[イベント]2020.12.29

「日本ビール検定」は年2回の開催に! びあけんマスターが、難関「1級」の合格対策も教えます

日本のビール好きがビール知識の腕試しをする「びあけん」こと日本ビール検定。読者の方でチャレンジしている方も多いでしょう。これまでは年1回・限られた都市での開催でしたが、これからは年2回・全都道府県での開催に! 合格のチャンスがグッと広がります。ビール検定1級2回合格(びあけんマスター)の筆者が、前半で新しいびあけんの方式をご紹介するとともに、後半では合格の秘訣も伝授します。とくに1級合格対策はこれまであまり語られなかったことを書きますので、お楽しみに。

新しい「びあけん」はここが変わる!

2012年に始まった日本ビール検定(以下「びあけん」)は、2019年までに8回開催されました。趣味の検定試験は希望者が一定数受検すると受検者数が落ち込むものなのですが、このびあけんは受検者が増加しているのが特徴です。

日本ビール検定公式ホームページ

https://beerken.jp/

これまでは東京・大阪・札幌を始めとした主要都市のみでの年1回の開催でした。2020年はコロナ禍のために中止されましたが、この度2021年度の開催要項が発表され、全都道府県での開催、また年2回の開催が決定いたしました。2021年度は6月と11月の2回開催されます。(※1級のみ年1回・2021年は11月)

それを可能にしたのが、「CBT」というコンピュータを活用した試験方式です。CBTは「Computer Based Testing(コンピュータ ベースド テスティング)」の略で、株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:野口功司)が運営する全国47都道府県に約280ヶ所あるテストセンターでコンピュータを使用して検定を行います。

CBT

受検会場の一例(画像提供:株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ)

また、試験期間を数日設けることが可能となり、受検日や受検会場を受検者の都合に合わせて選択することができます。利便性を向上させることで、より多くの方に気軽に受検の機会が提供されるようになります。

これで、離れた都市まで移動しなければならなかった負担と、1年に1日だけの「一発勝負」の重いプレッシャーから開放されます。
びあけんはあくまでも趣味のため、つまりは楽しみのための試験です。日程も選べ、場所移動の負担も減ることで、より受検意欲が湧くことが期待されます。

びあけん過去問題集の最新版も発売

また、発売延期となっていた「日本ビール検定公式過去問題集[1・2級]2021年度版」が、2021年1月7日に発売されます。

2018年の「第7回日本ビール検定」、2019年の「第8回日本ビール検定」で実際に出題された2級・1級の全問題を1冊の問題集にまとめたもので、解答ページには本検定1級合格者(びあけんマスターズ)18名の解説コメントが付いています。『日本ビール検定公式テキスト』と合わせて学習することで、実践に即した検定対策が可能となります。

過去問題集2021表紙

日本ビール検定公式過去問題集2021表紙

◆問題集
『日本ビール検定公式過去問題集[1・2 級] 2021年度版』
定価:2,200円(税・配送手数料込)
発売日:2021年1月7日
販売場所:日本ビール検定公式サイトのみで販売 (書店でのお取り扱いはありません)
URL:https://beerken.jp/books/
※ご購入に際しマイページ登録(無料)が必要となります

びあけん各級の紹介と合格対策

筆者は2013年と2014年の2年連続で1級に合格した「びあけんマスター」です。初めて1級を連続合格した者の一人です。

ここからの後半は、その経験を踏まえた上で、各級の紹介と合格対策をお伝えいたします。

3級:合格率80%前後 難易度★☆☆☆

原料や基本的な製法・スタイル、ビールの日本史、ビールの味わいを中心に出題。ビールを知ることで、普段のビールがもっとおいしくなります。
(びあけん検定概要より・以下同)

問題の難易度が優しく合格点も60点(100点満点・以下同)。落ちる方が難しいくらいです。悩むよりもまずは受けてみましょう。もちろん、一読だけでもいいので公式テキスト全体に目を通すことが最低条件です。

恥を忍んで書きますが、筆者は直近の「ウイスキー検定」を一切の復習なく再受検したところ、見事に惨敗。こういう輩が落ちるのだなと痛感しました(笑)。受検勉強はとても大事です!

