和食でビール体験レポート1 お花見×漆器×ビール
桜前線が日本列島を北上中の今、王道なお花見をビールとともにやってみた。「お花見」とはそもそもどんな行事なのか? 調べてみた。一般に広まったのは江戸時代。徳川吉宗が、飛鳥山へ江戸城内より桜の木を移植するなどして、江戸各所に桜の名所を作り、お花見を江戸庶民が楽しめるようにしたのが、現在のようなお花見の始まりといわれる。目的は庶民に息抜きをさせることだったというから、当時ビールがあったなら、きっとプシュ!プハー!とお花見に一役買っていたに違いない。
お花見に欠かせないのはビール、そして「漆器」
お花見に欠かさないものといえば、お酒と「お花見弁当」。今回、そのお花見弁当も作ってみた。落語の「長屋の花見」にもあるご馳走といえば「卵焼き」だ。おせち料理にも欠かせない「お煮しめ」。その他、ビールに合わせやすそうで、桜の花をイメージする料理を作った。次に料理を詰めるものとして欠かせないのが、漆器の重箱、弁当箱だ。そこで、自らをウルシストと名乗り、漆器文化を絶やさないよう活動をしている、加藤千晶さんに今回、応援を頼んで一緒にお花見をしてもらった。手持ちの漆器のお重、弁当箱と加藤さんからお借りした漆器にお料理を詰め、桜の名所でお花見をしたいと考えたからだ。
「漆器は、軽くて、割れないですから、プラスチック容器などのない江戸時代には、アウトドア必須グッズだったわけです。お花見用の花見弁当箱、花見重などもあります。何より、お料理が引き立つし、華やかにもなります。漆器の杯は、口当たりが優しく日本酒が美味しくなるので、漆器のビアグラスもこれから作っていきたいと思っています」という。来年のお花見は酒器も漆器で、ビールでお花見を楽しめるかもしれない。
漆器は欧米では「Japan」とも呼ばれる日本を代表する食器。(同様に磁器のことを「China」という)。中身は木なので、熱を通しにくく、熱いものを入れても熱くならず手に持ちやすい。軽いので、バリアフリーな器としても注目されている。なにより口当たりが優しいので繊細な味が楽しめる。日本人として使い続け、世界に広めていきたい食器なのだ。
千鳥ヶ淵の桜の下で、漆器×ビールを満喫
お花見を決行したのは、千鳥ヶ淵公園。皇居とお堀、その水面に沿って咲き誇る桜を愛でながら、お花見弁当を食べ、ビールを堪能した。とりあえずのビールに用意したのは、ヒューガルデンホワイトと桜の花。桜の香りと塩気を白ビールのクリーミーな泡とともに楽しめた。ビールのスフレを楽しんでいるようで、なかなかの正解!
ビールは季節限定醸造された桜のビールをいくつか用意し、ペアリングを体験した。出し巻き卵には、ピンク色の彩りを添えたくて、桜でんぶを入れたのだが、この甘みのアクセントが、ビールの苦みと相性抜群だった。
伊勢角屋麦酒 限定醸造 花酵母シリース さくらペールエール
アルコール4.5% 東京農大の「農大花酵母」を使用。
やさしい苦味、ほんのり酸味、さくらの花の酵母の香りはすっきり爽やかで花というよりはマスカットや青リンゴのようなアロマ。品が良くて清楚なイメージのペールエール。明太子クリームチーズを詰めたプチトマトとバランスが良かった。前菜に合わせやすそう。
サンクトガーレン さくら
アルコール5% 楽風舞という酒米も使用し、桜も使用。
もう、この季節のおなじみになっている桜ビールの定番。まるで桜もちのようなフレーバーがしっかりと残り、甘みもあるので、桜がないところでも花見が体感できるビールだ。アスパラにローストビーフを巻いたひと口おつまみに、まさに桜のアクセントを調味料のように加えてくれ、バランスが良かった。
網走ビール 春季限定 桜エール
アルコール5% 桜の花びらを使用し、アントシアニンでピンク色にしたビール。
ピンク色で、桜の香り、甘みもあり、お酒に弱い人でも楽しめそうなビール。少し塩気のあるおつまみとの相性がいい。ちくわに明太子を詰めたものに良くった。
富士桜高原麦酒 季節限定 さくらボック
アルコール8% モルトを2倍使ったドッペルボック
3ヶ月熟成させて、桜の時期に合わせて毎年発売されるビール。じっくりゆっくり楽しめるから、まだまだ肌寒いお花見には、実はぴったりのビールだ。しっかりと味を染み込ませた干し椎茸のお煮しめとの相性は抜群だった。
1期生 根岸絹恵
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