裏原宿から日本のクラフトビールを応援する【買える!飲める!酒屋さんを巡って 7店目threefeet Tokyo編】
2020年8月、JR原宿駅から明治通りを超えた裏原宿と呼ばれるエリアにクラフトビールのボトルショップ「threefeet Tokyo」がオープンした。このお店のオーナーは、IT関連の仕事をしていた28歳の青年、多田順貴さん。「threefeet Tokyo」では、日本国内のクラフトビールを中心に約100種類と豊富なラインナップを揃えている。
どうしてファッションや流行の発信地として知られる原宿で、クラフトビールのボトルショップを開いたのだろうか。多田さんの思いを知りたく、お店を訪ねて思いを聞いてきた。
目次
■クラフトビールを知らないおばあちゃんでも楽しめる場所をつくりたかった
「クラフトビールという言葉は、確実に世間に広まってきていると思います。でも、言葉は聞いたことがあっても、意味を知らなかったり、飲んだことがなかったりする人はまだ多いです。難しく感じてしまう人もいます。
そんな人たちに対して、誰でもクラフトビールに興味をもって、楽しめる場所をつくりたかったんです」
「おばあちゃんでもわかるクラフトビール屋さん」が、「threefeet Tokyo」のコンセプト。
「興味の持ち方は、人それぞれ違います。その方に合った味や買い方など幅広く対応できるお店です」とビギナーからビアギークまで多くの人が集える場所だという。
■日本にも美味しいクラフトビールはある。だから日本のクラフトビールを中心に揃えている
「threefeet Tokyo」にあるクラフトビールは、日本国内のブルワリーがほぼ占めている。海外のクラフトビールを多く揃えるお店も多い中、日本にこだわった理由は何だろうか。
「海外のクラフトビールも美味しくて好きですよ。ただ、日本にも美味しいクラフトビールはたくさんあると思っています。日本のブルワリーを応援したいので、国内のクラフトビールを中心に入荷しています」
毎月、全国から2~3の新規ブルワリーのビールを入荷するようにして、日本には色々なブルワリーがあることを伝えている。
仕入れるビールは、どのようにして決めているのだろうか。
「新しく入荷するブルワリーさんは、ビアパブに飲みに行ったりオンラインショップで取り寄せたりして、必ず自分で味わってから決めています。来るたびに新しいビールに出会える楽しさを感じてもらいたいと思っていて、地域やキャリアが偏らないようお店にある在庫を確認しながら揃えています。一期一会の体験を大事にしています」
「threefeet Tokyo」では、他店では見かけることが少ない沖縄県の「クリフビール」から日本のクラフトビール業界を牽引し続けている神奈川県の「サンクトガーレン」まで様々なビールを購入することができる。
■お客さんとの心の通じ合う距離でやりたかった
多田さんとクラフトビールの出会いは23歳のとき。新卒で入社した会社の先輩が飲んでいた「よなよなエール」を分けてもらったことだ。もともとビールは好きで飲んでいたが、ラガービールにはない、香りや味に「ビールって色々あるんだ」と興味をもった。クラフトビールの存在を知ってからは、ビアパブに飲みに行ったり、ブルワリーを巡ったりして楽しんでいた。
飲んでいるうちにクラフトビールの世界観に惹かれていった多田さん。次第に「クラフトビールをカルチャーとして根付かせたい」という思いが強くなり、数年前から準備を進め、2020年3月に「株式会社threefeet」を設立した。
しかし、ここで予想をしていない事態が起こる。新型コロナウイルス感染拡大による1回目の緊急事態宣言の発令である。
「はじめオンラインショップ形態でやろうと考えていました。ところが緊急事態宣言が発令されたことで、お店が休業になってしまい多くのブルワリーさんが自社のオンラインショップに注力してきました。そうなると実績がない自分は厳しいと考えて、コロナ禍でも対応できるオンラインショップを備えたボトルショップに転換することにしました」
そこで目を付けた場所が原宿の町だった。
「原宿は日本のストリートファッションの先端の町です。この地域に住んでいる方や好きな方は、流行に敏感だったり、オリジナリティが溢れていたりする方が多いです。クラフトビールは、そのような方と親和性が高いと思いました。流行の最先端にいる方たちがクラフトビールに関心をもってもらえたら、もっと広がると思いました」
店舗を探していた当時、近くにクラフトビールを取り扱うお店が少なかったこともあり原宿からクラフトビール文化を発信していくことを決めた。
店名の「threefeet Tokyo」は、多田さんが好きなロックバンド「10-FEET」にインスパイアを受けている。「10-FEET」の由来は、「手が届きそうで届かない距離(10FEETは、約3m)」に由来している。多田さんは、お客さんと心が通じ合う存在でいたいと考えていたので、より近い3FEET(約90cm)とした。
■東京でクラフトビールを買うなら「threefeet Tokyo」と言われる存在を目指したい
お店のオープンから約半年が経過。店舗をもったことで、「直接、お話をすることで『なぜ、このビアスタイルは人気なのか?』『どうしたら人気が出るのか』といった視点がもてるようになりました」と学びが多く、楽しい日々を送っているという。
こうした経験をもとに、お客さんの嗜好をリサーチしながら、その人に合うビールを選んでいる。
多田さんに将来の目標を聞いてみると「東京でクラフトビールを買うなら『threefeet Tokyo』が1番と言ってもらえる存在になりたい」と話してくれた。
また、ブルワリーによっては、個人で経営のため十分な広報活動ができていないところもある。そうしたブルワリーに対して、これまで培ってきたIT関連のスキルを活かして手伝いたいという。
最後に、ビールファンにメッセージをいただいた。
「基本的にお店に毎日いますので、ぜひ遊びに来てください。クラフトビールの話をいっぱいしましょう!」
日本各地のクラフトビールが1本から購入できる「threefeet Tokyo」。原宿近くを訪れる際に立ち寄ってみてはいかがだろうか。
threefeet Tokyo Data
住所:東京都渋谷区神宮前4-25-3メゾン原宿101
TEL:03-6878-0324
営業時間:平日 16:30〜22:00 休日12:00〜22:00
定休日:不定休
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。