また、公式テキストを読むだけでも、普段のビールの味わいが本当に変わります! それが「びあけん」受検の目に見えるメリットです。

◆公式テキスト
『日本ビール検定公式テキスト 2020年4月改訂版』 (マイナビ出版)
定価:1,650 円(税込) ※電子書籍も販売中
出版日:2020年4月30日
販売場所:全国の書店・amazon 等ネット販売にて発売中

2級:合格率50%前後 難易度★★☆☆

ビール文化・歴史を語ることができ、ビール通になりたい方を対象とした中級レベル。酒類を扱う仕事の方や、ビール愛好家向け。ビアバー・ビアパブでの会話も弾みます。

難易度が上がり、合格点も70点以上。さすがに公式テキスト全体をしっかりと読む必要があります。公式テキストに載っていない「時事問題」の量が増えますが、公式テキストをしっかりと理解していれば、充分合格できます。

気を付けたいところは、「~ではないものを選べ」などの出題形式を読み違えないこと。得点の取りこぼしがないようにしてください。

1級:合格率10%未満 難易度★★★★ 記述・論述問題あり

ビールに関する広範囲な知識をもち、自らビール文化を発信できる愛好者の頂点を目指す方を対象とした上級レベル。

2・3級はマークシートのみでしたが、記述・論述問題が入ります。また2級合格者であること、または2級との併願が受検条件となります。また、1級のみ年1回の開催です(2021年度は11月の開催)。

7回の開催で70数名しか合格していない難関です。問題の難易度が最高である上に、合格点が80点以上。20点分しか間違いが許されない、という厳しい条件です。公式テキストを読み込むだけではなく、過去問題集も解きながら出題傾向を知る必要があります。

しかし、知識があれば受かるのが1級ではありません。日頃ビアバーで、友達や周りの人にビールのおいしさ・楽しさについて熱く語る方は多いと思います。ビールの楽しさを一人でも多くの方に伝えること。実はそれがびあけんの「最終ミッション」。

びあけんの最終目標は、「ビールの魅力を広める」こと! びあけんは、ビール文化のインフルエンサーとなるための資格なのです。

1級には論述問題があり非常にハードルが高そうに思えますが、その問題はこの「自らビール文化を発信」することに関する問題です。「ビール愛」の強い受検者ならば難易度は決して高くありません。

1級合格対策、その得点配分の分析

1級合格者は「びあけん1級合格者の集い」というイベントに参加することができます。ほぼ同レベルの知識を持った方々と忌憚なく話すことができるその会はとても楽しく、参加をモチベーションにして合格を目指している方もたくさんいらっしゃいます。

「1級合格者の集い」の模様(2020年1月開催)

ただし、熱意だけではなかなか合格しないのも1級の難しいところ。なんとか「攻略法」はないものでしょうか。

びあけんマスターの潮井徹さん(第3回合格)は、1級の得点配分を毎回分析チェックしています。潮井さんのお話から、合格への道筋を見てみましょう。

(以下、潮井さんの分析です)


私は「過去問題集」を精査して、テキストをはじめとした書物(テキスト類)に載っている知識だけで何点とれるかを毎回チェックしています。

ここで「テキスト類」とは、

  • 『びあけん公式テキスト』(上記)
  • 推奨図書の『ビールの図鑑』(試験主催の日本ビール文化研究会による監修)
  • びあけん顧問の端田晶氏の一連の著書(『ビールの世界史こぼれ話』『日本ビール 面白ヒストリー』『ビール今昔そもそも論』など)

のことを指します。

論述問題は、実は問題としての難易度は低いです。焦らなければ配分の20点はきっちり取れます。
そこにテキスト類から取れる得点を合計すると以下のようになります。

選択問題40問各1点
テキスト類から出た問題
記述問題20問各2点
テキスト類から出た問題
論述問題 合計
第5回(2016年) 18点分 26点分 20点 64点
第6回(2017年) 17点分 26点分 20点 63点
第7回(2018年) 17点分 26点分 20点 63点
第8回(2019年) ※ぜひ過去問題集を手に入れて、ご自身でご研究してみてください。「傾向」が実感できるはずです。

