ヨーロッパ最大級のビアフェスティバル「Brewskival」とは?
「Brewskival(ブリュースキーバル)」をご存知でしょうか?
スウェーデンのブルワリー「Brewski(ブリュースキー)」のCEO兼ヘッドブルワー Marcus Hjalmarsson(マーカス・ヤルマション)さんが主催するヨーロッパ最大のビアフェスティバルのことで、「Brewski」はブルワリーの名前であると同時にアメリカの俗語で「ビール」を表します。「−val」は「フェスティバル」の意。つまり、「Brewskival」とは、「ビアフェスティバル」を表す造語です。
2015年から毎年8月にスウェーデンのヘルシンボリで開催され、世界中から100以上のブルワリーが集結する「Brewskival」は、直接ブルワー(醸造者)と顧客(消費者)が対話できる、ビール好きにはたまらないイベント。
日本で例えるなら、さいたま新都心で開催される「けやきひろばビール祭り」の規模で、ビールとフードを提供するほか、グッズ販売、音楽イベント、映像配信も行います。また、イベントのために仕込んだオリジナルビールの提供もあります。
このイベントが今年9月、日本で開かれました。本国のスウェーデン以外で開催されるのは、史上初となります。開催に至った経緯と「Brewskival」の全容について、共同でイベントを主催しているDIG THE LINE株式会社(本社:京都市左京区、以下DIG THE LINEとする)のPRマネージャー八田由貴さんと同ヘッドマネージャーでスウェーデン出身のヘンリック・ノードマークさんに話を聞きました。
目次
日本初上陸「Brewskival 2020 in Tokyo」とは?
「Brewskival 2020 in Tokyo」は、「制限された状況下でも多くの方にクラフトビールを楽しんでもらう場となること」、「現地スウェーデンの空気感を体験できる機会となること」を目指し、マーカスさんとDIG THE LINEが共同で企画したイベントです。
DIG THE LINEは、ヨーロッパの最先端をゆくクラフトビールの輸入・販売を行っており、マーカスさんが造る「Brewski」のビールを取り扱っている関係で、今回のイベントを手伝うことになりました。
実は、今年の8月に本国で開催されるはずだった「Brewskival」に、日本から3つのブルワリー「CRAFTROCK BREWING(東京)」、「Barbaric WORKS(神奈川)」、「箕面ビール(大阪)」が参加する予定でした。しかし、新型コロナウイルスの影響でイベントが中止に。そこで、出店できなかったブルワリーの「リベンジの場」として規模を縮小し、9月19、20日に3カ所(「CRAFTROCK BREWPUB & LIVE(本会場)」、「CRAFTBEER MARKET三越前店」、「CRAFTBEER MARKET神田店」)で「Brewskival 2020 in Tokyo」を開催しました。
各会場では、CRAFTROCK BREWING、Barbaric WORKS、箕面ビールとスウェーデンのクラフトビールが飲めるほか、同国の家庭料理も提供。
開催初日は、本会場に、3人のブルワー鈴木諒さん(CRAFTROCK BREWING)、永石卓宏さん(Barbaric WORKS)、大下香緒里さん(箕面ビール)が集結し、トークセッションをオンライン配信しました。
3社が「Brewskival」に参加することになったのは、マーカスさんが2019年に来日した際に、3社のブルワリーを訪問したことがきっかけです。3人はその時のエピソードやマーカスさんの人柄について話してくれました。
司会進行を務めていたDIG THE LINEの本間浩揮取締役COOが
「来年5月にスウェーデンで「Brewskival」を開催する予定ですが、その時に参加する意思はありますか?」と公開質問をしたところ、
皆さん口を揃えて「新型コロナ禍が落ち着いていたら参加したいです」と返答する場面も。スウェーデンで3社のクラフトビールが飲める日も近いかもしれません。
スウェーデンのブルワリーをオンラインで見学できる時代に
次に、主催者のマーカスさんがスウェーデンからオンライン中継で参加。現地時間は13時(時差が7時間あるため東京は20時)。青くすみきった空のもと、屋外のテラス席で陽気に笑いながらビールを飲む人々の姿が映し出されました。
