浜松の餃子に合うビールを造ろう【Octagon Brewing】
皮の中から溢れる肉汁に、黄金の液体の苦みと冷たさが心地よく寄り添う。餃子とビールはその相性の良さから、日常的に親しまれている組み合わせではないでしょうか。このゴールデンコンビについて、数あるビアスタイルの中から餃子の良さを最大限に引き出す「餃子のためのビールを造る」という探求心に満ちたチャレンジが、静岡県に醸造所を構える「Octagon Brewing」で実施されました。
Octagon Brewingは2018年1月に発泡酒製造免許を取得。同年2月に醸造所兼タップルームを静岡県浜松市にオープン。地域に根差したビアパブとして、クラフトビールの魅力を発信しています。エメラルドグリーンで統一された店内では、ガラス越しに醸造タンクを眺めながら、オリジナルビールを楽しむことができます。
今回の取り組みは、同ブルワリーの醸造長 千葉 恭広 氏と、栃木県宇都宮市で醸造経験を持つ梶山 紀光 氏の構想を基に、両市でソウルフードとして愛されている「餃子」に注目し、地元の特産品とのコラボレーションを通して、浜松市を盛り上げていきたいという想いから実現しました。
仕込み当日。まずは、事前に考案したレシピを用いて、原材料の計量から開始していきます。今回は浜松の餃子の特徴であるさっぱりとした味わい、箸休めとして添えられるもやしにヒントを得て、爽快感のある飲み口のビールを合わせる。「さっぱり×さっぱりの相乗効果で、餃子を何個でも飽きずに食べ続けられる」をコンセプトにしたビールへ挑戦する運びとなりました。色はピルスナーモルトをベースにした、黄金に近いイメージを採用。ビールの多様性という部分では、いまだ発展途上にある浜松。多くの人にとってポピュラーな、ピルスナータイプの中で違いを発信することで、クラフトビールに馴染みが薄い方にも、興味を持ってもらいたいという想いが込められています。
計量が完了したら、麦芽を粉砕機にかけて仕込みを開始します。工程の概要については以下の通りになります。
1.麦芽をお湯で煮込み、ろ過をしながら麦汁を作製します。
2.麦汁にホップを加えて煮沸していきます。
3.煮沸が完了したら、急速に冷却しつつ発酵タンクへ。
4.最後に酵母を投入し発酵させます。
全工程終了までの所要時間は約12時間程度。その間、決して楽ではない作業を通して、黄金の液体に寄り添い続ける2人の醸造家の後ろ姿からは、「ビールを造る」ことに対しての並々ならぬ情熱を感じました。また、1つの工程を終えるごとに、匂いや色が少しずつビールへと変貌していく様子に密着したことで、ガラス越しの見学だけではわからない多くの発見を経て、自身の認識を改める良い機会となりました。
餃子×ビールのように、フードとのペアリングは年々注目を集めています。最近では、洋食・和食・中華など、あらゆるジャンルの料理が取り上げられ、イベントや書籍で目にする機会も増加しています。その中で、ご当地の食べ物に合うビールを造る。食との繋がりや地域に根差した活動として、非常に興味深い取り組みであると感じました。今回の取材では特定の料理に合うビールを考案、追求していく面白さの片鱗を垣間見ることができました。完成したビールは同ブルワリーで11月中に提供される予定です。素敵な仕上がりに期待を膨らませつつ、次回は実際に味わった感想をレポートいたします。
Octagon Brewing
HP:octagonbrewing.com/
FB : https://www.facebook.com/octagonbrewing/
住所 静岡県浜松市中区田町315番地の25
営業時間(火曜日 定休)
月,水,木曜日:18:00~23:00
金曜日:18:00~24:00
土曜日:17:00~24:00
日曜日:15:00~21:00
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。