[イベント,テイスティング,ブルワー]2022.3.7

【ビールのある風景in岩手㉔】~JR東日本盛岡支社の共同企画「IWATE BEER」の発表から1年~ 11社が県産ホップを使ったビールを発売

皆さまはこのロゴマークが付いたビールを見かけたことがありますか?

これは、JR東日本盛岡支社が昨年3月25日に発表した企画、岩手県内クラフトビール事業者と連携したクラフトビール「IWATE BEER」の共通ロゴマークです。
6月下旬から順次発売された企画ビールは首都圏エリアで取り扱われたものも多いので、岩手に足を運んでいない方でも、どこかでこのロゴマークを見かけたことがあるかもしれません。
企画発表から約1年、全11社のビールが発売され私自身もすべて味わってみた今、この企画について改めて振り返ってみたいと思います。

IWATE BEERとは

まず改めてこの「IWATE BEER」という企画を紹介したいと思います。
「IWATE BEER」は、JR東日本盛岡支社が岩手県内11社のクラフトビール事業者と連携し発売する、岩手県産ホップを使用したクラフトビールです。

岩手県内11社のクラフトビール事業者と連携し、岩手産ホップを使用したクラフトビールを順次発売する。

日本一のホップ生産量を誇る岩手県では、生産量・就農者数が年々減少している中、クラフトビール事業者は年々増えており、ビール愛好家が各地を訪れるなど地域の重要な観光資源となっています。
今回の取り組みを通じて地域の産業振興・活性化、交流人口拡大を目指します。
(JR東日本ニュースより)

使用される県産ホップは、遠野市のIBUKIか軽米町のリトルスターです。遠野市のIBUKIはキリンビール株式会社、軽米町のリトルスターはサッポロビール株式会社の提供となっています。

IWATE BEER企画商品

今まで2回ほどIWATE BEERの一部の記事を書かせていただいてはいますが、今年度(昨年6月~12月)に発売された全11社のビールを改めて簡単に紹介したいと思います。

遠野産IBUKI使用

◎いわて蔵ビール(世嬉の一酒造株式会社・一関市)
【商品名】こビール
【ビールスタイル】ウエストコーストIPA
【アルコール度数】5.0%
【内容量】330ml(瓶)

◎暁ブルワリー八幡平ファクトリー(株式会社太極舎・八幡平市)
【商品名】未来豊饒(みらいほうじょう)
【ビールスタイル】セゾン
【アルコール度数】4.5%
【内容量】350ml(缶)

*こビールと未来豊饒については、こちら(【ビールのある風景in岩手⑲】県内ブルワリーによる共同企画「IWATE BEER」発売開始!)もご参照ください。

◎遠野麦酒ZUMONA(上閉伊酒造株式会社・遠野市)
【商品名】”IBUKI”HOP IPA
【ビールスタイル】ウエストコーストIPA
【アルコール度数】6.0%
【内容量】330ml(瓶)

◎株式会社遠野醸造(遠野市)
【商品名】THANKS SAISON
【ビールスタイル】セゾン
【アルコール度数】5.0%
【内容量】350ml(缶)

◎315 BEER(奥州市)
【商品名】Gold Breathe(ゴールドブリーズ)
【ビールスタイル】ゴールデンエール
【アルコール度数】5.5%
*生ビール提供のみ

◎三陸ビール(三陸ブルーイングカンパニー合同会社・大船渡市)
【商品名】週末のうみねこ(IBUKIバージョン)
【ビールスタイル】ベルジャンホワイト
【アルコール度数】5.5%
【内容量】330ml(瓶)

◎BrewBeast(株式会社トルクスト・花巻市)
【商品名】IBUKI IPA
【ビールスタイル】アメリカンIPA
【アルコール度数】6.0%
【内容量】330ml(瓶)

◎ヘリオス酒造株式会社沢内醸造所
(西和賀町)
【商品名】ハロー!もりのどうぶつビール
【ビールスタイル】ライトエール
【アルコール度数】5.0%
【内容量】350ml(缶)

◎陸前高田マイクロブルワリー(陸前高田市)
【商品名】Bitter IBUKIシングルホップver
【ビールスタイル】ビター
【アルコール度数】5.0%
【内容量】330ml(瓶)

