【再実験!!】【買ったらすぐ飲むな!?】ビールが何日で「本来の」味になるのか検証してみた
「ビールは飲む前に静置した方がいい」論を自己検証した3か月前。
(もう少し客観的な意見を聞きたい…)
その願いがビールの神様に届いたのか。
なんと「麦酒大学」様と有志の方々のご協力のもと、さっそく実験を行う機会を得ることができた!!
楽しみにしていた皆様、ぜひご覧いただきたい!
↓↓前実験の記事はこちら↓↓
【買ったらすぐ飲むな!?】ビールが何日で「本来の」味になるのか検証してみた
https://www.jbja.jp/archives/28011
■「ラガー」と「エール」で試してみた
前回の被験者は私一人。
今回は有志でご参加くださった15名(男女比=9:6)の皆様とともに、
以下の諸条件で実験を行った。
1. ビールは「キリンラガービール 500ml缶」「グランドキリン WHITE ALE 350ml缶」を使用。
製造年月日はそれぞれ全て同一。購入場所も全て同じ日に同じ場所で購入した。
2. 計測時間はT = 3,6,12,24,36,48[時間]。容器はプラカップを使用。
3. 時間毎に30回ほど強く振ってから、冷蔵庫に保管(3℃保管)。
全ての検体を約4分間隔で提供し、同時にティスティング。
4. 注ぎは山本様をはじめとした「麦酒大学」スタッフの皆様にご協力いただいた。
味の変化を極力起こさないようカップを静かに伝わせ、泡も立てず、かつ均等(30ml)に注ぎ分けていただいた。
5. ティスティングシートを用いて3時間前のビールと残りの検体との比較評価を行った。
より変化が見られたと感じたら大きな数字を選択するよう指示するとともに、
別途コメント欄を設けて他に気づいた点を記入していただいた。
■「24 ~ 36時間 = 1 ~ 1.5日」がボーダーライン
時間毎の各要素を集計、平均したグラフを下記に示す。
また、各協力者の皆様には「自身が飲んで好ましいと感じた検体」に投票いただいた。
(複数回答可。グラフの★数が多いほど好ましいと感じた方が多い検体)
上記のデータから、導かれた結論は次の通りだ。
◆ラガーは12時間、エールは24時間あたりから好ましいと感じる人が増えた。また、肯定的なコメント(バランスが良い、オフフレーバーが消えた、統一感がある、程よい炭酸感など)が急増した。
←激しく振られることで崩れた香味のバランスがまとまった(いわゆる「落ち着いた」)。
◆オフフレーバーは静置時間が長い検体ほどに気にならない人が増えていった。
←それにより、相対的にモルトやホップアロマ・フレーバーを感じる人も増えていった。逆に、静置時間が長くなるにつれて「香味が落ち着いた」「複雑さがない」という回答も見られた。
◆炭酸の強さは静置時間が増えるほどに強いと感じる人が増えた。
←さらに言えば、48時間になると炭酸の強さからくる「ピリピリ」感を不快に感じるコメントが出始めた。
◆甘味、苦味についてはそれを「肯定的」にとるか、「否定的」にとるかで値が人によってぶれた(心地よい甘味と取るか、べたつくと取るか。明白な苦味と取るか渋いと取るか)ため、グラフに規則性がない。
←特に苦味については評価の簡便化から「苦味(渋味)」と一緒の項目にしたため。但し、各人のコメントから類推するに、苦味については歯茎がキシキシとするような渋味は消えていき、いわゆる舌の上で主に感じる五味としての「苦味」は強くなったと感じる傾向が強いようだ。それにより、静置時間がより短い検体に感じていた甘味は相対的に苦味によって感じにくくなったと思われる。
◆酸味の強さに関しては言及するほどの変化は感じられなかった。
◆36h、48hあたりから、明確な違いを言及するコメントはかなり少なくなった。
←一般的に感知できるレベルとして、多く見積もって「1.5日」静置すれば振られる前に近い状態に戻っていると思われる。
今回の実験で面白かったところは、状態が戻るにつれて好ましいという評価が増えたものの、
「静置時間の短いビールの方が好ましい」「48h静置させると苦味や炭酸が強すぎる」という意見もそれなりに見受けられたことだ。
注ぎ手の方々のお言葉を借りるなら、ガス感を抜いて甘味を引き立てる「マイルド注ぎ」や、ガス感を残しシャープなのどごしや苦味を楽しむ「シャープ注ぎ」で好き好きが分かれるようなものだろう。
待つほどに楽しい、けれど待たされすぎるのは好きじゃない。
ビールへの恋もなんとワガママなのだろうか?
だが、それでいい。
だからこそビールは楽しいのだと私は思う。
ぜひ、皆様がより自分好みのビールに出会えることを願って。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。