マーカスさんは手持ちのカメラでブルワリー内を移動し、きれいに磨き上げられたドイツ製の醸造設備や、そこで働くスタッフの皆さんも紹介。新型コロナ禍でイベントが中止になったことはとても残念ですが、オンラインが当たり前の日常となり今回のようにスウェーデンまで行かなくても現地のブルワリー見学ができることは、クラフトビールの新たな楽しみ方になるのではないでしょうか。
本物のマンゴーを使用したDIPAで新たなカルチャーを創造
マーカスさんは、元々飲食業界で細菌(バクテリア)に関係する仕事を行う化学者でした。しかし、研究生活より体を動かして稼ぐ仕事に憧れを抱きます。そんなある日、清掃作業員が目の前で窓ガラスを一点の曇りもなく磨き上げる様子を見て感動し、自身も技術を身につけたいと転職します。
ウインドクリーナーの事業は成功し、従業員を50人雇える規模にまで拡大しました。その会社を売却して、2016年にスウェーデン 南部の港町ヘルシンボリにブルワリー「Brewski」を立ち上げます。
同社のビールは、約80%がベリーや果物を使用したフルーツ系。それは、当時アメリカから品質の高いホップを入手することが難しかったから。それを補う形でマンゴーやパッションフルーツなどの果物を生かしたビールを醸造していましたが、結果的にそれが看板商品となり人気を博します。
また、同社では自家醸造のみならずビールの輸入・販売もしていたことから、「Brewskival」で100にも及ぶ世界各国のブルワリーを集めることが実現できたのです。
マーカスさんは、スウェーデンのクラフトビール黎明期にパイオニア的存在となり、新たなカルチャーを創造しました。
同社は、マンゴーを使った「マンゴーDIPA」で一躍有名になりましたが、創業当時から継続して醸造しているのはこの1種類のみ。それは、マーカスさんが常に新しいレシピを考案し、ブルワーとして進化し続けることを望んでいるからです。
2021年はスウェーデンと日本で「Brewskival」が開催される?!
例年は8月に行われる「Brewskival」ですが、2021年は5月28〜30日に開催予定です。昨年は7,000人を動員。参加者の大半は地元住民ですが、「新しいビールと新しい体験」を求めてドイツや、フランス、スペイン、オランダ、ベルギーなどヨーロッパ各地からも訪れます。
DIG THE LINEの八田さんによると、来年日本でも「Brewskival」が開催できるよう準備を進めているとのこと。
来年まで待てないという方は、DIG THE LINEのオンラインストアでスウェーデンのビールを購入するのも手です。
こちらで入手できるのは、「Brewski」のビールをはじめ、日本初上陸のブルワリー「FRIENDS COMPANY BREWING」、サワーやワイルドエールを専門に醸造する「BREKERIET BEER(ブレクリエット)」など。
また、6月に「新風館(所在地:京都市中京区)」にオープンした「DIG THE LINE BOTTLE & BAR」でも取り扱いがあります。今回、話を聞いたヘンリックさんは、このバーのヘッドマネージャーで、過去にスウェーデンのビアバーで働いた経験もあることから、ビールについての知識も豊富。マーカスさんとも大の仲良しなので、「Brewski」についても色々と教えてもらえます。
来年の「Brewskival」の予習として、京都まで足を運んで様々なクラフトビールを堪能してみてはいかがでしょうか。
■DIG THE LINE 株式会社
WEBサイト:http://digtheline.sakahachi.jp
通販サイト:https://dig-the-line-store.com/
Facebook:https://www.facebook.com/digtheline/
Instagram:https://www.instagram.com/digtheline_inc/
■「DIG THE LINE BOTTLE & BAR」
住所:〒604-8172 京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町 586-2 新風館 東洞院通沿
アクセス:京都市営地下鉄 「烏丸御池」駅 南改札口直結
営業時間:11:00 – 24:00
座席数:店内 26席(ソファ9席、カウンター9席、テーブル8席、スタンド席20名程度)、テラス20席
電話&FAX:075-254-8650
WEBサイト:https://sakahachi.jp/digtheline-kyoto/
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