コロナに負けない店の秘訣①
コロナウィルスによる被害は未だ収束を見ませんが、飲食店の経営者にとっても甚大な被害を及ぼしています。
2020年上半期の飲食店倒産数、ビヤホールは100件を超え、上半期としては過去最多となったと報道で叫ばれて久しいところ。
(帝国データバンク調べ https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2007/10/news118.html)
しかし、それでもつぶれない店があるのもまた事実。
コロナに負けない飲食店には何か人が絶えない秘訣があるのでは。
特に、大企業ではなく小さな店舗であればなおのこと生き残り続ける理由が必ずあるはず。
それを探るべく、とあるお店にお話をお伺いしました。
コーヒーとクラフトビールと
場所は人形町、駅から徒歩5分。
交通が発達した場所ではありますが、ビルに囲まれ飲食店が多い地域ではないので、
用がなくては来ないような、いわゆるアクセスが良いとは言えない部類に入るでしょう。
NUMBER 6は2019年5月14日にオープン。席数は現在絞って25席。
坪数は20弱。決して広くはありません。
タップ数は国内ブリュワリーのみ絞った6タップ。
スタッフは運営とSNSをメインに動く関口さん(通称 エース・ヤスさん)、キッチンや店内業務をメインに動く柿沼さん(通称ファンタジスタ・マサキさん)により運営されています。
おそらく多くの方が店舗に抱く第一印象は、「カフェ」ではないでしょうか。
それもそのはず。ヤスさんはカフェダイニングでの経験もあり、
コーヒーが主役である店舗にあってクラフトビールも扱っている傍ら、徐々にその魅力に引き寄せられていったそうです。
そこからはコーヒーだけでなくクラフトビールファンからも支持される名古屋のカフェ「TRUNK COFFEE」(https://www.trunkcoffee.com/)へ遠征されたり、
コーヒーが有名なだけでなくビール天国という意味を持つ通称「ビアヴァーナ」と呼ばれるアメリカのポートランドへ視察へ行かれたり、
けやきひろば ビール祭りに参加されたりと、着々とその知識と熱量を蓄えていかれました。
新進気鋭の醸造所が放つ、乳糖を使用したヘイジーIPA。濃密なトロピカルさにあっという間にグラスが空に。
こちらはボトル流通がない商品のため、こういったラインナップも店舗へ行くきっかけとなるので嬉しいところ。
クラフトビールのチョイスは自力で、とのことですが、お客さんから情報を教えてもらうこともあるそう。
取り入れられることはとことん取り入れる。
そんな奢らないお二人の姿勢が、NUMBER 6の強みかもしれません。
「日本を売りたい」
オープンして1周年の頃には、通常飲食店であれば盛大に周年イベントを告知するのが通例ですが、
今年はコロナの影響でそれほど大きく告知もせずコラボビールを作ったのみ。
・いち早くスタッフのマスク着用、
・検温、
・カウンター席の間引き、
・換気を取り入れ、
・売り時であるはずの外出人数が増えそうな連休日には営業を見送るなど徹底したコロナ対策をされたり、
・減った収益を補填するためにUber Eatsのドライバーをされていたことも。
完膚無きまでの対策意識に、彼らのマインドがにじみ出ているようです。
・また、元々持っていた酒販免許によりボトルビールとグラウラーも導入。
様々な需要に応える努力も怠りません。
周年ビールのコラボ先はカンパイ!ブルーイング。
文京区のマイクロブリュワリーです。
お二人は時間が許す限り近隣のブリュワリー、飲食店へ直接訪問し交流を深めるよう努めているそうで、
そこからの縁でコラボ企画が始まったりビールが繋がったりすることも。
「アメリカを実際に見てきたから、日本のプロダクトはすごいよね、と心から言えますし、
良いお店を作るのにプライドは要りませんから」
そう話すヤスさん。
その言葉を体現するように、繋げるビールは日本のブリュワリーにこだわり、
場所も種類も幅広く取り入れられています。
この日の5番にはいわて蔵ビールとしてクラフトビールを造っている世嬉の一酒蔵による日本酒、すだちを使用した限定商品「サンマ スパークリング」が繋がっており、
サンマに合わせることをテーマにした微発泡のひやおろしですが、清涼感がありとてもおいしい!
ビール好きも日本酒好きにも気に入られる面白い存在。
「何屋さんなのかはお客様に決めてほしい」
NUMBER 6ではクラフトビール、日本酒だけでなくシングルオリジンコーヒーや国産クラフトジンも取り扱っています。
「カフェの雰囲気が好きなんです。
コーヒー使いの人はコーヒーだけ頼まれる方が一番多いですが、コーヒー目的だったのにビールも持ち帰られる方もいらっしゃいます。
また、有り難いことに深夜にエスプレッソを頼める店があまりないということで重宝していただいている方もいらっしゃいます。
ジンを飲みながら店内でお仕事をされる方もいらっしゃいますし、女性の一人客の方も増えていますね」
「地方の出身の方たちに自身の出身地を誇りに思って欲しいんです」
そうヤスさんは真剣に語ります。しかし壁も多く、
コーヒーも国産に揃えようと、石垣島のコーヒー豆の導入も検討したところ、
国産のシングルオリジンにこだわるとどうしても高額になり、コスト面で断念されたそうです。
一店舗が取り揃える幅としては既に比類なきレベルに見受けられますが、徹底したこだわりにファンが後を絶たない理由を垣間見た気がします。
現在では少しずつ店内の業績も回復し、週末夜には混雑することも増えてきたそうですが、
こんな場所にあるから絶対に自分たちを目的にしてきてくれたのに、その時満席であったがためにお客様をお断りしたのが辛かった、と話すヤスさんが印象的でした。
いかがでしたでしょうか。生き残るための取り組みの端々に私が感じたのは、
「国産を応援する」「お客様が中心である」という気概です。
オリジナルグラウラーやお店のアプリも開発されたりと、お客さんに向けたツールはさらに充実し、これからの展開にますます目が離せません。
それがブリュワーであったり、お客さんであったり…
たとえ苦しい状況でも、人の心を動かすのは人の心ということなのでしょうか。
人を喜ばせる彼らの飽くなき探究心とホスピタリティの強さに触れ、目の前のビールもきっと遠くから運ばれてきたんだな、と、
一味奥深く感じました。
※内容は取材当時のものです。最新情報は直接店舗へお問い合わせください
NUMBER 6
【TEL】03-6661-7009
【instagram】https://www.instagram.com/number6tokyo/
【住所】東京都中央区日本橋小網町16-3 若菱ビル 1F
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