ろまんちっく村クラフトブルワリー ビール麦栽培の取り組みを追う その2【ビール麦踏み編】
2018年10月28日(日)に「ろまんちっく村クラフトブルワリー(以下、ろまんちっく村)」が開催した「ビール麦の種まき」。イベント自体は、数日前の雨により中止になってしまったが、そのあと種まきはブルワーたちにより無事に行われました。
★ろまんちっく村クラフトブルワリー ビール麦栽培の取り組みを追う その1【ビール麦の種まき編】はこちらから(https://www.jbja.jp/archives/23171)
それから3ヶ月が経過。2019年2月3日(日)に麦の生育に欠かせない作業を行うというので再び「ろまんちっく村」へ足を運ぶことにしました。
麦の生育を良くするために踏む
麦の栽培では、種まきから1ヶ月が経過した頃から「麦踏み」を行います。今シーズンはこれが初めてではなく、ブルワーさんたちがすでに何回か行っていて、収穫までに4~5回します。麦踏みはしなくてはいけない作業ではありませんが、実施した方が麦の生育が良くなります。
主な効果はこのような感じです。
1.麦が倒れるのを防ぐ
2.分蘗(ぶんけつ ※1)がよくなる。
3.根の張りが良くなる
4.霜柱が立つ地域では、根を痛めることを防ぐ
5.生育を揃える
※1根元付近から新芽が伸びて株分かれする事。
地味で単調な作業も美味しいビールのためだと思うと頑張れる
この日は、「寒い冬しかできないビールな体験2019冬」と題して種まきのときと同様にビールファンとともに麦踏みを行いました。当日は15名ほどが参加。なかには親子で参加される方もいらっしゃいました。
麦踏みは、そのまま踏んでも問題ないのですが、ここでは紐を付けた木の板を使って踏んでいきます。
作業工程は麦の上に置いて、体重をかけて踏む。そして、次の麦の上において踏む。これを1つ1つ進みながら行います。強いていえば、体重がかかり過ぎると潰れて生育が悪くなってしまいますし、逆にしっかり踏まないと麦踏みの効果が得られないと加減が難しそうです。初めての体験ですので、まずはやってみます。
作業自体は外から見ているととても地味な光景です。しかし、1つ1つに体重をかけて踏んでいくので、踏み込む側の足の筋肉が痛くなってきます。これは良い運動になります。疲れますが、「美味しいビールのため」と思うと頑張れました。
自家製麦芽を使ったビールを考える
大勢でおこなったので麦踏みは順調に終了。終了後は場所を移動し、参加者全員で製麦の現場を見学しました。クラフトブルワリーで製麦の設備を所有しているところはほとんどなく、栽培から製麦まで自分たちで行っている「ろまんちっく村」はとても珍しく、貴重な取り組みをしているブルワリーといえます。
ここでは特注の機械を使い、9日間かけて大麦を水に浸して発芽させます。ある程度発芽したら次に温風を当て乾燥させて根を取り除きます。この工程を機械1つで行います。
現在、製麦しているビール麦は、昨年収穫したもの。この麦芽を使って、オリジナルビールをつくっています。昨年は、「スモークラガー」をつくり、今年1月に開催された「ふるさと祭り東京2019」でお披露目されました。
現在、製麦している麦芽は、7月に開催予定の「栃木クラフトビアフェスタ2019」で販売するビールの原料になります。製麦現場を見学後に「どんなビールをつくったらいいか?」をみんなで考える場が設けられました。
まずは、ビールについてのお勉強。つくり方やビアスタイルについて説明を受けます。
そのあと、8種類の異なるビアスタイルをテイスティング。Aのビールを基準に各自、香りや苦味、ボディなどの強さを確認していきます。
「栃木クラフトビアフェスタ」は、今年で10周年。どんなビールがいいか意見を出し合います。
「普段、あまり飲まない人でも飲みやすいビール」「栃木色を出すために地元のフルーツを使ったビール」「10周年なので、華やかなビール」「15周年のときに比較して飲めるエイジングビール」といろいろな意見が飛び出しました。
今後はこのアイデアを踏まえて、ブルワーさんたちがまとめたビールが7月にお披露目になります。どんなビールなのか今年の夏が待ち遠しくなりました。
栽培の様子を体験できるだけではなく、自分たちが関わったビール麦を使ったビールのアイデアまで考えられることでより愛着が湧きます。つくり手(この場合は栽培者も含む)との距離が近く、コミュニケーションがとれるのがクラフトビールの楽しくて面白いところです。ホップでは収穫体験をされているところが全国各地にありますので、原料に関心のある方は参加してみるといいと思います。
「ろまんちっく村」のビール麦栽培の様子はこの後も追っていきたいと思います。
◆ろまんちっく村クラフトブルワリー Data
住所:〒321-2118 栃木県宇都宮市新里町丙254
電話:028-665-8800
FAX:028-665-8678
Homepage:http://www.romanticmura.com/brewery/
Facebook:https://www.facebook.com/Romanticvillage.craft.brewery/
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。