入しています。日本では大手ビール会社が農家と契約を結び、東北を中心に栽培が行われています。しかし近年は、日本のクラフトビールメーカーが自ら栽培したり、独自にホップを栽培し、販売する会社が登場したりと新たな展開が生まれてきています。
今回、ご紹介する京都与謝野ホップ生産者組合もその1つです。2015年よりホップ栽培を開始しました。3年目の収穫期を迎えた8月6日、毎年恒例のホップ収穫体験が開催されました。生産者がどのような思いでホップの栽培に取り組まれているかを現地を訪問し、聞いてまいりました。
栽培のきっかけは藤原代表の個人的な興味から
与謝野町は京都府北部に位置します。人口22,000人のこの町は日本海に面した丹後半島の尾根を背景とし、大江山連峰をはじめとする山並みに囲まれています。野田川流域には肥沃な平野が広がり、天橋立を望む阿蘇海へと続いていくところです。
古くから織物業が盛んにおこなわれている地域で、「丹後ちりめん」は日本遺産にも認定されています。
農業では米の栽培が盛んに行われていますが、どのような経緯でホップを栽培することになったのでしょうか。
「元々は与謝野町に縁があった藤原ヒロユキさん(日本ビアジャーナリスト協会代表)が与謝野町で、ホップ栽培を始めたことがきっかけです」と教えてくれたのは与謝野町役場農林課主任井上氏です。
なんと、与謝野町におけるホップ栽培のきっかけは藤原代表でした。後日、聞いてみたところ「個人的な興味からホップの苗を植えてみたところ育ちました。それを地元の人が見て、本格的に栽培してみたいということになり、与謝野町の協力もあり実現しました。」と個人的な興味から始めたものが町の取り組みへと発展していきました。
ゼロから始めたホップ栽培
ホップは暑さに弱く、平均気温が20℃程度の地域が栽培に適していると言われています。東北地域が盛んなのはこうした理由があります。与謝野町の平均気温は14.5℃なので、適した環境です。
しかし、開始当初は様々な苦労があったといいます。
「ホップ栽培にあたり、どのようにして栽培していけばいいのか全然わかりませんでした。苗をどこから入手するのか。どんな道具が必要なのかというところからみんなで勉強していきました。ノウハウがないということが大変でした」と振り返ります。
栽培方法は藤原氏と交流のある方々からアドバイスをもらい、知識と経験を積み重ねていきました。地道な取り組みを続けた結果、「収穫量は昨年が175㎏、今年は300㎏近くの収穫量を予想しています。今年は生育が早かったですね」と確実に成果をあげています。
現在、栽培している品種は、カスケード、センティニアル、ナゲットなど17種類と豊富です。「3年やってきて、どの品種がこの土地に合うのかとかもだんだんわかってきた」と藤原代表は話します。
与謝野産ホップを通じて、人のつながりを広めたい!
収穫量も増え、今後はどのような展開を考えているでしょうか。
「ホップの活用法としても地元の酒造会社に相談したところ、リキュールを造ってみたいとの声を聞いています。以前はホップを使用したアイスクリームを製造し、販売しました」とビール以外での活用法も進んでいるといいます。
ホップ収穫体験については「やっぱり、与謝野町に興味をもってもらうことですね。次に与謝野産ホップを使ったビールを通じて、ビールを好きになってもらいたいです。そして、農業を通じて人のつながりが広がっていくことを期待しています」と来年以降も継続して開催していく意向です。
今回の収穫体験では、特に西日本での栽培は珍しいためか総勢100名を超える方が収穫に体験参加し、関心の高さがうかがえました。収穫前のホップを実際に見る機会はなかなかありませんから貴重な時間になったとのではないでしょうか。親子での参加者も目立ち、夢中でホップを摘み、香りを体感する姿がとても印象的でした。
今年収穫されたホップを使用したビールは、9月22日から開催予定の「フレッシュホップフェスト2017」で飲める予定です。どんなビールになって私たちの前に登場してくれるのか今から楽しみです。
◆与謝野ホップについてのお問い合わせ
〒629-2498 京都府与謝郡与謝野町字加悦433番地
与謝野町役場 加悦庁舎 農林課 林業水産係 塩見雅樹宛
電話:0772-43-9023
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