北海道で次世代の若きブルワーたちがアセンブル(集合):Ezo Brewers Assemble
「Ezo Brewers Assemble」(以下EBA)とは、北海道の若きブルワーたちが集まる交流会です。今回参加したブルワリーは、ノースアイランドビール(江別市)、忽布古丹醸造(上富良野町)、のぼりべつ地ビール鬼伝説(登別市)、ニセコビール(ニセコ町)、美深白樺ブルワリー(美深町)、月と太陽ブルーイング(札幌市)、大雪地ビール(旭川市)の7ブルワリー。参加者の年代は20~30代で、次世代を背負って立つ年代のブルワーたちです。
そのEBAの初めての共同仕込が、12月20日に北海道江別市のノースアイランドビールで行われました。
EBAは、ノースアイランドの中村峻也ヘッドブルワーの呼びかけがきっかけとなって発足しました。まずは共同仕込をしようと声の掛けられる範囲でスタート。今回7ブルワリーが集まったものの、まだまだ今後広げていきたい意欲があるそうです。最北の「美深白樺ブルワリー」と最南の「のぼりべつ地ビール鬼伝説」の間の距離は約300キロ。その広大なスケール感は北海道ならではでしょう。
今回造ったビールはBlack IPL。骨子は事前にメッセージでやり取りをし、当日は集合するなりマッシュインが始まりました。
当日の会議の議題は、主に使用するホップについて。
ホップを一つ一つ吟味しながら、味のイメージを合わせていきます。
酵母投入。ピルスナーから取ったラガー酵母を使いました。
EBAの目的と未来への展望
EBAは、たくさんのブルワリーが集まっていますが「コラボレーション」というよりは、技術交流が主な目的です。
いまブルワーの世代が変わろうとしています。1990年代の第1世代のブルワーは重鎮となり、今は第2世代のブルワーが中心となってムーブメントを起こしています。今回集まったブルワーはその次の世代です。
世代が移り行くときには、「世代の壁」がどうしても現れてしまうものです。クラフトビールは「自由なお酒」であるはずなのですが、上の世代の人にいろいろなこと(それこそ「小さなこと」など)を訊くのには遠慮が伴います。若い世代のブルワーは、他社のトップブルワーの方との交流はあっても、年齢差がありなかなか気軽に相談しづらいのが悩みです(それは読者の方のお仕事でもそうだと思いますが)。
しかし、近い年代同士であれば、いろいろなことを遠慮なく話せます。この日も多くのブルワーが熱心にメモを取りながら質問をし合っていました。あるいは日頃大変なブルワーの仕事についてとりとめのない会話をしながら、良い意味でのガス抜きをしている光景も見られました。
ブルワーの仕事は創意工夫と知識欲が重要なのですが、こうした機会でお互いが刺激し合うことでブラッシュアップが進んでいくのだと思いました。このアセンブルの成果は、きっと各社の未来のビールに反映されるでしょう。
北海道以外の地域でこのような試みが起きているか、残念ながら寡聞にして知りませんが、この規模で新世代のブルワー同士がアセンブルしたのはあまり例がないのではないかと思います。
商業的なコラボレーションとはまた別に、新しい世代のブルワーたちがブラッシュアップする機会を他地域でも起こしていけば、クラフトビールはもっと面白く、美味しくなると思います。
[追記]
※今回のEBAのビールは、ノースアイランドビールより2022年1月にリリースされました。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。