サッポロ クラシック 19年連続前年比売り上げアップ! そこには北海道への感謝と道民からの支持があった
「北海道に行ったら必ず飲むよね」
ビール好きと北海道のことを話すと必ず出てくるビールがある。サッポロビール株式会社(以下、サッポロビール)が北海道限定で発売している「サッポロ クラッシック(以下、クラシック)」だ。道外にも熱心なファンがいて、秋に発売される「同 富良野VINTAGE」を取り寄せる人もいるくらい人気のあるブランドである。1985年の誕生から今年で35年周年を迎え、昨年まで19年連続前年比売り上げアップを記録している人気はどこにあるのか。サッポロビール ビール&RTD事業部の齋藤愛子さんにお話を聞いた。
目次
■北海道に感謝し、道民に寄り添う姿勢が支持されたことが売り上げ好調の理由
「ここ数年、海外からの旅行者が増えたことも理由の1つだと思いますが、北海道の皆様に支持していただけている結果が19年連続前年比売り上げアップ(※1)に繋がっていると思います」
※1 前年比109.6%
道民からの支持が継続した好調な結果を生み出している。そこには、同社が1985年頃から始めた北海道への感謝の気持ちを伝える取り組みが関係していた。
サッポロビールの歴史は、1876年に札幌で誕生した前身の開拓使麦酒醸造所からはじまる。創業当初より北海道の地で大麦やホップの原料を研究・開発・栽培を続けるなか、北の大地で支えてくれる道民へ「北海道で暮らす幸せを提供するお手伝いをしたい」と感謝の気持ちを表したビールが「クラシック」だった。
ブランド名の「クラシック」には、使用する原料を厳選していることや製法(※2)にこだわることで北海道でしか提供できない一流品や最高峰のビールという思いが込められている。
※2 サッポロ クラシックでは、高温短時間仕込みにより麦芽本来の旨味を生かしたドイツ古来の醸造法「ホッホクルツ製法」を採用している。
北海道の気候や食事に合うように、素材の美味しさを生かす味わいが軸となっている「クラシック」。旨味がありながらも爽やかな味わいは、「海の幸、山の幸と豊富な食材に恵まれている北海道の食事と相性がいいと思います。素材の良さを引き出す料理が多いので、美味しさを引き立てるビールの方が好まれる傾向にあります」と特長を教えてくれた。
発売以降、時代に合わせてリニューアルを重ねているが、食をはじめとする北海道の文化に寄り添うよう味の根本は変えていない。
「北海道でしか味わえない美味しさ、楽しさを提供してきたことが道民の皆様との絆を強くした」と支持される理由を話す。
■プレミアムな価値を感じられる「富良野VINTAGE」と寒い季節を乗り越えた喜びを感じてほしい「季節限定商品」
北海道への感謝をビールという形で提供してきた同社。道民だけに届けられる美味しさの価値を提供するため、2008年から「同 富良野VINTAGE」の発売を開始する。
「収穫量の課題などから北海道で収穫された生ホップを使った商品を全国で発売することは難しい現状がありました。でも、見方を変えると、これは北海道でしか提供できないビールを造ることができるのではないかという発想になりました」
希少性のある北海道産の生ホップを地元に限定して発売することでプレミアムな価値を届ける。この取り組みを実現するため、毎年8月に収穫を行い、10月に発売をしている。
近年は、ホップへの関心が高くなっているが、北海道では原料はどのようにみられているのだろうか。
「日常的に原料までイメージをして飲むことはあまりないかもしれません。しかし、『富良野VINTAGE』のように採れたての生ホップを使っていることや地元の素材が使われていることは購買のきっかけになっています。北海道の皆様は、他の地域と比べると地元の食材を通じて郷土愛を深めている印象がありますね。
ホップの産地というイメージもあると思います。道民の方でも道内でその時期にしか食べられないもの、見られないものに対して喜びを感じていらっしゃるようでして、富良野についてもホップ畑がある地域と認識されていると聞いています」
北海道内でもホップがビールのキャラクターを決めることを知っている人が増えてきていることから、これから「富良野VINTAGE」は、もっと注目を集めていくだろう。
さらに2016年からは、春に「同 春の薫り」、夏に「同 夏の爽快」と季節限定商品の展開を開始。
「この2つは、その年から『クラシック』が北海道の四季にフィーチャーをしていくことになり生まれたビールです。春と夏しかないのは、北海道は寒い季節が長く続きます。道民のなかには、春や夏が訪れる喜びを強く感じていらっしゃる方たちがいて、季節を感じられる商品を発売することで、北海道で暮らしている幸せな瞬間をもっと楽しんでもらえるのではないかと考えたからです」
■より北海道に寄り添ったビールブランドへ
発売当初は、お土産ビールとして期待されていた部分も大きかった「クラシック」。35年という長い月日、北海道への感謝の気持ちをもち続けて寄り添ってきたことで、北海道民のデイリービールとして定着してきた。特に工場がある地域では「お客様との距離が近く感じる」という。
道民に売り上げが毎年アップしていることを伝えると「自分たちが支えている」と誇りに思っているといい、「数字に表れるのも嬉しいですが、皆様に支持されていることがすごく嬉しい」と話す。
最後に「クラシック」のこれからを聞いてみた。
「新型コロナウイルスの影響だけではなく、郷土愛はこれまで以上に強まっていく傾向になると予想しています。『クラシック』も今以上にお客様とのコミュニケーションをとり、より強く心に響く存在にならなければいけない時期にきていると思います」と北海道を元気にする旗振り役を目指していく。
「生きるということを考えるとビールは必要不可欠ではないかもしれません。でも、ビールには日々を楽しく過ごせるチカラがあると思っています。生活を潤すものとして飲んでもらえたら嬉しいです」
これからも「クラシック」は、北海道の人たちの日常を潤すアイテムとして寄り添っていく。
◆サッポロ クラシック Data
品目:ビール
原材料名:麦芽(外国製造、国内製造)、ホップ
原料原産地:麦芽の製造地例…ドイツ、フランス、デンマーク、カナダ、オーストラリアなど
アルコール分:5%
パッケージ:350ML缶、500ML缶、500MLびん、633MLびん
JBJAでは、新型コロナウイルスにより苦境に立たされているビール業界を応援するプロジェクトを立ち上げました。近隣のブルワリー、店舗がありましたらご支援よろしくお願いします。
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