軽米産リトルスター使用

◎ベアレン醸造所(盛岡市)
【商品名】ベアレン岩手コモン
【ビールスタイル】カリフォルニアコモン
【アルコール度数】5.5%
【内容量】350ml(缶)

*ベアレン岩手コモンについては、こちら岩手県産ホップを100%使用~ 「ベアレン 岩手コモン」数量限定で販売中!)もご参照ください。

◎さくらブルワリー(北上市)
【商品名】Mayflower IPA リトルスターバージョン
【ビールスタイル】HAZY IPA
【アルコール度数】7.0%
【内容量】330ml(瓶)

同じように岩手県産ホップを使用していること以外は、スタイル、味わい、色合い、苦み・・・それぞれ違いがあり、それぞれのビールを楽しんで飲むことが出来ました。
JR東日本盛岡支社では、下記のようなビールチャートも作成しています。

発売時期が遅めのものや追加販売されたものの中にはまだ手に入るものもありますので、ぜひ今からでも「IWATE BEER」のロゴマークを探してみてくださいね。、

企画ビール販売以外では…

この企画は、岩手県産ホップを使ったビールを製造・販売することが中心ですが、それだけでは終わっていません。
新幹線はやぶさの停車駅でもある盛岡駅では、IWATE BEER MAPの掲示とチラシの配布が行われています。岩手県内でビールが楽しめるお店・醸造所などの情報が載っていますので、機会があったらぜひ眺めて参考にしてください。

また、イベント開催の難しい昨今ではありますが、昨年10月~11月には「いわてクラフトビールオータムフェア2021」がホテルメトロポリタン盛岡の「ダイニング&バー ジョバンニ」で開催され、10月は4社、11月は5社の岩手県内醸造所のビールを味わうことが出来ました。県庁所在地の盛岡でも普段は県内のすべての醸造所のビールが手に入るわけではないので、貴重な機会だったと思います。
さらに、11月上旬にはトークイベント×ペアリングイベントとして、「IWATE BEER special Night」が開催されました。私も参加させていただきましたが、ブルワリー3社の代表による楽しいトークを聴きながらそれぞれのクラフトビールとシェフ特製スぺシャルプレートを味わえ、落ち着いた雰囲気の中、楽しい時間を過ごすことが出来ました。

企画の特徴と今後について

ここ何年かで、ブルワリー同士、またはブルワリーと飲食店のコラボビールの販売が急激に増えてきた印象があります。また、地元自治体や観光協会と一緒にお土産にもなるビールが造られるといったことは、以前からよくあったことだと思います。ビールに関して共同で何かを企画すること自体は、それほど珍しくありません。
でも「IWATE BEER」は、旅客鉄道等を運営する鉄道事業者の支社であるJR東日本盛岡支社が規模の大小などを問わず岩手県内11社のクラフトビール事業者と連携したという点で、他とは少し違っていて珍しい貴重な取り組みだと感じてきました。
JR東日本は鉄道事業者ですが、鉄道沿線の振興とCSR(企業の社会的責任)を兼ねた取り組みとして、地方の物産や観光資源を首都圏などに紹介する「地域再発見プロジェクト」という地域活性化プロジェクトも行っています。
IWATE BEERの販売に関しても、鉄道ネットワークの特性及び首都圏での販路を持つメリットを活かし、首都圏の「のもの」や紀伊国屋などで販売されたものも多くありました。(岩手県内でよりも首都圏でのほうが見つけやすいものもあったぐらいです。)

来年度のことの詳細はまだ未定ですが、岩手県内のホップ・ビールの魅力が高まる企画は引き続き検討中とのこと。発表を楽しみに待ちたいと思います。
私の「IWATE BEER」に関する記事も、来年度もまだまだ続けられそうです!

*この記事の作成にあたりましては、JR東日本盛岡支社のご協力をいただきました。

315BEERBrewBeastIBUKIIWATE BEERJR東日本いわて蔵ビールさくらブルワリーヘリオス酒造株式会社沢内醸造所ベアレン醸造所リトルスター三陸ビール暁ブルワリー八幡平ファクトリー遠野醸造遠野麦酒ZUMONA陸前高田マイクロブルワリー

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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