ブルワーたちが認めたビールが競演するビールフェスティバル【2019年1月25日(金)~27日(日) ~日本ビアジャーナリスト協会 PRESENTS~ JAPAN BREWERS CUP 2019開催】
クラフトビール業界の冬の風物詩「JAPAN BREWERS CUP(以下、JBC)」。今年も1月25日(金)~27日(日)の3日間「横浜大さん橋ホール」で開催される。フェスティバルの前日24日(木)にはJBCの特徴である「ブルワーによる審査会」が行われる。なぜ醸造家による審査会を採用したのか? 実行委員長である鈴木真也氏に話を聞いてきた。
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審査結果の公表、第3者の立ち合い。透明化により公平性のある審査会に
「審査会の目的の1つとして、醸造技術の向上があります。審査会では審査員とエントリーしたブルワリーに結果をすべて公開しています。ブルワーは、審査表を見て『自分のビールがどんな評価をされているのか』を確認することで至らない点が客観的にわかります。お客さんからの意見では分からない細かいところがよくわかるので、今後のビールづくりに活かすことができます」と鈴木氏。
「JBCでは、審査会の結果を速報でブルワーたちに公開していること、審査員でない第3者が選挙管理委員のような立場としていること。この2つによって審査に透明性があり、公平性が保たれています」と当会代表藤原ヒロユキは語る。審査の不正や結果への疑念を無くすため、審査内容を実行委員以外の第3者が監視し、結果を公表するシステムを評価する。
また、「他の品評会は、『このオフフレーバーがあるからダメ』という引き算方式が多いですが、JBCはビールの良い点にまず焦点を当てているところがポイントです。少々のオフフレーバーは許容範囲という時もあります。その点で大きな違いを感じます」といわて蔵ビール佐藤航社長は話す。
日本人ブルワーにあった審査方法
「ディスカッションする審査会ですと日本人ブルワーはあまり出たがらない傾向もあって……」。審査会では、一般的に審査員によるディスカッションを行い、受賞ビールを決定していく形式が多い。議論形式になると内向的な人は意見を出すのにどうしても消極的になったり、立場が気になったりと余計な意識が働く傾向を鈴木氏は感じていた。これでは公平性のある評価はできないと考え、自身も参加していたチェコの『GOLD BREWERS SEAL』の審査方法を取り入れることにした。
「『GOLD BREWERS SEAL』では、議論をすることなく『アロマ』『ボディ』『フレーバー』『ドリンカビリティ』などを踏まえ、ブルワーの感性だけでランキングを付ける形式で審査をしています。出品ブルワリーがプライドを持って各部門にエントリーした意思を尊重して審査を進めていきます」。その他にもビアスタイルガイドラインを使わないことも特徴で、ブルワーの意思が尊重される仕組みになっている。
そのほかに日本とチェコの共通した人間性もあるという。「シャイな人間性が似ていて、話し合う形式よりも個人の感性で判断する審査会の方が合っているのではないかと思い取り入れました」(鈴木氏)。
日本でも同様の審査会を行いたいことを「GOLD BREWERS SEAL」に鈴木氏が許可を取り、2013年にJBCを初開催した。
「審査員も前回は約70名のブルワーが参加し、認知度も上がってきました。審査をすることも勉強になります。自分が審査したビールを他のブルワーがどのように評価したのかもわかる形にしています。ズレが大きければ『他の人と感性が外れている可能性がある』と判断する材料になります」とブルワーの感性を磨く場になると語る。
目指すは、箱根駅伝のシステム
今年で7年目となり、審査カテゴリーも初年度の2から5へ増加(※1)。年々、審査会に出品するビール数は増加傾向にある。今年は、フェスティバルに出展するブルワリーの数も増やした。しかし、定数を超える応募があり断らざるを得ない状況になった。
※1 2013年の第1回は、「ペールエール部門」「ウィートビール部門」。2018年は、「ピルスナー部門」「IPA部門」「濃色系部門」「小麦系部門」「ペールエール・ゴールデンエール系【ライトカラーエール】部門」。「ペールエール部門」は、2013年以来の復活。カテゴリーについてはブルワーに「何を審査したいか?」をアンケートして決定。
鈴木氏は定数を超える応募に対して「将来的に箱根駅伝のように審査会の成績でフェスティバルへの出展シード権が得られる方式を検討しています。競争意識をもったフェスティバルにしていきたいです」と語る。その一環として、今年からホームページの出展者紹介のところには「〇年連続〇回目」という記載がされている。
ブルワリー同士が切磋琢磨することで、出展するビールの質も向上する。結果として、お客さんから「JBCに出展しているブルワリーにハズレはない」と認識されるようになる。このような流れを当会代表藤原ヒロユキも「良いこと」と話す。
「レベルが高くないと1回戦すら勝ち残れません。審査会の結果が思わしくなかったとしても『次はもっと良いビールをつくるぞ!』と、諦めずにチャレンジして評価を上げていってほしいです」(鈴木氏)。
つくり手にとっては大変だが、飲み手にとって品質の良いビールが飲めることは大歓迎である。どのように出展システムが発展していくかも注目していきたい。
激戦必至の「ペールエール・ゴールデンエール系【ライトカラーエール】部門」に注目!
今年、注目してほしいのは「ペールエール・ゴールデンエール系【ライトカラーエール】部門」。多くのブルワリーがペールエールをつくっており、エントリー数も多くなることで激戦が予想されるカテゴリーだからだ。
「新鋭ブルワリーの順位が名前の通っているブルワリーを上回ることがあれば、面白くなりますね」と鈴木氏も新たな展開が生まれる可能性を話す。
老舗ブルワリーの牙城を崩す新鋭が現れるのか? それとも改めて実力を見せつけるのか? どんなドラマが生まれるのか今から楽しみでならない。
審査会の結果は、初日である1月25日(金)に発表される。どのビールに栄冠が輝くのか? ぜひ来場して、その目で確認してみてほしい。
★出展ブルワリーはこちらから
https://www.jbja.jp/archives/23330
◆~日本ビアジャーナリスト協会 PRESENTS~ JAPAN BREWERS CUP 2019
主催:JAPAN BREWERS CUP実行委員会
運営:横浜ベイブルーイング株式会社(〒245-0053 神奈川県横浜市戸塚区上矢部町2006 TEL:045-443-9972)
後援:公益財団法人 横浜観光コンベンション・ビューロー
協賛:たのしいお酒.jp
日時:2019年1月25日(金)~27日(日)
時間:1月25日(金)16:00~22:00 1月26日(土)11:00~21:00 1月27日(日)11:00~19:00
会場:横浜大さん橋ホール
入場料:500円(入場後、ビールは1杯300円~販売ブースにて直接購入)
Homepage:https://japanbrewerscup.jp/
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。