[ビアバー,ブルワー]2019.3.15

高円寺「アンドビール」リニューアルとさらなる飛躍へ

カレーとビールを美味しく味わえるお店、高円寺「アンドビール」が、2019年2月22日にリニューアルオープンしました。新しくなった「アンドビール」の魅力と想いをお伝えします。

カレーとビールのお店「アンドビール」

「アンドビール」は、ビール醸造家 「安藤 祐理子」氏とカレーのシェフ「安藤 耕史」氏のご夫婦で切り盛りされており、それぞれがその道のプロに学び、研究や修行を重ねて開いたお店です。店名の「アンド」は苗字の「安藤(Ando)」と、ビール以外も美味いもの、ハッピーなものを提供していきたいという由来があります。

左: ビール醸造家「安藤 祐理子」氏、右:カレーのシェフ「安藤 耕史」氏

広くなったお店

新たなアンドビールの客席は、24席(カウンター6席、2人掛けテーブル2台、4人掛けテーブル2台、6名掛けテーブル1台)となり、大幅に増えました。この拡張には、リニューアル前はモルトなど原料を置いていたスペース、醸造設備のスペースだった箇所の約半分を、新たな客席にすることで実現しております。キッチンの拡張として、醸造設備のスペースだった箇所の残り半分は、調理機器や食器洗浄機の設置場所などに使われました。席数の増加の伴い、カレーなど料理の提供量も増え、お皿など洗い物も増加するので、良い設備投資の印象です。

写真提供:アンドビール (左)発酵タンクのあったスペースが客席とキッチンへ、(右)モルト置場が客席へ

本格的なスパイスカレー

カレーのシェフ「安藤 耕史」氏は、昨年2018年にはインドなど、海外でさらにカレーやスパイスの修業を積みました。そのシェフが作るカレーは多種あり、季節によっても変わりますが、ほぼ3種類が提供されています。単品でも美味しいですが、2種盛や3種盛など、合い掛けもおススメします。なお、月数回はビリヤニ定食を提供する日があります。

写真提供:アンドビール (左)3種合い掛けカレー、(右)炊き立てのビリヤニ

オリジナルビール

カウンター側の壁面6タップにて、ビール醸造家 「安藤 祐理子」氏の醸造したオリジナルビールを主とした、クラフトビールが提供されます。ビール以外にも、サイダー(シードル、リンゴの醸造酒)もつくられています。提供するビールのスタイルは、 縁のある農家の果実を使った爽快で飲みやすいもの、隣のお店のコーヒーを使った芳醇なものなど多彩です。また、「安藤 祐理子」氏は、WIPA(Double IPA)が特に好きとのことで、ホップを多種多様に使ったものやハイアルコールのビールを良くつくられている印象です。是非、カレーとビールのマリアージュを楽しんでください。

(左)WIPA、(右)シードル Apple Apple Apple

拡張された醸造設備

リニューアル前は、糖化釜と煮沸釜、発酵タンク250Lが3基などの醸造設備がお店の奥に設置され、ガラス越しに見えました。これらの醸造設備は、お店近くの新醸造所へ移設。そして、発酵タンク250Lを1基、400Lを2基、グリコールタンク1基とグリコールチラー(熱交換器、冷却装置)など多数の醸造設備を追加し、醸造の規模は倍以上になりました。さらに、ケグ(ビールの樽)を保管する大型の冷蔵庫も追加予定とのこと。ビールの醸造量が増えるので、お店はもちろん、ビアフェス等イベントへの出店も行っていくと伺いました。また、新醸造所に試飲スペースをオープンする計画もあり、醸造設備を見ながらビールを味わうことが、出来るようになります。「アンドビール」を、味わえる機会が増えるのは楽しみです。

(左)新醸造所へ移設・搬入直後の発酵タンク、(右)写真提供:アンドビール 稼働にむけ整備中の醸造設備

リニューアルの経緯と今後について

「アンドビール」は、2017年8月末にオープン、2018年2月5日に醸造免許取得、2018年3月11日に初のオリジナルビールをリリースしてきました。リニューアル期間の2019年2月12~21日に一時閉店し、醸造設備の移設・拡張、お店の工事等を実施。そして、2019年2月22日にリニューアルオープンしました。

