ランビック
ランビックは500年も前から製法がほとんど変わっていないといわれる歴史の古いビール。
ブリュッセルの15km北西にある、ペヨッテンラント地方で醸造されています。
なんと培養した酵母を使わず、空気中に浮遊している野生酵母を利用して発酵させたビールで自然発酵ビールとも呼ばれています。
ちょっと日本酒の生もと造りにも似ていますね。
原材料で特徴的なのは、麦芽にしない小麦30~35%と残りは大麦、ホップは3年以上も寝かせた古いものを使うこと。
まず小麦を使う理由ですが生産者に尋ねると、「地元でできたものを使うのがもともとだから」とのこと。
ランビックの生産地ではだいたい小麦を自作していましたが大麦は仕入れていました。
時間と費用の節約になるのはもちろんですが、やはり地元の風土や素材を大切にしてきたんですね。
次に古いホップです。
通常ホップは苦味や香りをつけるために使われますが、ランビックの場合は保存剤、酸化防止剤として使われるため、わざわざ屋根裏で何年も寝かせておくのです。
あのみずみずしい緑色のホップをわざわざ茶色くなるまで寝かせておくなんて、普通のビールでは考えられないことですよね。
本来ランビックは木樽の中で数ヶ月の発酵の後にできますが、炭酸ガスは木を通して空気中に逃げてしまうので発泡性はありません。
(日本にもかつて輸入されていたことがありました)
それを飲みやすくしたものに、若いランビックと熟成させたランビックをブレンドし、さらに発酵させたグーズがあります。
若いほうのランビックにはまだ糖分が残っているので、さらに発酵するわけです。
グーズは瓶詰めによってさらなる発酵でできた炭酸ガスが封じ込まれるので、ビールらしく泡立ちがあるのが特徴です。
よく麦のシャンパンなどと呼ばれますが、糖分や酵母を加えずに100パーセント自然発酵でできあがるのがグーズのすばらしい点だと思います。
そのほかにも、甘い味をつけたファロ、フルーツを漬け込んで造られるフルーツランビックがあります。
ファロは糖分によって再発酵してしまうのでなかなか流通が難しいのですが、フルーツランビックはよく見かけるようになりました。
フルーツランビックとは若いランビックに果物を漬け込み、その風味と色を取り込んだ後、瓶詰めしたもの。
伝統的なものに、「クリーク(サワーチェリー)」や「フランボワーズ」があります。
他にもぶどう、ピーチ、カシス、リンゴ、パイナップル、バナナ、パッションフルーツ等がありますが、ちょっとやり過ぎの感も。(笑)
こうして幅広い味わいを持つランビックですが、じつは大きくわけて2つの流れが存在しています。
長くなってしまうので、詳しくはまた来週。
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