国税局もクラフトビールを応援しています!~関東信越クラフトビール醸造ワークショップ~
ビールに愛された皆さまへ!
3月26日、さいたま新都心の合同庁舎1号館において、関東信越国税局主催の「関東信越クラフトビール醸造ワークショップ」が開催されました。
管内6県(茨城・栃木・群馬・埼玉・新潟・長野)のクラフトビールの醸造場の約40場、60名ほどの関係者があつまり、
半日かけてレクチャーを受けたり、約80種のビールのきき酒勉強会を行い、意見交換をし相互に交流を持ちました。
国税局よりご案内いただいたので、その様子をリポート致します!
目次
1時間の記者レク
記者レクとは、取材が始まる前の記者に対するレクチャーです。
今回のワークショップの目的などを説明し、
その業界の概要やルール、取材の前に抑えておきたいポイントや専門用語などを軽いジャブ程度に教えてくれるので、
まるで無知な状態でとんちんかんな振る舞いや言動をしてしまうことを予防してくれるのです。
(酒税法上のビールや発泡酒の分類や、ビールの製造工程・ビアスタイルについてなど)
醸造場の参加者の皆さまは実習~きき酒会
私たち記者が集まるよりずっと早くから、ブルワリーの皆さまは別室で説明や講義を受けていらっしゃいました。
地ビール製造業者のための衛生管理や製造の留意点など技術的な話などもあったとのこと。
「クラフトビールの品質向上と今後の可能性」という講義もあり、
講師はおなじみスプリングバレーブルワリーのマスターブリュワー田山智広氏。
ちょっと前に別のイベントでお会いしたばかりだったので、
「なんでいるの?動画はやめてね」とニコニコ。
※3月16日のビアダイアログというイベントで撮影させて頂いておりました!
田山さんご出演のビアダイアログの動画紹介記事はこちら⇒前編・後編
数えきれないほどのオフフレーバーのサンプルキット、国内外のビールでのきき酒会。参加ブルワリーから持ち寄られたビール・発泡酒から約60点がずらりと並び、また今回初めて、海外メーカーのビールも試飲することができました。
テーブルごとにジャンル分けされたビールを試飲しました
関東信越国税局 主任鑑定官の石渡英和氏にお話を伺いました
今回のワークショップは、管内の免許者が対象の施策です。
国税局でこういった取り組みをしているのは、酒類業の健全な発達を所管しているので、こういった施策を通じて品質の向上につなげていただきたい、あるいは前半では品質管理や酒税についての講義もあったのですが、コンプライアンスをもって取り組んでいただきたい。
といことで、そういった場を提供しています。
日本酒なら酒造組合というまとまった団体がありましたが、今、クラフトビール業界については個々になっていて、組合のような組織がありません。
自分の力だけでは情報入手や、別のブルワーさんの声をきくのも地理的にも難しいと思われるので、情報交換の場の提供という環境づくりをするという意図もあります。
比較的立ち上げて間もない方も多く参加されています。そういった方にもいい刺激の場になっているのではないでしょうか。
全製造者にご案内しており、3回目になりますが毎回おおむね6割から7割の製造者が来てくれています。
オフフレーバーの講習も多くの種類を揃えました。市販のキットで20種を試してもらいましたが、慣れた方はかなりの数の識別ができると思います。はじめのうちは、その半分ぐらいしか分からなくても十分かもしれません。
講師としてキリンビールの田山氏に来て頂きました。
ナショナルブランドでありながら、クラフトもやっていらっしゃるので、いろいろなお話が聞けると思いお願いしました。毎回違う講師の方に来ていただいています。
大手メーカーもきき酒のビールを出して頂きました。大手企業の方と規模の小さなブルワリーさんの交流もできたと思います。
今回のワークショップに参加されていた、ブルワーの方にお話をお伺いしました
長野県諏訪市の清酒麗人 地ビール諏訪浪漫 麗人酒造株式会社の醸造責任者の藤森氏、富澤氏のお二人です。
今回で3回目のワークショップとのことですが、何回目のご参加ですか?
3回目です。毎回参加しています。
ブルワリー同士のつながりや、技術向上のために行われているとのことですが、いかがですか?
このワークショップだけではなく、いろいろなイベントなどでお会いするブルワリーの方々と知り合ったり顔見知りになるので、「また会いましたね」という感じでつながりは増えてきます。
クラフトビールのブルワーの方々は、色々なことを教えてくださいます。それこそ、作り方の本当に深いところまで。それは、日本酒の醸造もやっているのですが、ビール以外のお酒では考えられないことです。
諏訪で日本酒も作っていらっしゃるんですね。
諏訪市は日本酒の蔵が9つあり、うちを含めて、諏訪の有名な銘柄「真澄」の近くに5分以内の距離で5つの蔵があります。
また、諏訪は恵まれていて、車で30分ほどのところに杜氏の集団が住んでいるので、住み込みではなく通いで来ていただけるほどの環境です。
うち(麗人酒造)では日本酒とビールを醸造していますが、以前は夏はビール、冬は日本酒、と作ってきました。
今は農家の方自体が減ってきていることもあり、ある意味、雇用対策ということもあって始まったのですが、年間を通してちゃんと雇用をしていくという目的もありました。
今ではビール事業の方が忙しくなって、通年で作っています。
今回、たくさん銘柄が揃った試飲会ですが、どのように飲んでいるのですか?
すぐに手に入らない銘柄や、なかなか飲む機会のない他所のメーカーのビールを飲むことができるので、勉強になります。
また、今回は海外の銘柄も扱われていて、貴重なものも味わうことができて良かったです。すべて入手することは難しいので。
コンペなどにも出していますか?
インターナショナルビアカップやワールドビアアカップに出しています。
『2018ワールドビアカップ』にて「信州浪漫ビールオリジナルエール」が銅賞を受賞、
2018年9月開催の『インターナショナルビアカップ』において
「諏訪浪漫ビールしらかば(ケルシュ)」「信州浪漫ビールウィートエール」の2商品が銀賞を受賞
それはすごいですね。ぜひ、来年のジャパンブルワーズカップへも出品・ご参加ください!ありがとうございました。
酒類業の健全な発達の任務のために
国税局といえば税金を徴収するためのお役所、と少し堅い イメージもあるかもしれませんが、このように地域の産業の振興を考え、このようなワークショップなどを開催しています。他にも日本ワインについても同様のワークショップ(今年で4回目)もあり、また古くから日本酒の鑑評会なども行っています。お酒を造る業界は、どうしても地域単位の内々での作業で、昔からの地産地消で完結している場合も多いことから、石渡氏のようにお酒の鑑定官として管内をくまなく飛び回って技術指導や需要促進など、情報提供・共有することに奔走されている方もいるのです。私たちも飲むだけではなく、お酒を造る裏側を支える人々がこんなところにもいらっしゃるということを、少し感じてもいいのかもしれません。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。