コーヒービール飲み比べ&温めてみました
ぐっと寒くなり布団が恋しい季節が到来しましたね。まさに秋冷の昨今、皆様いかがお過ごしですか。
私は寒いのでビール飲んでます(もう何度目か使い回している表現)
面白いもので、この時期くらいから濃厚な味の飲み物のマッタリ感が恋しくなってくるのです。
例えば、コーヒー。
あの香ばしい香りは唯一無二ですよね…
実は私、ビールもコーヒーも大大大好きで…と手放しに言いたいところなのですが、
白状するとコーヒーを飲むと本当にすぐトイレに行きたくなってしまうので、
飲みたいのに結構我慢しています。くやしい。
だったらいっそ、コーヒービールならコーヒーじゃないのに香りもビールも味わえてお得だ!
と自分を鼓舞してしまったのです。
でもコーヒービールって色も香りも比べにくくてどれから飲んでいいのかわからない…
だったらもう、飲み比べてみればいいじゃない!
などと、また錯乱している今。
そんなわけで、コーヒービールの飲み比べを思いつきました。思考回路はショート寸前。
コーヒービールの定義と紹介
というわけでコーヒービールを一斉に飲み比べることにしました 。
実はビアスタイルガイドラインを定めているアメリカの団体「ブリュワーズアソシエーション」では、
ビールのスタイルとして、きちんとコーヒービールという項目を設けています。
その定義は、ベースにしているビールが何なのかは明示される必要がありますが、
豆でなくてもコーヒーを使用しているのであればそのエッセンスだけでも良いようです。
つまりコーヒーが入っていれば何でもあり。
ユルいです。
いざ飲み比べ
では早速今回飲み比べに選んだのはこちらのビールたち。
条件として「コーヒーのアロマを感じそう・・・」というビールではなく、
「実際に使用している」ビールに限りました。
圧巻です。
コーヒー味のビールだけを集中して飲むチャンスはそうそうないので思考回路はロースト寸前。
順に紹介していきましょう。
モダンタイムス/アメリカ/ブラックハウス オートミールコーヒーロースティー スタウト
サンディエゴでもトップクラスに有名なアメリカの醸造所で、元バラストポイントのメンバーがいたり、野生酵母やヘイジーIPAなどのビールも軒並み人気と挑戦的でありながら高い品質を誇ります。
コーヒーも自家焙煎というこだわりようで、さらにオートミールを使用したハイスペックな一本。
ミッケラー/デンマーク/サンディエゴ ビアギーク ブランチ
出身はデンマークですが、その冒険的な作品群で決まった醸造所を持たずプロデュースし続け、「ファントムブリュワー」という言葉を世界に広めた立役者。
先日日本で行われたイベントも大盛況でもはやクラフトビール界では説明不要な存在ですが、
この商品はエールスミスと組んでアメリカで仕込んだ商品シリーズの、オートミール&インペリアルスタウト。
因みに弟もまたニューヨークを拠点にするファントムブリュワリー、「イーブルツイン」の代表。
サンマイ/台湾/コーヒースタウト
最近上陸し瞬く間に日本でも扱うところが増えた、飛ぶ鳥を落とす勢いの台湾の醸造所です。
本国での受賞歴だけでなく、コラボやタップテイクオーバーにも積極的であったり、
音楽ジャンルをラベルやコンセプトに結びつけているところも若者に受け入れられた要因かもしれませんね。
この商品の場合は、シューゲイザーというロックの一ジャンルをテーマに掲げられています。
黄桜/京都/UCC BLACK 珈琲麦酒
あの国民的コーヒー「UCC BLACK無糖」が今年で発売25周年というのを記念して、
なんとUCC上島珈琲、黄桜、三井食品が共同開発した、醸造段階でUCC供給の焙煎コーヒー豆を1週間漬け込んだ黒ビール。
因みにこちらは限定商品です。
アメリカ/スモッグシティ/コーヒーポーター
激戦区ロサンゼルスで地元民に愛されながらもフラグシップビールを持たないという変わった特徴も兼ね備えているのがスモッグシティ。
サワーやバレルエイジドビールがやはり定評があるようなのですが、
こちらのコーヒーポーターは老舗カフェのコーヒーを使用し「グレートアメリカンビアフェスティバル」や「サンディエゴインターナショナル」入賞も獲得した実力派!
