Far Yeast Brewing考案の香気成分に基づいたペアリングメニューを試してきた!
2021年11月12日よりFar Yeast Brewingの直営店Far Yeast Tokyo Brewery & Grillで提供している香気成分の分析データに基づいたペアリングメニュー。以前、当ウェブサイトでもお伝えしました。皆さん、もう試してみたでしょうか。
ビールの世界でもペアリングは、少しずつ浸透してきていますが、データに基づいたペアリングメニューを提供しているお店は聞いたことがありませんでした。実際にどんな感じなのか試してみたくお店を訪れてみました。
目次
ホップのアロマを最大限引き出すことに挑戦した「Far Yeast Hop Frontier -Juicy IPA-」
今回のペアリングメニューに合わせるビールは「Far Yeast Hop Frontier -Juicy IPA-(以下、Hop Frontier)」。フルーティーでトロピカルなアロマが溢れるJuicy IPAで、2021年7月より新定番ビールとして展開しています。
この「Hop Frontier」を島津製作所のガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)で分析。その結果、他社の製品よりもリナロールやゲラニオール、ネロールといったモノテルペン系の成分が特異的に多く含まれていることがわかりました。これらは「Survivables」としてフローラルやフルーティーなアロマフレーバーをもたらすと言われている成分です。
「Hop Frontier」では、ホップの最新品種Talusを軸に、4種類のホップとCRYO POP™というホッププロダクトを使用しています。CRYO POP™は、液体への溶け込みやすさを最大化し、高い香りのインパクトを実現するホッププロダクトです。
世界的なホップサプライヤー Yakima chief Hops®のホップ農場で品種開発されたTalusは、CRYO POP™と組み合わせることでダイナミックかつフルーティーなアロマをもたらすことが期待されています。
★香気成分の分析データについて詳細はこちら
「Hop Frontier」の香りをペアリングした3種類のメニュー
今回、「Hop Frontier」の香気成分と合わせるのは、「人参きんぴらと林檎のサラダ(1,000円 税込)」「カキフライ ペアリングタルタルで(550円 税込)」「鳴門金時のモンブラン(600円 税込)」の3種類。
ペアリングメニューについて富田料理長に話を聞きました。
「今回の企画は、『Hop Frontier』の香気成分の分析がありましたので、相性の良い組み合わせからメニューを構築していきました。美味しい料理を提供することはもちろん、どの香りが合うのかを考えてつくりました」
ただ、相性の良いと言われる組み合わせを考えてメニューをつくるのではなく、理論的に合う香りを組み合わせてメニューをつくるのに時間がかかったと言います。
理論的に考えられたペアリングメニュー。今回、栁井醸造長からも感想をお聞きし、ペアリングを試してみました。
人参きんぴらと林檎のサラダ
<栁井醸造長のペアリングコメント>
「醤油のフローラルさとの相性がいいなと思いました。料理と合わせることで、ビールの酸味がマイルドになり、シトラスフレーバーを強く感じられるようになりました。さっぱりとしてビールがシャープになって際立つ感じを受けました。
ビールだけが良くなる組み合わせではなく、春菊などの葉野菜の青い感じや人参の甘味が強調されることで美味しさの相乗効果が生まれている印象を持ちました。カルダモンが入っているので、ビールと料理の両方がフレッシュに感じます。カルダモンのレモンのようなアロマとビールのシトラスのようなアロマの相性が良かったです」
<筆者の感想>
口の中で両方を合わせてみると「Hop Frontier」のシトラスを思わせる香りとカルダモン、春菊などの葉野菜の香味が重なることで、ハーバルな香りが強調されて食思が増しました。全体として爽やかさが強くなりスッキリした感じとなるので、気分の上がるペアリングです。
また、人参やりんごの甘いフレーバーを強くしてくれるなど、食材1つ1つで合わせてみても色々な顔をみせてくれる楽しいペアリングでした。
カキフライ ペアリングタルタル
<栁井醸造長のペアリングコメント>
「カキフライと合わせるとビールのハーバルなアロマがより立って印象が変わりました。生臭さが強くなってしまう心配もありましたが、カキの旨味が強く感じられるのときゅうりがさっぱりさせてくれました。タルタルのたまごの甘味があることで、ビールの苦味をはっきり感じやすくなったと思います。
<筆者の感想>
何かのフレーバーが強調されるというよりは、全体が調和してまとまる組み合わせに感じました。カキもタルタルソースも個々で味がしっかりして、単独で食べても十分満足感があります。
栁井醸造長が言う通り、タルタルソースとビールを合わせるとたまごの甘味がしっかり感じられますが、カキも含めてすべて一緒に味わうと調和するのでくどくなく食べることができました。
余談ですが筆者はカキが苦手です。ですが、それを感じさせない一体となったペアリングで美味しくいただけました。
鳴門金時のモンブラン
<栁井醸造長のペアリングコメント>
「合わせる前は、甘味があるとビールの甘味を奪ってしまう心配がありました。しかし、サツマイモのレモン煮がビールのフローラルさを際立たせて、口の中でよく合って心地良かったです」
<筆者の感想>
「Hop Frontier」のフローラルなフレーバーとサツマイモのレモン煮が合わさって、フレーバーが華やかになりました。サツマイモとの相性も良かったです。単独で食べるとあっさりとした甘味ですが、一緒に合わせるとビールの苦味がサツマイモの甘味を引き立てて、スイーツ感が強くなりました。甘いものが好きな人には、ぜひ試してほしいペアリングメニューです。
今回、提案されたペアリングメニューは、どれも「Hop Frontier」がもつ香りの特徴に合わせただけあって心地良かったです。
科学的に分析された結果をもとにペアリングをする機会はありませんでしたので、こうした企画は面白かったですし、勉強になりました。
味覚は人によって感じ方も違うため、今回レポートした感じ方とは異なる印象を持つ方もいらっしゃると思います。そうした違いを伝え合うところもペアリングの楽しさです。ご家族や友人と一緒にペアリングを試してみてください。
こちらのペアリングメニューは、当面継続して提供されるということです。ぜひ、Far Yeast Tokyo Brewery & Grillに足を運んで「Hop Frontier」のペアリングを楽しんでみてください。
Special Thanks Phantom Zebra
Hop Frontier 商品概要
品目:ビール
原材料:麦芽、ホップ、糖類、コリアンダー
アルコール度数:6.5%
IBU:30
スタイル:Juicy IPA
価格:オープン価格
Far Yeast Tokyo Brewery & Grill
住所:東京都品川区西五反田1-15-6
電話:03-6420-3978
営業時間:<平日>ランチ11:30~15:00 (L.O14:00) ディナー17:00~23:00 (L.O22:00) <土日祝日>11:30~23:00 (L.O22:00)
※新型コロナウイルスの感染状況により営業時間が変更される場合があります。来店の際にはSNSなどでご確認ください。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。