テクノロジーを活用して日本のクラフトビールの魅力を発信していく 「CRAFT X Project」長谷川晋CEOインタビュー & 試飲レポート
2019年11月11日(月)より「MOON-X株式会社」が「木内酒造合資会社(ブランド名:常陸野ネストビール)」とコラボレーションした「クリスタルIPA」がインターネットにて400ケース(1ケース12缶)限定で発売をスタート。日本ビアジャーナリスト協会では、CEOの長谷川晋氏を招いて試飲会を開催。「CRAFT X Project」について話をきくことができたので、第1弾「クリスタルIPA」とともにご紹介する。
■日本のものづくりとテクノロジーを掛け合わせて、まだクラフトビールの魅力を知らない人たちにも発信をしていく
-:「CRAFT X Project」とは、どんなプロジェクトなのでしょうか。
長谷川氏:日本には素晴らしいモノをつくられる人がたくさんいますが、SNSをはじめとしたテクノロジーを活用するのは後回しになりがち。情報発信がうまくできていないケースも多い。私は「P&G」や「楽天」、「フェイスブック ジャパン」など、いろいろな企業でブランドづくりや情報発信、テクノロジーを活用した社会課題の解決に携わってきました。今回のプロジェクトは日本の素晴らしいモノの美味しさ・素晴らしさを国内外へ発信していくことも主要な目的の1つです。その第1弾として日本のクラフトビールに取り組むことになりました。
-:なぜクラフトビールなのでしょうか?
長谷川氏:理由は3つあります。1つは、私自身の原体験です。数年前、ビールをあまり飲まない時期がありました。そのころに出張でアメリカを訪れた際、たまたま入ったバーで飲んだIPAの香りと美味しさに衝撃を受けました。この衝撃的な出会いをもっとたくさんの方に、しかも自宅でできたての美味しいクラフトビールを飲みながら体験して欲しいと思ったからです。2つ目は、世界的な拡がりです。ビールは世界中で愛されている飲みものであり、日本のものづくりを世界に発信することができる可能性をもっているので、私たちが目指す方向をマッチしていると思いました。3つ目は、ビールの持つ魅力です。ビール好きのみなさまは自然とポジティブでカジュアルなコミュニティを形成していると感じています。そして、そんな素敵なコミュニティの一員として携わっていたいと思い、共同創業者である塩谷将史と一緒に「CRAFT X Project」を立ち上げました。
-:「CRAFT X Project」は日本のクラフトビールの力をアピールしていくものということですね。
長谷川氏:プロジェクト自体はクラフトビールに限ったものではありません。最初の試みが日本のクラフトビールをアピールしていくことです。その手段として、ブルワリーだけではなく、ビールファンの皆様と一緒にコラボレーションしながら新たな魅力を発掘して世界に発信していきます。
-:新たな魅力を発掘とは、具体的にはどのようなことでしょうか。
長谷川氏:新しい飲み方やペアリングはもちろん、将来的にはコミュニティのみなさまからの声でできたビール醸造なども取り組んで行きたいと思っています。
-:Xにはどんな意味があるのでしょうか。
長谷川氏:「NEXT CRAFT BEER」のXです。ブランド名でもありますが、プロジェクト名でもあります。いろいろな方とコラボレーションすることで、発信をしながら新しいものを発見する楽しみを共有していきたいですね。
-:テクノロジーを使ってとホームページにありますが、これはどういうことでしょうか?
長谷川氏:インターネット、特に今はスマホが生活の中心ですのでモバイルを中心に考えて展開していくことを考えています。ネットを通じて飲み手は購入し、感想をダイレクトに醸造家へ届ける。両者の距離を縮める役割を果たします。フィードバックしてもらった内容を踏まえながらコラボレーションするブルワリーの技術力を商品に反映をさせていきます。
-:「木内酒造」を選ばれたのは、なぜでしょうか?
