函館のビールを目指して【旅とビールと】
函館は歴史のあるビールと新しいビールの両方を楽しめる街だと思います。今回訪れて改めて、そう感じました。
歴史ある函館のビール
北海道といえば札幌ビールが有名ですが、函館は札幌に遅れる事5年、1882(明治15)年に石黒源吾という人物がビールの醸造を開始しています。その後、東京桜田ビールの元醸造士、金沢正次が1898(明治32)年に本格的なビールの醸造を始めます。金沢は1887(明治20)年にビール造りの勉強のため、当時でも珍しく渡米した経験を持っています。金森洋物店の初代、渡邊熊四郎の後押しで誕生した、これが函館麦酒醸造所です。
今回訪れた「函館ビアホール」は「金森赤レンガ倉庫」として、ベイエリアを代表する観光スポットの中にあります。1988(昭和63)年に、もともとあったレンガ倉庫を、リノベーションした建物です。
ショッピングモールをかねた総合複合施設として、函館のベイエリアを代表する観光スポットになっています。明治31年、函館で初めてのビアホールとしてオープンした函館ビアホール。この建物を建てたのが先述の渡邊熊四郎です。
高い天井と、赤レンガの壁はレトロな雰囲気。店内では北海道限定のサッポロクラシックや、オリジナル地ビールの函館開拓使ビール、函館赤レンガビールを飲む事が出来ます。
国際貿易港として開港した当時にそして、約100年前のビール造りのに思いを馳せる事が出来ます。
函館の新しいビール
函館の新しいビール、それが2018年に湯の川町に出来た「函館湯の川ブリュワリー」です。
函館駅から30分程の函館の奥座敷・湯の川温泉駅の市電線路沿いにそのお店はあります。
運営するのは株式会社アドバンス。長野県佐久市に本社を置く会社で、無農薬・有機農法の健康食品や、化粧品などを販売する会社です。
ビール造りのきっかけは、アドバンス代表取締役の白井さんが、みなみ北海道の乙部町の名水に感動して水の販売事業に参入。その水を活用したビール事業を思いついたそうです。現在、乙部町と湯の川の2か所に、醸造所があります。柔らかくもまろやかなビールの味わいに、この水の特徴があらわれていると感じました。
そのビールが楽しめる「Endeavour(エンデバー)」併設されたビアカフェです。料理は地元の食材を使用していますが、お店のこだわりはビールや料理だけではありません。驚いたのはオシャレな店内。ラフデザインから考えられたというこだわりのイスや、カウンターは道内産ミズナラ2枚つなぎのものなどが雰囲気造りに一役かっています。
地元の方々のお誕生日や、特別のイベントに利用される事が多いというのも納得です。
2号店 新しいスタイル
2号店は今年10月にオープンしました。「TO GO 二十間坂店」
函館の西部地区、石畳が続く二十間坂沿いにあります。「Endeavor」近くの湯の川温泉駅からこの店の最寄りの十字街駅まで40分程。十字街駅から徒歩5、6分です。
以前から、2か所の醸造所でもビールの持ち帰り販売をしていましたが、このお店は、名前の通り、持ち帰りをメインにしたお店です。全てのビールが100ml単位で購入出来て、持ち帰ることが出来ます。新型コロナの影響や、函館は車社会ということもあり、自宅でもクラフトビールを楽しんでもらいたいとの思いで始まったお店です。新たな函館のクラフトビールの文化として、「TO GO」が少しづつ根付いていくのではないか、と思います。
まだ道外で飲める機会は少ないかもしれませんが、もし見つける機会があれば、是非試して頂きたいブルワリーです。
「Endeavour」直訳すると、努力。コツコツと努力を重ねながら、これまでの歴史あるブルワリーと同じく函館の歴史的に刻まれるブルワリーになっていくことでしょう。
ビールを飲むことを中心に考えた今回の旅。次に訪れた時はビールだけでなくもっと、この土地の歴史も学びたいと思わせてくれる、素敵な街でした。
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【店舗情報】
住所: 函館市末広町14-12
住所: 北海道函館市湯川町1-26-24
住所: 北海道函館市末広町17―15北斗ビル(旧目貫商店) 1F
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。