リビングの中心で、ビールを注ぐ!?~内装業者さんのお家大改造物語~
目次
ブルーパブの施工がきっかけで、自宅を劇的ビフォーアフター!
2018年4月に施行された酒税法改正を境に、全国にはマイクロ(小規模)ブルワリーやブルーパブ(醸造所併設パブ)が続々と増えました。
これらのオーナーたちが少なからずお世話になる業者の一つが、「内装業者」です。彼らはオーナーたちにとって、予算内で自身が理想とする“城”を築き上げていくための大事なパートナーと言っても過言ではないはずです。
そんな内装業者のなかで、ブルーパブの施工を請け負ったことがきっかけでクラフトビールの魅力にどっぷりハマり、自宅をビアサーバーのあるショールームに改装してしまった奇特な方がいると聞き、早速取材を依頼。お話を伺ってきました!
和泉ブルワリー(東京都狛江市)をはじめ、5つのブルーパブ施工に携わる
新見泰孝さんは元々、実父が営む空調設置会社で働きながら、内装業にも手を広げていた技術者です。そんな新見さんのところに内装設計を依頼してきたのが、和泉ブルワリー(Beer Celler Tokyo)のオーナー・和泉俊介さんでした。
仕事を請け負ったものの、当時の新見さんはクラフトビール業界のことをほとんど知らず、醸造機材の数々も初めて目にするものばかり。和泉ブルワリーが導入した米・ケトルワークス社の機材は説明書ももちろん英文ですから、解読に四苦八苦しながら、なんとかブルワリー開設までやり遂げました。これが2018年4月のことです。
ブルワー同士の横のつながりが強固なクラフトビール界。和泉ブルワリーをきっかけに、新見さんはその後、幕張ブルワリー(千葉県千葉市)、カンパイ!ブルーイング(東京都文京区)、Beer Brain Brewery(千葉県柏市)と、計4軒の施工に携わりました。そして現在は、ガハハビール(東京都江東区)の新規醸造所建築に向けて、着々と準備を進めています。
「内装業の職人さんは比較的年齢層が高く、経験値に基づく技術力も信頼度も高いです。ただその分、新しいことに手を出したがらない傾向にもあります。ですから、仕事を請け負ったはいいけれど、“もうこれ以上はわかりません、限界です!”と言って、途中でさじを投げてしまうこともあるようで……。僕自身も醸造機材を扱うのは和泉ブルワリーが初めてでしたから、かなり苦労もしました。けれど、新しいことに挑戦するのが好きな性分もあって、気づけば1年半くらいの間に4軒のオープンをサポートしていました」
内装業者の仕事は、お店がオープンしたら終わりとも限らず、水漏れなどの不具合があれば修理のために現地に趣くこともしばしばあります。そうして、オープン後の店舗を訪れてはそこで造られたビールを飲むうちに、クラフトビールの魅力にどっぷりとハマっていきました。さらに、奥様が元々「ビール大好き!」であったことも後押しして、新見家では関わってきたブルーパブのビールをケグ(樽)で購入するようになります。
「自分が携わったところのビールを飲むのは最高の至福♪」と、新見さん。奥様とともに、自宅で樽生ビールを楽しむひと時は、すっかり日常の一部に。そして、これが【クラフトビールのある暮らしの為のリノベーション】に踏み出すきっかけとなりました。
クラフトビールのある暮らしの為のリノベーション
新見さんがご自宅の改装を始めたのは、今年の2月初旬のこと。リビング・ダイニングの天井と壁の解体から始め床材なども貼り直し、キッチンや照明器具も新たに設置する大がかりな工事を経て、4月、快適に日常を過ごす空間を完成させました。
その中央には、インテリアとしての存在感を放つビールタップ(写真のTAP①)が、観葉植物とともにさり気なくニョッキリと生えています。ベランダの方に目を向けると、そこには2つめのビールタップ(TAP②)が♪ ビアLoverなら一度は夢みる、ビールが湧いて出る家の完成です! 2つめのタップの隣には小さな流し台まで設けられ、グラスを洗うこともできます。
2つのタップが独立して床から生えているように見えますが、2箇所に設置された冷蔵庫からそれぞれ壁や床伝いに配管されており、中を通るビールの温度管理もバッチリ♪ 筆者も取材に訪れるや否や、その日繋がっていた和泉ブルワリーとBeer Brain Breweryのビールを注いでいただきご馳走になりましたが、ビアバーで飲むのと同様に最高の状態です。「ふ~……、美味し~い♡」! 4軒のブルーパブをオープンまでサポートした新見さんの経験が、存分に生かされています。
ビール好きが高じて、サーバーを自作するビアLoverたちは少なくないですが、自宅をビール中心の空間に改装する人は、めったにいないですよね~!!
「いくつかのブルーパブを見てきましたが、ケグ(樽)を冷やすプレハブ冷蔵庫からタップを出している構造のお店が多いですよね。違いはタップの周りがタイル貼りか木目調か……くらい。なので、内装のプロの自分がホームバーを造るなら、他とは違ったスタイルを提案してみたいなと思ったんです」
これで飽き足らない新見さんは、現在、3つめのタップをどこに造るかを画策中。ビール好きの奥様が、料理しながらビールを楽しめるよう考慮すると、キッチンが最有力候補になるかなあ?というつぶやきも聞こえてきます。
「冷蔵庫のある場所にわざわざ移動しなくても、日常の動線上にビールタップがあれば、好きな時にビールが注げて便利じゃないですか? うちは元々建売住宅だったんですけれど、それでもここまでやることができるんですよ」
いやはや、そのあくなき探求心、恐れ入ります! ビアLoverの鑑ですね。
■リビング・ダイニング 兼 ショールームという空間
さて、ビアLoverにとっての夢のような空間を紹介してきましたが、冒頭にも説明したとおり、こちらは普通の住宅のリビング・ダイニングでありながら、ショールームとしての機能も備えています。
新見さんが営む「ONE SEED」は、マイクロブルワリーやブルーパブが扱う醸造機器の搬入や設置など、開業に至るまでのトータルコンサルティングを担う会社です。
マイクロブルワリーやブルーパブ、小さなビアバーなどのオープンを考えている人、はたまた、新見さんに触発されて、「自宅(別荘)をビール中心の空間に改装したい!」となかば本気で計画する人は、一度、東京・狛江市の素敵なショールームに足を運んでみませんか?
●問い合わせ先●
株式会社 ONE SEED
東京都狛江市東野川2-8-4
TEL:090-8308-8768
E-mail:one.seed213@gmail.com
「株式会社 ONE SEED」のFacebookページでは、リノベーションの一部始終を見ることもできますよ♪
https://www.facebook.com/one.seed213
JBJAでは、新型コロナウイルスにより苦境に立たされているビール業界を応援するプロジェクトを立ち上げました。近隣のブルワリー、店舗がありましたらご支援よろしくお願いします。
《あのビアバー・ビアパブ」を救おう!》JBJA支援ページ
【随時リスト更新中!】全国の通販可能ブルワリー&持帰り可能ビアパブ
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。