【今治街中麦酒】今治商店街に新たな光!【四国麦酒遍路 第3番泡所】
今治商店街に超新星現る
うどん県出身の筆者による四国のビール探訪。
第3回は水の都今治へ。
南北157.5㎞東西155.4㎞とほぼ正方形の区画に収まる伊予の国。
その中でも一番北に位置するのが今回の目的地「今治」。
DD4Dがある松山とは高縄半島を隔てて北東側に位置する港町です。
半島の北には多くの島が連なり、西瀬戸自動車道(愛称:しまなみ海道)の開通によって本州と陸路で繋がり、最近ではサイクリストの熱い視線を集めています。今治市民に愛される日本三大水城の一つ「今治城」は町のシンボル。古くから瀬戸内海における海上交通の要衝だったこともあり造船業が盛んで、質の高い今治タオルなどものづくりの町として知られています。一方、今治城を抱く城下町であったことから食文化も大いに発展し、ポンカン、紅まどんななどの柑橘類、鯛、ワタリガニなどの海産物、海の男の腹を満たしたせんざんきや今治焼き鳥、焼豚玉子飯などの肉料理といった食に溢れる、グルメの町でもあります。
そんな今治の中心地、今治商店街の一角に『今治街中麦酒』は誕生しました。
実は、四国で5番目に大きな自治体である今治も、人口減少(町村合併での人口増は除く)、少子高齢化、郊外ドーナツ化などにより、中心地の賑わいはかつてのもの。特にドンドビ交差点から東に延びる今治商店街はテナントの空きも目立つ、所謂「シャッター商店街」の如き寂しさを滲ませます。しかし、そんな商店街の活性化を掲げ、まちなか開業支援(まち☆チャレ、まち☆リノベ)を推進しており、今治街中麦酒(いまばりまちなかばくしゅ)という屋号にはそんな町の思いを背負った気概が感じられます。
今治街中麦酒を訪ねると、まずそのスタイリッシュで開放的な外観に目を奪われます。向かって左手にはキラキラと輝く醸造設備、右手にはビール片手に楽しむ様子が飛び込んできます。醸造スペースと飲食スペースがセットになった所謂「BrewPub(ブリューパブ)」形式のマイクロブルワリーです。
早速中に入ってみましょう。
醸し人「中島俊一」、ブルワー人生の始まり
ビールを飲むのが大好き!
開口一番、そう思いを迸らせてくれた醸造長の中島氏。
5年程前にアメリカでIPAに出会い、その美味しさに惚れ込んだそう。
その後、ビールの造り方を調べてみると、意外と直ぐに作れることに驚き一念発起。
島根県にある石見麦酒まで体験醸造見学に出向いたのが3年前。
そこで、醸造家として踏み出すことを決意した中島氏。
松山で機会をうかがっていた際に、今治街中麦酒の立ち上げの話に出会い、現在に至ります。
そんな中島氏の城、今治街中麦酒の醸造スペースには
煮沸タンク 750L
ホットリカータンク 700L
マッシュタン兼ロイタータン 500L
発酵タンク兼貯酒タンク 500L×4本
ケグ洗浄機、瓶詰め機
といった必要十分な設備が整然と並んでいます。
ここから紡ぎ出されるビール、飲むしかないですね。
本格的なビールとこだわり食材のペアリング
取材時点で繋がっていたビールは4種類
Pale Ale 柑橘感溢れる定番ペールエール
White Ale フルーティーでスパイシー、飲みやすいホワイトエール
Hazy IPA トロピカルな味わいに柔らかい苦み、人気のヘイジーIPA
Cacao Milk Stout コーヒーやチョコのフレーバーが香ばしい黒ビール
どのビールも奇をてらわないオーソドックスなスタイルで、クラフトビール初心者からコアなファンまで楽しめる仕上がりだと感じました。(※現在はセゾンビールなどの新たなスタイルもリリースされています。)
一方、フード類は親会社のこだわり食材を使ったメニューが揃っています。
スモークソーセージ、グラスフェッドチーズ、猪の生ハムなど、実際にいただきましたが、どれもシンプルでビールに合うものばかり。
今治街中麦酒が目指す世界
今治商店街に現れた『今治街中麦酒』。商店街含めた「まちなか」の活性化に貢献することは勿論、ビール、フード、人、文化といった切り口で今治全体を巻き込んだ活性化にも一役買っていきたいとの力強い言葉をいただきました。
また、親会社の株式会社ありがとうサービスでは、飲み歩き、食べ歩きの聖地として有名なサン・セバスチャンに発想を得て、しまなみサンセバスチャン計画も推進中。しまなみ海道を中心に心豊かな人々が集い、そこに美味しいビールやフードを提供し、新たな価値を創造する素敵な計画。
さらに、実は大麦(はだか麦)の生産量日本一である地の利を生かした試みも検討中とのこと。
今治の『まちなか』から始まった今治街中麦酒、その活動から目が離せませんね。
◆今治街中麦酒 中島俊一氏略歴
株式会社ありがとうサービス
今治街中麦酒 醸造長兼店長 39歳
高校卒業まで鳥取県鳥取市で育つ。
高校卒業後、愛媛大学入学のため愛媛県へ移住。
愛媛大学修士課程修了後、同県内のヘルスケア関連企業に就職し研究開発に従事。
在職時には血中の脂質を測定するセンサの開発等を担当。 もともと大のビール好きではあったが、海外で出会ったクラフトビールの奥深い世界に魅了され、クラフトビールの作り手になることを決意。
時を同じくして今治市でブルワーの募集があったことが縁で、13年間務めた会社を38歳で辞めブルワーとしての道を歩み始める。
【BrewPub情報】
店名:今治街中麦酒
住所:愛媛県今治市常盤町3丁目4-13(JR今治駅から徒歩10分)
電話番号:0898-35-4313
営業時間:15:00~21:00
定休日:不定休
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
テイクアウト:ペットボトルやグラウラーでの持ち帰りが可能
店舗URL:https://imabari-machinaka-bakusyu.com/
WebShop:https://imb.theshop.jp/
四国麦酒遍路🍺泡所一覧
第1番泡所:ミロクブルワリー(讃岐国)https://www.jbja.jp/archives/31794
第2番泡所:DD4D BREWING(伊予国)https://www.jbja.jp/archives/31795
第4番泡所:Mukai Craft Brewing(土佐国)https://www.jbja.jp/archives/34738
第5番泡所:TOSACO(土佐国)https://www.jbja.jp/archives/34739
第6番泡所:大三島ブリュワリー(伊予国)https://www.jbja.jp/archives/34740
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。