[ブルワー,新商品情報]2019.3.2

日本で生まれて海外で人気となったホップ「ソラチエース」を使ったビールが2019年4月9日(火)より全国一斉発売【ビール誕生秘話6本目 Innovative Brewer SORACHI1984 発売記念インタビュー】

ホップへのフォーカスや既存の概念に捉われない商品開発してきたサッポロビール株式会社100%子会社であるジャパンプレミアムブリュー株式会社。「Innovative Brewer」ブランドをこれまで一部のエリア限定で販売してきたが、2019年よりサッポロビール株式会社が販売を担うことで、全国展開されることが1月の事業方針説明会で発表された。その第1弾として4月9日(火)に「Innovative Brewer SORACHI1984」が発売される。このビールへの思いをマスターブリュワーである新井健司氏と同ブランドマネージャーの谷紘子氏に話を聞いてきた。

ソラチエース100%のシングルホップビール

―:4月9日(火)に新商品「Innovative Brewer SORACHI 1984(以下、SORACHI 1984)」が発売されます。まずこちらのビールについて教えてください。

新井:ソラチエースを100%使った商品になります。一部日本産を使っています。

―:日本産ソラチエースは、まだ収穫量としては少ない?

新井:まだ難しいですね。昨年、インターネットで発売した「伝説のホップ ソラチエース」は、1本1,000円もしてしまうほど日本産ソラチエースはまだ希少なホップです。こちらを使うと多くの方に飲んでもらうことが難しくなってしまいますので、今回はアメリカ産を使用しています。

―:ソラチエースを使ったビールを第1弾として発売しようとした理由を教えてください。

新井:「Craft Label」「Innovative Brewer」で色々なことにチャレンジをしてきました。そのなかで、お客様の反応が良かったこと、私たちが挑戦したいと思っていた「新しいビールの楽しみ方を提案していく」ということを考えたときに、我々しか持ちえないリソースであるソラチエースを活用した商品をフラッグシップブランドとして今一度、世の中に大きく出していきたいという思いが合致し、発売が決まりました。色々なストーリーのあるホップですが、単純に新商品を発売するという魅せ方ではなく、「日本のものづくりがまだまだ世界を驚かすことができる」というメッセージも伝えながら販売していきたいと思っています。

―:どのようなお店で購入できるのですか?

新井:全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、酒販店などの店舗でお取り扱いいただく予定です。

―:ようやく全国どこでも普通に買えるわけですね!

谷:去年まで、SNS等には「東京以外では買えないのですか?」という声をいただいていましたからね。

新井:ようやく(笑)通年で買えます! でも実は、新橋の「BIER KELLER TOKYO新橋店(https://www.hotpepper.jp/strJ001126624/)」などのサッポロライオンチェーンの一部の店舗で既に提供が始まっています。

―:えっ、そうなのですか?

谷:去年の12月から販売し始めていました。

新井:ぜんぜん宣伝してないけど、実は飲んでいる人います(笑)。

5年越しの思いが込められた「SORACHI1984」

―:これまでもソラチエースを使った商品を発売してきましたが、これまでのビールとは違うビールなのですか?

新井:違いますね。昨年、インターネットで発売した「伝説のホップ ソラチエース」は、ピルスナーで仕上げました。今回、発売する「SORACHI1984」は、ゴールデンエールです。以前、発売した「Craft Label THAT’S HOP 伝説のSORACHI ACE」の方に近い感じです。ソラチエースの特徴がしっかり感じられると思います。

―:新井さんのお話を聞いていると、ソラチエースに対する思いを強く感じます。どんなホップなのでしょうか?