選択問題でテキスト類から出なかった問題数は22~23点分。4択問題のため確率的に1/4正答とすると5~6点加算されますので、テキスト類の範囲をしっかり押さえるだけでも69~70点は得点できます。

しかし、合格ラインは80点です。したがって「あと10~11点をどうすればいいか?」ということになります。

テキスト類以外の出題分野を分類すると、「国内クラフトビール」「海外ビール」「製造技術」「歴史」「法令」「時事問題」と分類できます。このうち、「国内クラフトビール」「海外ビール」「製造技術」が各5~7問出題されています。

上記の分類のうち、 2つ以上の分野を取りこぼしのない得意科目としましょう。それが「あと10~11点」の得点源です。

たとえば、「『国内クラフトビール』には強いけど、『海外ビール』『製造技術』は苦手」という方は多いと思います。いつもあと数点足らずに70点台で不合格…となってはいないでしょうか。

その場合のお薦めは、「海外ビール」か「製造技術」のどちらかを得意分野にすることです。それには、専門書、雑誌、現地訪問などをして自分の血肉にすること。もちろん、ビール自体を偏りなく飲むのも早道です。

ちなみに「歴史」の出題は多いですが、テキスト類からの出題がほとんどです。


(潮井さんの分析、ここまで)

1級は、テキスト類に載っていない「時事問題」ばかりが出題されるから合格できない、と言われることが多いのですが、実はそんなことはないのです。テキスト類をしっかりと読み込み、得意分野を2つ以上作ることで、確実に合格点に手が届きます。

 

1級合格アドバイスのまとめ

最後に、合格者である筆者からも、1級合格のアドバイスをまとめます。

  • 論述問題は決して難しくないから最後に取っておかないで早めに解く。記述問題は部分点があるので何でもいいから書く。時間をかけるのは、選択問題のいやらしい選択肢に。
  • 「公式テキスト」がとにかく大切だが、推薦参考図書を読もう。違う視点から解説してくれるので頭に入りやすくなる。
  • 公式テキストのコラム「BEER COLUMN」や欄外下の「Key Word」からの出題が多い印象。学習に行き詰ったらここを眺めてガス抜きをしよう。
  • 「製造技術」は『ビールの科学』(渡淳二編著・講談社ブルーバックス)がお薦め。紙幅の限られた公式テキストよりも詳細な説明がある。
  • 歴史は「流れ」が大切。どういう「順」で起こったか、を理解しよう。年号は覚える必要なし。

この記事がきっかけで合格した方と「びあけん1級合格者の集い」でお会いできたら最高です!

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【JBJAChannel】びあけんの試験が変わる!CBTS歌舞伎座テストセンターでお話を聞いてきました

びあけん日本ビール検定端田晶

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

坂巻 紀久雄

ビアジャーナリスト

東京都葛飾区出身。1998年ビアテイスターを取得。2000年に北海道札幌市へ移住。ビール専門店勤務で経験を積み、2013年にビールとモルトウイスキーの専門店「Maltheads(モルトヘッズ)」を開店。
https://maltheads.net/

店は「クラフトビールのお店」でも「世界のビールのお店」でもなく、「ビールの広い世界を実感できる店」をコンセプトとしている。

ビアジャーナリストとしては、北海道の記事を中心に執筆しているが、国内外を問わずビール全般を追っている。

札幌は、日本のビールの発祥地のひとつ。さらに「ビールの都」ドイツ・ミュンヘンと「ビール天国」アメリカ・オレゴン州ポートランドと姉妹都市でもある。そこを「日本のビールの首都」として盛り立てるべく奮闘中。

ビア検(日本ビール検定)1級(2013-14 初の2年連続合格者・2022年3度目の合格)/クラフトビアアソシエーション(CBA)認定ビアテイスター/ウイスキー検定2級

「サッポロ・クラフト・ビア・フォレスト」実行委員
http://www.sapporo-craft-beer-forest.com/

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