秘密基地のような感覚で利用できる楽しい空間【買える!飲める!酒屋を巡って8店目クラフトビールシザーズ池尻大橋編】
東急田園都市線で渋谷駅の隣、池尻大橋駅から徒歩2分。住宅地と飲食店が並ぶ通りの雑居ビルの地下に、2020年3月にオープンした「クラフトビールシザーズ池尻大橋」はあります。
渋谷や三軒茶屋といった人気エリアに挟まれる池尻大橋の地に、どんな思いでお店を運営しているのか。代表の森川達功さんにお話を聞きました。
目次
■お客様の好みを意識して反映させたラインナップ
「樽で10種類、ボトルビールは約120種類のビールを揃えています。店内で飲んでも行けますし、テイクアウトも可能な酒屋併設のビアパブです」
地下に降りると暗めの照明に照らされる店内は、まるで秘密基地のような空間。奥に見える冷蔵庫の中には、個性的なデザインのビールがたくさん並んでいます。
取り扱うビールは、お客様の評判の良いもの、話題性のあるものを中心に森川さんとビアマネージャーの2人で相談しながら入荷をしています。
ボトルビールは、海外ビールの割合が多め。これは「国内ブルワリーの樽ビールつなぐことが多いからでしょうか。特別、意識はしていないです(笑)」と、在庫状況によってラインナップに変化があるようです。変化がある分、行くたびに色々なビールに出会える楽しみがあります。
お店では、Hazy IPAをはじめIPAスタイルが人気。「最近はサワースタイルも人気ですね。それと当店は、スタウトが好きなお客様がいるので、スタウトも意識して入れています」と、来店する人の好みも意識してビールを揃えています。
また、海外のビールはパッケージデザインが個性的なものが多いため、「ジャケ買いをする楽しさも知ってほしい」とデザインを意識して入荷しています。
ビアパブでもあるので、フードの提供もあります。調理スペースが限られているため、「手の込んだことはできませんが、できる限り手造りにこだわった料理を提供しています」といい、フードの特徴としてビールの味わいを邪魔しない味付けを心がけているとのこと。
お勧めは、「8種のスパイス使用 スパイシーチキンタルタル乗せ」。ほんのりスパイスが効いた自家製タルタルソースによって南蛮チキン風な味付けになっています。
また、「長崎県産ジャガイモのフライドポテト バルメザンチーズ風味」は、注文が入ってからジャガイモをカットして揚げるこだわり。「フレッシュなジャガイモの味わいが楽しめます」と、こちらも森川さん一押しの料理です。
■自分が感じたクラフトビールへの感動を体験できる場をつくりたかった
「クラフトビールが好き過ぎる」と話す森川さん。好きになるきっかけは何だったのでしょうか。
「職場の近くに『Brimmer Beer Box(現在は閉店)』がありました。そこで飲んだときに『ビールって、こんなに味わい深いんだ』とビックリしました。それまでは、ビールは味ではなくて盛り上がるため。酔うためのお酒でした」
きっかけは、Brimmer Brewingのビールを飲んだこと。それからは「色々飲むようになりました」と振り返ります。
その後、クラフトビールに初めて出会ったときの衝撃を多くの方に知ってほしいという思いと、樽からもボトルからも買って飲めるお店があったら喜んでもらえるという思いからお店を開く気持ちが強くなっていきます。
その場として考えたのが、自身も良く利用する東急田園都市線沿線。
「この路線には、クラフトビールが買えるお店が少ないなと思っていました。それで、この沿線でお店をやろうと考えました。物件を探している中で、ここを紹介してもらって、周りをみてもクラフトビールを取り扱うお店がなかったのでここに決めました」
そして、店名を「クラフトビールシザーズ池尻大橋」に決定。この名前は、森川さんがビールの師匠と呼んでいる人からのアドバイスから名付けました。
店内のインテリアは、知人の力を借りて設計。クラフトビールを取り扱うお店での勤務経験のあるビアマネージャーとともにお店をオープンしました。
■将来を見据えて取得していた免許がコロナ禍で役に立った
ところがお店のオープンと同時期に新型コロナウイルスの感染が拡大。1ヶ月後には最初の緊急事態宣言が発令され、出足から思うような営業ができなくなってしまう事態に。
予想もしなかった事態を救ったのは、ボトルビールの販売のために取得していた一般酒類小売業免許と将来を見据えて取得していた通信販売酒類小売業免許でした。
「色々と大変な状況でしたが、将来を見据えて取得していた通信販売酒類小売業免許があったおかげで、すぐにオンラインでの販売がはじめられました。おかげさまで好評で、2回目の緊急事態宣言下も注文が入ってきます」
ちょうど取材時もオンラインショップからの注文があり、森川さんが対応する場面がありました。
「思いもよらない1年になりましたが、お客様から『こういうお店があったらいいなと思っていました』と言ってもらえたのは嬉しかったですね。常連さんの中には、1日数回来店される方もいらっしゃいます」
誰かの憩いの場になれていることにお店をはじめて良かったと優しい表情で森川さんは話してくれました。
■周年ビールやプレゼント企画。コロナ禍でも楽しめるイベントを予定
3月1日に迎える1周年。コロナ禍ではありますが、イベントの開催の有無を聞いてみました。
「周年イベントを企画しています。1周年記念ビールをBREWBEASTさんで仕込みました。それと伊勢角屋麦酒さんで造った4店舗合同ビール「BERRYHOO! Berry Hazy IPA」(※)も樽でつなぎます。その他にもイベント用にレアビールをつなぐことやグラスなどのプレゼント企画も考えています」
クラフトビールシザース一周年祭の情報はこちら
※クラフトビールシザーズ池尻大橋、BEERBOMB、TAP×TAP神田店、NUMBER6の4店。
最後にこれから考えていることも教えてもらいました。
「この状況がどんな風に収束していくかはわかりませんが、やってみたいこととして2店舗目や自分たちでビールを造ってみたい思いはあります」
まだ思い描いている段階ですが、森川さんの話を聞いていると楽しい場をつくってくれる期待をしてしまいます。まだまだ都内でもクラフトビール空白地区はあります。そうした地域にビールを選ぶ楽しさを増やしていってほしいと思います。
豊富な種類で選ぶ楽しさと飲む楽しさを体験できる「クラフトビールシザーズ池尻大橋」。テイクアウトも可能なので、家飲み派の方も利用しやすいお店です。
近隣の方や東急田園都市線沿線にお住まいの方、遊びに行ってみてください。
クラフトビールシザーズ池尻大橋 Data
住所:〒154-0001 東京都世田谷区池尻2-30-12 OSビルB1F
電話番号:03-6770-8144
営業時間:月~金16:00~23:00(フードL.O22:00) 土・祝日:13:00~23:00 (フードL.O22:00) 日:13:00~22:00(フードL.O21:00)
※緊急事態宣言の発令に伴い、当面の間、店内利用、缶、瓶、グラウラーなどのテイクアウト利用は20時まで(ドリンク、フードともにL.O19時)となっています。
定休日:不定休
※2021.3.12 周年イベントの情報を追加しました。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。