新井:私自身がソラチエースに出会ったのが、2013年~2014年にドイツに留学していたとき。色々な国の醸造家たちから、よくソラチエースという言葉を聞いていました。その時点では日本生まれのホップで、しかもサッポロビールが開発したことを恥ずかしながら知りませんでした(※1)。海外で人気を集めていることも後に知りました。海外の醸造家からみると「なぜ、日本生まれのホップが海外で人気になっていることを知らないのか?」という感じがありまして、「日本生まれのものが海外で流行るということは、これはいいホップなのだろうな」と。だったら「もっと日本の人に気軽に飲んでもらいたい」という思いを長年もっていました。当時は冗談で「ソラチエース株式会社をつくって活動していこう」なんて話したりもしていましたね(笑)。日本に帰国後は、商品開発に携わる立場になり、少ない販売量であっても、日本人にソラチエースが気軽に楽しめる環境をつくりたいと思いチャレンジしてきました。

※1、日本では商業的栽培はしていなかったため、サッポロビール社員でも知っている人はほとんどいなかった。

―:なるほど。今回、全国展開するにあたり他の商品案は出なかったのですか?

新井:もちろんありました。でも、ソラチエースのストーリーや味の特性が際立っていました。他にも様々なホップがありますが、海外で日の目を見たというのは面白いですよね。これはなかなか意図的につくれる物語ではないですよ。

―:当時の日本(1984年)では普及することがなく、アメリカで栽培されるようになりました。2000年代に入り、評価を得るようになって海外の色々なビールで使われたことで、日本でもその名前が知られるようになりました。確かに狙ってできることではないと思います。

ホップなのに金色?

―:いくつか気になった点にラベルがあります。ホップをフォーカスしたビールであるなら、イメージ的に緑色を使うのが、一般的だと思います。しかし「SORACHI1984」は、ホップを金色で表現しています。これにはどのような思いがあるのでしょうか?

新井:ホップを前面に推し出すかということは悩みました。というのもホップを意識したビールではあるのですが、日本のものづくりのすごさや、日本らしい凛とした力強さなどパッケージでも伝えたいと思っていました。メンバーでいろいろと議論し、最終的にはやはりホップを見せていく形になりました。でも、色を緑にしてしまうと、「別にソラチエースである必要はない」と。このホップならではのカラーを考えたときに、「伝説のホップ」というキャッチコピーでやっていることが分かる「力強くて凛としている」ということが表現できる色として金色を選択しました。

―:おぉ~。

新井:それだけではなくて、実はホップの中にうっすらと「A」の文字が入っています。

―:(見本缶をみながら)あ、本当だ。ぜんぜん、気づきませんでした。

新井:ソラチエースの「A」です。色々なところで私たちの思いが入っています。

缶ラベル。金色のホップのなかに「A」の文字が透かしで入っている。【画像提供:Innovative Brewer】

―:昨年は色々なコンセプトのビールを登場させてきました。今年は、「That’s HOP!」と「That’s WOW!」という2つの軸を打ち出しています。

新井:去年までは規模としてはかなり小さくやってきました。今年はブラッシュアップもしながら、規模を大きくしてやっていこうと考えています。

―:昨年発売したInnovative Brewer商品の反応はいかがでしたか?

新井:飲んでくださった方からの反応は上々でした。しかし、店舗に置いてなかったとかラベルデザインが既存のビールから離れたデザインであったため、購入してもらうに至るまでが難しかったです。一昨年発売した、ホップを際立たせた商品である、「Nelson Sauvinの真髄」「絶妙のMosaic&Citra」の方が、ビールとイメージされやすく手に取ってもらいやすかったです。今回、ホップも改めて魅せていくのもここでの経験が活きています。

―:それを踏まえて「SORACHI1984」は意識してデザインされた?

新井:そうです、意識しています。多分、ホップを際立たせた魅せ方の方が購入される、一般のビール好きの方にとっては安心感があるのかなと思います。

―:昨年は、ちょっと先を行き過ぎた感じでした?

