堅苦しく考えず、ビールを楽しもう! 『白熱ビール教室』を読んで初心にかえる
ビール初心者や、「(大手メーカーの)ビールは苦手……」といった方に、入門書としてぜひお勧めしたい1冊が『白熱ビール教室』(杉村啓 著、星海社新書、2016年)。
「教室」と銘打つだけあって、本書は「1時間目」から「24時間目」までの24節に分けて書かれています。
数「時間」からなる各章の冒頭には数ページずつの漫画があり、気軽に楽しく読み進めることができます。
「時間」といっても各「時間」を読むのに丸1時間ずつかかるわけではありませんので、どうかご安心ください。それぞれ10分程度で読める、コンパクトな内容にまとめられています。
各「時間」のラストには箇条書き数行のまとめもあり、非常にわかりやすい「授業」です。
ビアカクテルにもスポットライトを
本書の大きな特徴として、ビアカクテルに丸々「1時間」を取っている点が挙げられます。
17時間目 多彩なビールカクテル
他のビール入門書、特にクラフトビールを紹介する本では、ビアスタイルによる味わいの違いに重点が置かれ、ビアカクテルについては書かれていなかったり、コラム1本程度ということもよくあります。私たちも、ブルワーによる作品であるビールに何かを混ぜて飲むことには、ちょっと抵抗があります。(*1)
そんな「常識」にとらわれず、見た目にも楽しく、レシピから味を想像しやすいビアカクテルにも紙幅を割いている本書の構成からは、堅苦しく考えずビールを楽しんでほしい、という著者の想いが伝わってくるようです。
(*1) 関連記事:クラフトビールがカクテルに? 「混ぜるビール 〜thinking about mixing beer〜」、堺市北区「ヒビノビアスタンド」で2019年9月21日(土)開催!
個々のビールの銘柄名はほとんど記されておらず
また、主なビアスタイルを紹介する以下の4つの「時間」で、代表的なビールの銘柄名がほとんど登場しないのも本書の珍しいところです。
3時間目 おいしいラガーが飲みたいです
4時間目 おいしいエールが飲みたいです
5時間目 ラガーやエール以外にもビールはある
6時間目 細かい違いの「スタイル」を覚えよう
具体例がないのは一見、不親切なようにも思えますが、考えてみれば、それでいいのかもしれません。
聞きなれない銘柄名やボトルの写真をずらりと並べられても、ただのカタログのようになってしまい、読み飛ばされてしまいがちといえます。また逆に、紹介された銘柄名にこだわるあまり、探すのに苦労したり、状態のあまりよくないビールの味を覚えてしまうリスクもあります。
それよりも、気になるビアスタイルがあったら、ビアバーやボトルショップ、あるいは他のビアラバーに相談したほうが、現実に即した提案を受けられるでしょう。さらには、新入荷品や限定品との、一期一会の素敵な出会いがあったりもします。
著者はやはり、先述したビアカクテルと同様に、理屈よりも楽しむことが大事だと私たちに教えてくれているのかもしれません。
『白熱ビール教室』。ビールの基礎知識を身につけ、気軽に楽しむための1冊です。
初心にかえるべく、秋の夜長に、ビール片手に読んでみてはいかがでしょうか。
<書籍概要> 『白熱ビール教室』 著者:杉村 啓 発売日:2016年7月25日 価格:本体880円+税 判型・ページ数:新書判・288ページ 出版社:星海社新書 Amazon商品ページ |
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