【ビールのススメ方】ビールのソムリエとして提案手法を振り返る
「クラフトビールをあまり詳しくない人にどうやってビールを勧めていますか?」
と先日ご質問を受けました。
店舗でお客様に接することが多い私ですが、
自分なりにどう進めているだろう?と振り返りも兼ねて記事を書いてみようと思います。
■ まず、相手がクラフトビールに「何を求めているのか」が大事
クラフトビールを愛していると、どうしても初めから「美味しさ」を伝えたり、相手の好みを探ったり提案したくなるのですが(もちろん例外なく私も)、相手が「何を」求めているのかが結構重要だなぁと痛感します。
①自分の好みに合ったもの
②周りが美味しいと言っているもの
③バックグラウンドやストーリー
④物珍しさ
⑤写真映えするもの etc…
クラフトビールの場合、①~⑤の方向性に集約されることが多い気がします。
「とりあえず日本のビールっぽいもの」というオーダーを頂くこともしばしばです。
(クラフトビール専門店からライトな居酒屋でまで勤務しましたが、どこでもよく聞くフレーズです)
⑤はボトルなどを実際に見せて提案するとして、「①②」と「③④」の方向性をまず見極めます。
「①②」であれば味の好みを中心に、「③④」はその方が体験していない部分を第一に探りを入れ、絞っていきます(もちろん「美味しい!」とは最終的に思ってもらえる提案はします)。
■ 「正しさ」を振りかざしすぎない。合わせるは「相手」
例えば、「ビアスタイル」って、すごく大事です。指標になるので。
ですが、それにとらわれすぎなくてもよいとも思ってます。
私なりの提案をチャートにしてみたのがこちらです。
「白ビール」「黒ビール」「いわゆるラガー」「いわゆるエール」「日本のビールっぽい」とかバリバリ使います。
相手の理解度(一般の認知度)に合わせるということです。
例えば、ワインでいう「ボルドー」って皆様聞いたことありますよね?
「ボルドーのワインください!」とおっしゃっているあまり飲みなれていないお客様に
「地区はどこですか?右岸ですか?左岸ですか?カベルネ主体?それともメルロー?そもそも白もあって、、、」とか言ったら嫌われますよね?
例えば、「黒ビール下さい!」に対して「スタウトやシュバルツという言葉は知っていますか?(どちらが好みですか)」と問うのはどうでしょうか??
私にとってみれば、この時点ではまだ不要な会話で「スッキリ系がいいですか?飲みごたえある方がいいですか?」などでいいのではと思うのです。
実際に選んだあとで
「これは黒ビールの中でも「シュバルツ」と呼ばれるスタイルで、、」
「お兄さん初めて知りました?ぜひお友達に自慢してください(笑)」
など話のネタとして展開すれば、会話のきっかけづくりにも転用できます。ちゃんとクロージングができればと。
チャートの中で「いわゆるラガー」や「いわゆるエール」という言葉が使われていたり、それぞれにピルスナーやIPAなど、日ごろ出会いやすいスタイルが多く並べられているのもその理由です(後は味わいのおおまかな傾向でまとめています)。
一般のイメージを優先し、そこからこちら側のディープな世界に誘えれば万々歳です←
「正しさ」を振りかざしすぎない = 「語りすぎない」という意味では、各ビールの味わいや特徴を「一言」で伝えることも日々考えています。
「このビールは、すごく酸っぱいです!!」と一番特徴づけている部分を伝え、そこから細かい説明に入る方がお客様の決断が早いと感覚的に理解しています。
皆様はどうやってビールを勧めていますか?ぜひ少しでも参考になれば幸いです。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。