リニューアルの経緯と目標

「アンドビール」の事業拡張としては、ビールの醸造量を増やすこと、お店を拡張して客数を増やすことが必要でした。まず、ブルワリーの拡張として、醸造設備の増強を計画。新醸造所の場所を探している中、良い物件に巡りあったため、このタイミングでリニューアルを決意されました。醸造設備の移設に伴い、お店のスペースにも空きが出来るので、同時にお店の拡張を実施。また、新たに「アンドビール」の仲間となる方もおり、設備だけでなく、人員も増強されます。

「アンドビール」は、オリジナルビールのリリースから1年を経たずで大型拡張を行うなど、事業拡張が速い印象です。それには、夫婦二人で事業を行いつつ、それぞれの担当分野を明確に分けて、持続可能な形で運営してきた背景があります。担当分野が違うので、お互いリスペクトしあえること。そして、お互いのやりたい気持ち、タイミングを尊重しあうことが、事業の成長につながりました。もし、大きくしたいと高望みしても、それをやりたいという人が付いてこなかったり、気持ちが追い付かなければ、実現できません。今後の目標は、「自分たちの気持ちに真っすぐ働ける環境をつくること」とのことです。

ビールづくりへの取り組み

「安藤 祐理子」氏は、今後は醸造するビールの種類を増やし、量も安定的に提供できる様にします。ビールの種類増としては、これまでは設備都合でつくれなかったサワー系のビールや、保管場所の都合で出来なかった長期熟成ビールに挑戦。ビールの供給量増加としては、仕込みを1日に2回行う「ダブルバッチ」に挑戦し、1日の仕込み量を増やすことで、発酵タンクの容量増に伴ったビール醸造量増の実現を計画。また、ビール醸造およびその前後の工程の効率化も図ります。例えば、電動ミル(ビール醸造にて、麦芽を破砕する工程で使用する設備)の製作、ケグ洗浄機(ビールの樽を洗う機械)の確保などです。ビール醸造の負担を減らしつつ、ビールの種類と量を増やすという、地道ながら効率的な取り組みをされます。

ビール醸造家「安藤 祐理子」氏

より、美味しいカレー作りを!

「安藤 耕史」氏は、今後も季節感のある新作カレーを野心的に作られます。型にとらわれないフリースタイルを貫いており、インド、ネパール、スリランカを始め各国で学んだ料理にインスピレーションを受けた、「ジャパニーズ創作カレー」を提供。また、スパイスをつかった気の利いた料理を増やし、「ビールとのマリアージュをより一層楽しめる店」にしていきます。「インプットなくしてアウトプットなし」との格言を持たれており、今後も様々な国を旅し、そこで学んだ経験により、美味しいカレー作りに励まれることでしょう。

カレーのシェフ「安藤 耕史」氏

アンドビールで、カレーとビールを楽しもう

今回のリニューアルは、お店や醸造設備が拡張されただけでなく、カレーやビールづくりへの想いも、さらに強くなっていることが伺えました。「アンドビール」は、今後のさらなる飛躍が楽しみなブルワリーです。カレーとビールを楽しめるお店でもあり、是非訪れることをおススメいたします。

この記事が、素敵なビールとの出逢いに役立てれば幸いです。


■アンドビール
東京都杉並区高円寺北4-2-24 105

営業時間:
[月火] 定休日
[水木] 11:30~14:00、17:00~22:00
[金]  11:30~14:00、17:00~22:30
[土日] 11:30~22:00
[祝]  11:30~22:00

FACEBOOK:
https://www.facebook.com/andbeerkoenji/
INSTAGRAM:
https://www.instagram.com/andbeer_koenji/

※臨時休業や営業時間の変更の可能性もあります。
訪れる際は、事前にご確認をお願いします。

アンドビールカレークラフトビールビアバーブルワリー醸造所

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

アバター画像

この記事を書いたひと

Atsushi Taguchi(田口 篤史)

ビアジャーナリスト/ビアライター

ビール大好き!ビールを求めドイツやベルギーを中心にヨーロッパをよく旅していました。
世界にも日本国内にも、素敵なビールはまだまだたくさんありますので、巡りたいところは尽きません。
ビールの素晴らしさ、楽しさを多くの人に伝えていきたいと思います。
Enjoy!Beer!

ストップ!20歳未満者の飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。
妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。