アメリカ/ローグ/コールドブリュー2.0
こちらもアメリカを代表するブリュワリーの一つとして説明不要のマンモス醸造所。
特徴的なラベルだけでも見かけたことがある方は多いのでは?
巧みなホップ使いが特に評判ですが、こちらの商品は何とブロンドエールと水出しコーヒーとブレンドをしたという意欲的な一本。
最も今回の企画向きな、色合いも香りも楽しめるビールです!
さて、出揃いましたがアメリカ産が比較的多いですね。
飲む前と飲んだ後の感想
寒くなってきた季節に合うコーヒービールを実際に飲み比べてオススメする企画なので、
全てのスペックをきちんとチェックしなければいけません。
度数から述べると、5%前後が多かったです。
しかしこの中でミッケラーのブランチだけがアルコール度数10%とズバ抜けて高いので
飲むペースには気をつけなければなりませんでした。
コーヒービールなのでスタウトとポーターが多くなるのは必然なのですが、
ローグのビールは唯一ゴールド系。色合い的に軽やかなはず。
きっと気分転換向きです。
実際に飲みだす前にはおおよそそんな見当はつけていました。
では、いざ実飲!
・モダンタイムス/ブラックハウス
比べると一瞬アイスかアフォガートか、はたまたお菓子かと勘違いするほど甘みが強い!!
が、後から苦みが追いついてきます。
コーヒーアロマは控えめで比較的ビールっぽいスペックを成しています。
コーヒー度★★☆☆☆
デザート度★★★★☆
・ミッケラー/ブランチ
鼻を近づけると書庫や古い本のような落ち着いた匂いがするので思わず油断してしまいましたが、
喉に通すとみっしり甘くハイアルコール感が一挙に押し寄せてきます!
…これはコーヒーというよりガトーショコラやチョコレートファッジのシェイクを飲んでいるような気分。
酸味はあまり感じさせないがじっくり時間をかけて飲むタイプです。
エスプレッソ度★★★★☆
黒糖度★★★★☆
・サンマイ/コーヒースタウト
実な飲むのは二度目なのですが、泡立ちの割にはボディは軽く、
以前は感じませんでしたが比べてみると炭酸がハツラツな印象に変わりました。
しかしとにかくベリー系やジャックフルーツのようなフルーティな酸味が支配的!
食中がベストタイミング。
アメリカンコーヒー度★★★☆☆
フルーティ度★★★★☆
・黄桜/UCC
6種中、最もコーヒーアロマに奥行きがあり、香りだけでは完全にブラックコーヒー。さすがUCC。
意外に軽め&苦めでアメリカンコーヒーにかなり近く、甘さも控えめで大人なイメージです。
アメリカンコーヒー度★★★★☆
リラックス度★★★☆☆
・スモッグシティ/コーヒーポーター
泡まで茶色く、甘みも酸味も今回の中では最もバランスがとれたコーヒー然としたビールでした。
また、スモーキーでアイリッシュウィスキーのようなニュアンスもあります。
コーヒー度★★★★☆
大人度★★★☆☆
・ローグ/コールドブリュー2.0
見た目通り、唯一泡の動きが見えブロンドらしく超爽やかに感じました!
他と比べてみるとフルーティな方で香りにもビール自体にも若干甘みが。
しかし味にはちゃんとコーヒーが宿っており比較的軽口で飲みやすい。
嫌みのない酸味とロースト香がありますが、水出しだからかさらっと嫌みがないのです。
コーヒー度★★★☆☆
女性向き度★★★★★
さらに温めてみた
いや、待て。
よく振り返ってみると、コーヒーは大概温かいぞ。
ということで、さらにさらにホットビールよろしく温めて飲み比べてみることにしました。
※ホットビールとはドイツやベルギーに伝わる飲み方の一種で、黒ビールやフルーツビール中心に温めて飲むビールのことです。
シナモンなどを入れて好みの味へ調節することがあります。
ホットビールは体も温まりますし新しいビールの魅力を感じられてオススメです!