長谷川氏:良いビールを造ることに本気で向き合う、日本のモノづくりを代表するような会社の1つだと感じたからです。
-:第1弾「クリスタルIPA」が発売となりました。最初のビールにIPAを選んだ理由を教えてください。
長谷川氏:先ほどお話をしましたアメリカで飲んだ鮮烈な体験があったからです。いまはIPAのスタイルでもいろいろあることを木内酒造様に相談するなかで知りました。打ち合わせをしながら「透き通った色合いで、飲みやすいIPAを造ろう」と相談して決まりました。
-:「クリスタルIPA」では、IPAらしい華やかな香りを大切にしつつ、アルコール度数6%で、飲みごたえはしっかりとしながらスッキリとした味わいの両立が特徴とうたっています。商品化されるにあたり、大変だったことを教えてください。
長谷川氏:ビール造りについては素人ですから、ブルワリー側と向き合うのは大変でした。ビアスタイルはもちろん、自分たちが表現したい味をどのように伝えればいいのか難しかったです。しかし、そのような状況でも木内酒造様は、親身にサポートやアドバイスをしてくださり、勉強させていただいたことに本当に感謝しています。こうして得た経験をあまり飲まない人たちに「クリスタルIPA」を飲んでもらいながら伝えていきたいです。
-:ラベルデザインにはどんな思いが込められていますか。
長谷川氏:「日本のモノづくりとテクノロジーの融合」が会社としてテーマですので、日本的でありながら現代の風を感じるものにしたいと思いました。様々なデザインを検討した上で、わかりやすく印象に残る浮世絵を選び、代表格である「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」に決めました。古くからある良いものを大切にしつつ新しい価値を築きあげていく思いを込めるため、蛍光色を入れ、かつ光る加工をして煌びやかな缶にしました。ロゴも現代的な印象を与えるデザインにしています。
-:これから第2弾、第3弾と発売されていくと思いますが、今後の構想を教えてください。
長谷川氏:ものづくりに真摯にこだわる姿勢や生き様、そういう姿勢を感じる会社と手を取り合っていきたいと考えています。クラフトビールは多様なもので、色々な楽しみ方ができる飲みものです。ブルワリー様に良いビールを造ってもらい、自分たちがクラフトビールを知らない人たちにも発信をして、その美味しさや魅力を知ってもらえればと思います。まずは「クリスタルIPA」の形をきちんとつくりたいと考えています。
■ウエストコーストIPAとHazy IPAのいいところを取り入れた「クリスタルIPA」
長谷川氏の話にあるように「クリスタルIPA」に求めたことは、華やかな香りを大切にし、飲みごたえは保ちながらスッキリとした味わいを両立させること。
そこで「木内酒造」が考えたのが、強烈なホップの香りと苦味が特徴のウエストコーストIPAと濁っていて苦味は弱くジューシーなHazy IPAを融合させたビール。Hazy IPAのジュージーなアロマに、ボディはウエストコーストスタイルらしい飲みごたえのあるクリアな味を目指した。
ポイントは、糖化の段階で糖分を少し残すことで、旨味やフレーバーを表現。IPAらしいフルーティーな香りを華やかに出しつつも苦味は抑えるホップの使い方。
鼻を近づけると柑橘類やストロベリーを思わせるアロマがしっかりと香り、口に含むとHazy IPA特有のジューシーなフレーバーが広がっていく。甘味をうまく立たせているので説明にあるように苦味は弱く感じられた。
試飲会ではフードの提供もあり、カルパッチョ、ピザやホットドックとの相性が良いほか、スイーツではレアチーズケーキ、オレンジタルトとのペアリングが推奨された。
ボディはやや重めの印象もあり、個人的にはビール単体で楽しむよりも食事と一緒にゆっくりと味わう方が、美味しさを高められるイメージをもった。ゆっくりと味わうビールが好きな人におススメしたい。
始まったばかりのプロジェクト。これからトライ&エラーを繰り返しながらクラフトビールに関心が薄い層をどれだけ引きこめるか。「CRAFT X Project」に注目してみようと思う。
◆商品概要
商品名:クリスタルIPA
原材料:麦芽(ドイツ製造)、ホップ
アルコール分:6%
内容量:350ML
販売価格:12缶セット 6,960円(税込)
購入方法:オンラインショップ(https://www.craft-x-beer.com/products/crystal_ipa)
◆CRAFT X PROJECT
運営会社:MOON-X株式会社
お問い合せ:https://www.craft-x-beer.com/pages/contact
Homepage:https://www.craft-x-beer.com/
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