出汁入りビール!? 和風テイストのビールがISANA BREWINGで飲めます【ビール誕生秘話11本目 Zebra Udon Dashi Ale編】
ビールを造るのに必要なのが麦芽・ホップ・酵母・水。ここにフルーツやスパイスといった副原料が使われることもあります。様々な食材を使い、自由な発想でレシピを作成して醸造できるのはビールの魅力の1つでしょう。
と、思っていますが、昨年秋にISANA BREWINGの代表で醸造責任者の千田恭弘さんから「出汁を使ったビール」を造ったと聞いたときは、「美味しいの、それ?」と疑念をもちました。しかし、飲んでみると疑念は一掃。かつお節の風味が効いた美味しいビールに、ビール醸造の奥深さに面白さを感じました。
あれから1年。出汁を使ったビール「Zebra Udon Dashi Ale Type-G(以下、Type-G)」が2020年10月6日(火)からISANA BREWINGで開栓します。
目次
■「日本ならではのビアスタイルを飲みたい」から造ってみたいに
ビールのことをお伝えする前に、何故このビールが造られることになったのかについて触れておきます。
「Zebra Udon Dashi Ale」の誕生には、1人の男の存在があります。出張料理人でありビアジャーナリストでもあるPhantom Zebraさんです。2018年頃からクラフトビールに興味をもつ中で多様なビアスタイルがあることを知ります。自身も色々なビールを飲むうちに「日本ならではのスタイルを飲みたい」と考えるようになります。クラフトビールに興味をもつ以前からうどん打ちを趣味で行っていたこともあり、「ビールの主原料の中でも1番割合の多い水を出汁に変えて造ったらどうなるのか。酵母にどう作用するのか」と思いを募らせるようになっていきます。
徐々に高まっていく出汁ビールへの思い。そんなときに出会ったのがISANA Brewingの千田さんでした。
積極的にコラボレーションイベントを開催している千田さん。すぐに2人はビールとうどんのイベントの話で意気投合。そのときにPhantom Zebraさんが出汁ビールへの思いを千田さんに伝えたところ、強い関心を示したことで「Zebra Udon Dashi Ale」が実現することになりました。
しかし、ほとんど前例がないビール。当然、千田さんも初めて造ります。うどん出汁をそのまま使ったレシピを作成して挑戦することに。しかし、麦汁を造る段階で「強烈な出汁感があって、美味しく飲めるビールになるのだろうか」と心配になったとPhantom Zebraさんはいいます。ベルジャン酵母を使った発酵の段階では、「生臭さがあり麦汁の濁りも強く、これは商品として売り出すことはできないのではないか」と不安を覚えたと千田さんは振り返ります。
その後、幸いにも香りは落ち着き、出汁の風味がしっかり感じられて後味はベルジャンビールらしいビールとなり、「安堵した」と2人はいいます。
「出汁というシンプルかつ複雑な旨味に対し、酵母由来の複雑な香りを出すベルジャン酵母を使用したことは大きなポイントでした。似たようなベクトルを持つもの同士なので良いニュアンスで飲み終える事ができたのだと考えています」と千田さんはいいます。
お客様からも「感動した」「料理に合わせても美味しい」と好意的な反応が得られたといいます。特にビアパブのスタッフやビアギークといった味に厳しい人たちからも「高評価をいただいた」とPhantom Zebraさんは笑顔をこぼし、「新たなジャパニーズスタイルのきっかけになったのではないか」と話します。
■前回の経験を生かして、洗練された出汁ビールが完成
前回の反省を踏まえ、今回醸造した「Type-G」では、「自分なりに謙虚に寄り添うレシピで臨みたい」と、昆布500gと焼きあごを3kg使用。今回、かつお節は使わないことになりました。
「Type-G」の造り方で面白いのは、麦汁に出汁を混ぜるのではなく、はじめに出汁を取り、そこに麦芽を入れて糖化を行って麦汁を造るところです。
出汁で糖化を行うことについて千田さんは、「出汁はたっぷりの水からゆっくり抽出することで最高の旨みが出るからです」と教えてくれました。
しっかり出汁を取るため、昆布と焼きあごは煮沸時にもう1度投入。出汁を効かせたビールなので、使用するホップの量は昆布よりも少ない300g。逆にホップがどのように感じられるのか気になります。
「前回の『Zebra Udon Dashi Ale』は、出汁をしっかり感じることができましたが、旨味が抜きん出ていてバランスの面で満足できない部分がありました」とPhantom Zebraさん。
「Type-G」は、「ベースのベルジャンエールに素朴な焼きアゴのフレーバーがしっかりと感じられます!」と千田さんは自信をみせます。
■Phantom Zebraさんとのコラボレーションイベントを開催
11月1日(日)にはISANA BREWINGでイベントを開催。イベントでは、「Type-G」が飲めるのはもちろん、PhantomZebraさんが打った麦芽粕を使ったうどんや出汁を取った後の焼きアゴを使った料理も楽しめる予定です。
今回は、ナイトロバージョンでも提供するといいます。「Zebra Udon Dashi Ale」のナイトロバージョンは「初めての試みです。自分もどんな味わいになるのか楽しみです」と千田さん。
イベントは予約制となります。詳細はISANA BREWINGのSNSを確認してください。
「新たなビアスタイルは、供給側の一方的な悲願ではありますが、日本の文化、そして新たなる世界の架け橋になると信じています」とPhantom Zebraさんが期待を込める「Type-G」は、10月6日(火)からISANA BREWINGで開栓です。
ビールと出汁の融合を皆さんの舌で感じてみてください。
※ビールの開栓は状況により変更になる場合がございます。開栓しているかどうかはISANA BREWINGへ直接お問い合わせください。
ビール情報
商品名:Zebra Udon Dashi Ale Type-G
原材料:麦芽・焼きあご・昆布・ホップ
アルコール度数:5.8%
IBU:31
ISANA Brewing Data
住所:〒196-0015 東京都昭島市昭和町2-7-15 エクセレンス昭島 1F-B
電話:050-5327-9884 (お客様専用)
営業時間:平日11:30~14:30(火曜はランチ休)17:30~22:00 土日祝 11:30~22:00(L.Oは閉店30分前)
休業日:水曜日、祝翌日。醸造・外部イベントのため不定休あり。詳細はFacebook投稿をご確認ください。
Phantom Zebra プロフィール
うどん発祥の地、福岡県生まれ。うどん県育ち
会社員時代に饂飩打ちに目覚め、早期退職後は調理師資格を取得。本場讃岐での修行や店舗経験を経て、ケータリングや出張シェフ、イベント等、店を持たないPhantom Zebraとして活動。最近はイベリア半島での饂飩打ちや大好きなクラフトビールを極めるべくビアジャッジ資格を取得。ビアジャーナリストとしても活動中。うどんとビールのコラボにも挑戦している。
カレー、麻婆豆腐、犬、猫、自然大好き
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。