しかし温めるってどうすればいいの?という方は、
推奨したいのは湯煎なのですが、鍋に移して直火、
もしくは時間がない場合は電子レンジが良いと思います。
温めてみて気づいたのですが、ビールは温めると泡立ち、甘みを感じにくくなります。
これによりまた印象が変わりました。
ブラックハウス
6種を比較すると最も中間的な味わいとなったのですが、最も本当に本来のコーヒーを飲んでいるかのような、自然な味わいとなりました。
ブランチ
唯一はっっきり甘い。
もはやホットリキュールくらいのインパクトを保っております。めちゃめちゃ酔いますね…
醤油を煮詰めたような香りが若干出てきました。
サンマイ コーヒースタウト
冷えてる時とは対照的に香りからして酸味、さらにおせんべいのような香ばしさが表出してきます。甘さは驚くほど感じなくなります。
UCC
香りはコーヒーそのもの。薄く酸味を感じます。やはりというかコーヒーメーカーですね。
スモッグシティ コーヒーポーター
第一印象、薄くて甘い!からすぐに「すっぱ!」と強く思うほどの酸味に変化。
コールドブリュー2.0
ベースがブロンドエールなので当然なのですがBBQなどで嗅ぐ、ぬるくなったビール独特の香りがあります。しかし味は甘み酸味香りが渾然一体でおいしく飲めてしまいます。ブラックハウスより苦みは控えめ。
人間の舌は温度が極端に冷たいか温かいと甘みを感じなくなる仕組みになっているので(冷たいコーラとぬるいコーラが良い例ですね)
実際のビールの変化と舌先で感じる変化を二重で巻き取ることになります。
すべてを把握するのは難しいですが…
興味深い内容になったかと思います。
これで皆様の好みからコーヒービールを選ぶ参考となれば幸いです!
まとめ
アルコール感と濃厚さならミッケラーのブランチ、
甘くないコーヒーならUCC、甘さがあるならモダンタイムスかスモッグシティとアメリカ勢、
フルーティさも欲しい方はサンマイのコーヒースタウト、
むしろコーヒーが苦手な方こそローグのコールドブリューがオススメ!
という結論に至りました。
ここまで飲み進めてみて、検証のためにさらに家にあったコーヒーとビール(手に入りやすい某大手メーカー)を半分ずつで割ったカクテルを飲み比べてみましたが、
これが黒ビールみたいで思いのほかおいしい。
勿論ブリュワリーが作ったコーヒービールの方がバランスが良い「商品」として仕上がっているのですが、
よくよく考えてみれば、ビールに苦みを求める人、香りを求める人双方が楽しめるわけです。
これは盲点でした。
因みにビールのコーヒー割りカクテルは「カフェ・コン・セルベッサ」という名前のれっきとしたカクテル名があるそうですよ。
濃度やレシピにこだわって作るのも楽しそうですね!
思いたってすぐに入手できたビールはこのあたりでしたが、
コーヒーを使ったビールは他にもこういったビールもあります。
埼玉/星野製作所/ バイシクルコーヒーヴァイツェン
世にも珍しい白ビールとコーヒーの組み合わせ。
しかしコラボ限定ビールであり、今は作っておられないご様子。
ヴァイツェンなのにコーヒーの香りがあり両方の特徴がきちんと出ている良作。
大阪/MARCA/コーヒーアンバー
マルカさんの看板商品でもあり、コーヒービールには珍しいアンバーエールがベース。
これが好相性で、様々なコーヒー豆を使ったタイプがマルカさんには存在しますが、ケニア産のコーヒー豆を使用したバージョンが最もキャラメルアロマが沸き立ってオススメです。
コーヒーの利尿成分はカフェイン。
ビールの利尿成分はカリウムですがそもそもアルコール自体に利尿効果があります。
ってそれじゃあトイレに行きたくなったのがコーヒーのせいかビールのせいかわからないじゃないか…
おあとがよろしいようで。
お好みの一杯が見つかりましたでしょうか?
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。