新井:う~ん。時代が追いついてくる部分もあるでしょうし、私たちが合わせていかないといけない部分もあるでしょう。そこはトライ&エラーを繰り返しながらですね。今年の「That’s WOW!」の路線は、また去年までとはぜんぜん違った感じになると思いますよ。ぜひお楽しみに。

―:年間でいうとどのくらいの商品を考えていらっしゃいますか?

新井:3商品くらいでしょうか。

―:2つの軸があることでお互いのキャラクターが立ってきますね。

新井:そうですね。

―魅力的な商品を開発して世に出していくなかで、昨年1年間やってきて「Innovative Brewer」として必要なことはどんなことでしょうか?

新井:小さい範囲でやっていても難しいなと。もっと大きな活動(運動)を起こしていかないと難しいと感じています。何かイノベーションを起こすには、自分たちだけでやるのではなく、他の何かとコラボレーションみたいな形も必要だと思いますし、メディアに取り上げてもらうことや一般の人たちに浸透いくような活動をしていかないと広がっていかないと感じています。

―:イベントやキャンペーンとかでしょうか?

新井:それも1つですね。「That’s HOP!」でいえば、「ホップでビールを選ぶのって楽しいね」という感じで、今までにない楽しみ方が自然と広がっていくことが私たちの思い描いていることですね。

―:そうなっていくといいですね。

新井:継続的に発信していこうと思っています。

あなたの声が大きな力に!

―:今回、発売にあたり目新しいなと感じたのが、「1984人のミッションアンバサダー募集キャンペーン」です。これについて教えてください。

谷:ホップ自体の認知度も思っているほど高くないですし、さらに、ソラチエースというホップを知らない方がまだまだ多いと思います。一方で、ビールへの関心が高い方は、ソラチエースを待ち焦がれて探してくださると思います。そうしたビールへの高い関心をもつ方たちに先にこの商品の味わいを体験していただき、その感想を発売前のタイミングでSNSを通じて発信してもらうミッションを担うアンバサダーを募集するキャンペーンです。

―:どうすればアンバサダーになることができるのですか?

谷:現在、「Innovative Brewer」のホームページから2019年3月11日(月)まで申し込むことができます応募サイトはこちらから https://sorachi1984-precp.jp/。当選したお客様の手もとにミッション内容を記載したアンバサダーキットが届くのは3月下旬になります。みなさんの言葉でこのビールへの思いを発信してください。

―:では、最後にファンの方たちに一言お願いします。

新井:一番お伝えしたいのは、「お待たせしました!」ということです。 販売エリアも含め、これまで大きく展開することができませんでしたが、4月9日(火)からは全国で購入することがきるようになりました。ご期待くださいというのもありつつ、お楽しみいただきたいと思います。

今年は、「いろいろ動いていきます」と新井健司マスターブリュワー。

◆Innovative Brewer SORACHI1984

品目:ビール

発売日・地域:2019年4月9日(火)・全国

パッケージ・価格:350ML缶・250円(参考小売価格 ※消費税抜き)

原材料名:麦芽(外国製造又は国内製造(5%未満))、ホップ(ソラチエース100%使用 米国産使用、上富良野産一部使用)

アルコール分:5.5%

商品特長:・エールビール ・ヒノキやレモングラスを思わせる心安らぐ香り ・飲んだ後、口の中にふわっと広がる旨味

販売計画:22万ケース(350ML×24本換算)

【キャンペーン概要】

1984人の「Innovative Brewer SORACHI1984」アンバサダーを募集。選ばれた方には同商品のアンバサダー缶2本とブランドストーリーブックをプレゼント。アンバサダーからこの飲用体験の感想をSNS上で情報発信。

・募集期間:2019年2月7日~3月11日

・応募資格:日本国内にお住いの満20歳以上の方

・詳細はサッポロビールホームページでご確認ください。

この件に関するお問い合せ

サッポロビール(株)お客様センター TEL:0120-207-800

Innovative BrewerInnovative Brewer SORACHI1984ソラチエースビール誕生秘話

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

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<Web>
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