ビア女の酒場放浪記(51)平成から令和へ、お伊勢参りで伊勢角屋麦酒【後編】
【前編】では、お伊勢参りと、直営店で楽しめる伊勢角屋麦酒×地元フードのペアリングをご紹介しました。
お次は、伊勢で世界に羽ばたくクラフトビールを造る伊勢角屋麦酒の醸造所を旅します。
その前に、豆知識。
伊勢角屋麦酒を造る「二軒茶屋餅角屋本店」の創業は1575年!
織田信長・徳川家康ら活躍した戦国時代の末期です。
伊勢神宮へ参拝する海路であった船着場の近くで、旅人をお茶やお菓子でもてなす「茶屋」として始まりました。
1923年(大正12年)からは味噌や醤油を醸造。
現在も昔ながらの天然醸造で、伊勢うどんのつゆなどに使われるたまり醤油や味噌、素朴な餅を作り続けています。
伝統の醸造技術を基に、21代目当主の鈴木成宗さんが伊勢市神久にクラフトビール醸造所「伊勢角屋麦酒」を立ち上げたのは1997年のこと。
造ってもなかなかビールが売れない辛い時期もあったということですが、今では世界が称賛する人気醸造所です。
その秘密を知るべく、醸造所を見学させていただきました。
下野の新醸造所でもゴールドメダル獲得
訪れたのは昨年2018年7月に稼働を始めたばかりの、下野新醸造所。
ピカピカに磨かれた2,000リットルのタンクが並ぶさらに奥には、さらに4,000リットルの発酵熟成タンク10本がどどーんと設置されています。
新醸造所では1回につき4,000リットルのビールが仕込めるようになりました。
現在は週に3~4回のペースでビールの仕込みが行われており、10日間ほどの発酵、3週間ほどの熟成期間を経て出荷されています。
設備が大きくなったことで、20種類のビールを同時に造れるようになりました。
年間で40種類ほどのビールをリリースを計画しています。
「とはいえ、一回の仕込み量が多い分失敗は許されません。最初に新商品を仕込むときはいつもより緊張しますね」とブルワーの佐々木基岐さん。
「使い慣れない設備に当初は苦戦した」とのことですが、新醸造所で造られたペールエールが今年3月に行われたビール界のオスカー賞といわれる「The International Brewers Award」(IBA)で金賞を受賞しました。
前回大会の2017年にも神久醸造所で造られたものが受賞しており、2大会連続の受賞です。
神久醸造所、下野の新醸造所の2つの醸造所で受賞、さらには平成と令和での受賞になりました!
伊勢角屋麦酒、唯一無二のビールの秘密
伊勢角屋麦酒では、世界に認められる高品質のビールを造り続けるために、徹底した品質管理を自社で行える仕組みがあります。
審査員資格を持ったスタッフによる官能検査を繰り返し行い、
さらにビール醸造を理論的に捉えられるよう、専門的な知識を持ったスタッフによる検査・分析・酵母培養が行われていました。
ビール醸造の主役「酵母」も然り。
最良の状態で培養、適量を投入し、各工程での検査分析をかけ、繊細なビールへの細やかな品質管理が日々行われています。
また、伊勢角屋麦酒だけの“特別な酵母”の存在もあります。
「ヒメホワイト」に使用された酵母「KADOYA 01」は伊勢神宮別宮の「倭姫宮」(やまとめのみや)近くの樫の木の樹液から取り出したもの。伊勢神宮の神秘的な力も感じます。
こちらも、IBA2019のSpeciality Wheat Beer部門で銅賞受賞です!
東京農大により花びらから採取された酵母を使用した「花酵母シリーズ」など、
自然界の様々な場所や植物などから酵母を採取、培養することによって造りだされる唯一無二のビールは人気です。
さらに、最近ビアファンをざわつかせているのは、高品質なホップを駆使したIPAシリーズ。
「Neko Nihiki」は、白濁した外観とトロピカルジュースのようなジューシーな香り、苦みを抑えた柔らかな飲み心地が特徴で、発売と共に予約が殺到する人気商品。
アメリカのカルミネーション醸造所とのコラボビールで、ホップが贅沢に投入されています。
醸造所も拡大してますます活躍しそうな伊勢角屋麦酒。
伊勢神宮の雰囲気丸ごと味わって頂きたいところ。
お伊勢参りと一緒に伊勢角屋麦酒参りはいかがでしょうか?
旅に行けない方は、通販でお取り寄せしておウチで味わうこともできますよ。
下野新醸造所の詳細は木暮亮さんのこちらの記事をご覧ください。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。