大多喜麦酒オープン 不便さを魅力にする「ひみつ」とは
4月のとある日曜日、醸造所直営タップルームのプレオープンにお邪魔しました。目的地は千葉県大多喜町。そして醸造所の名前は「大多喜麦酒」
私がみた新しい醸造所の風景をお知らせしたいと思います。
大人の遠足 お大多喜まで
お誘い頂いたのはビアバー「エールハウス」店長の林 亨(はやし とおる)さん。エールハウスのオーナーの鈴木 博行(すずき ひろゆき)さんは大多喜麦酒の役員として立ち上げから関わっています。
鈴木さんが経営されている3店舗(Oasis、Ale house、NONSUCH)のお客様達が一緒に東京からバスでやってきました。
天気がよく絶好のビール日和。1階は醸造所、2階がタップルームです。とても素敵な雰囲気。庭でバーベキューも始まりました。参加者みなさんが好きな場所でビールを楽しみます。
3人のキーパーソン
代表兼醸造長の宮崎 繁(みやざき しげる)さん。
「縁だったんじゃないかな」宮崎さんは言います。宮崎さんはもともと建築関係の仕事をされており、出かけたイギリスでビールの美味しさに目覚めました。さまざまな経験をされる間に、いつかは自分で何か造る仕事をしたかったそうです。それが「ビール」でした。
自分の手で造ったものが誰かに届く仕事。奥様には「パン屋じゃなくてビールだったの?」と笑われたというエピソードも。それこそ、縁だったのでしょう。
醸造所のある敷地に住んでいるの高橋大地(たかはし だいち)さん。
高橋さんは東京都北区の出身ですが、自然豊かな土地を求め2019年に大多喜町に移住しました。移動販売の仕事をする中で高橋さんは町の過疎化状態に直面し町のために何か出来る事はないかと考えます。そんな時に高橋さんと以前からの知り合いで、町を訪れていた鈴木さんが大多喜町の恵まれた水や立地に気づきビールの醸造をここでする事を思いつきます。知人からビール造りに興味がある人がいるとビアバーをしている鈴木さんと宮崎さんが知り合ったのもこの時期。何かに導かれるように3人が出会った事で、ビール醸造所の計画が動き出しました。
大多喜麦酒 ここで出来ること
普段ビールを飲むけれど、どんな場所でどんな材料を使ってビールが造られているか、実際に見たことがある人は多くないかもしれません。ここを訪れると醸造の様子を身近に見る事ができます。ビールが造られている現場で麦芽の煮沸やホップの使い方、貯蔵や瓶詰めの様子を眺めたり。また醸造者の方にお話しを聞く事でよりビールを身近に感じ、さらに興味を持てるのではないかと思います。
クラフト=手工芸品
それこそがクラフトビールの特徴で、造られる場所を体験をする事でより身近に感じられるはずです。お店で飲むものだけでなくより身近なものへ。こうやってクラフトビールが生活に根付いていくと素敵だなと思います。
大多喜麦酒 ここでしか出来ないこと
大多喜麦酒がある大多喜町は千葉県房総半島のほぼ中央に位置しています。千葉県の町村で最も広く、森林が総面積の約70%を占めるという緑に包まれた自然豊かな町です。
城と渓谷の町を掲げていて徳川四天王のひとり本多忠勝が居住した大多喜城や紅葉で有名な養老渓谷も大多喜町にあります
大多喜町へのアクセスはかなり不便です。東京からの高速バスの停留所、たけゆらの里からは車で10分程度、最寄りの駅はいすみ鉄道というローカル線の駅から歩いて20分ほどかかります。
醸造所の近くには大きなショッピングモールも24時間営業のコンビニもありません。
しかし、ここでしか出来ない体験もたくさんあります。
青々と生命力を感じる樹々、虫の声や鳥のさえずり、蛍、大きな夕陽。
不便さをこの場所の特徴にした上で大多喜麦酒には様々な構想があります。
ホップなどビールの材料を自家栽培したり、地元の野菜や果物を使用したビールを造るなど。現に近くの農家の方が作ってたフルーツやハーブなどをビールに使用する計画や立教大学でビジネスプランとして発表されるなど、より地域に根ざした活動が広がりつつあります。
都内のビアバーに足を運び、休日には時間を見つけて少し遠出をする。遠出先には自然があり造りたてのビールを楽しめる。ゆったり過ごす贅沢な時間になると思います。新たなビールの楽しみ方を提案されたように感じた、そんな1日でした。
タップルームは2022年4月24日 本日オープンです!
写真提供:ロゴは大多喜麦酒FBより、その他本文内すべて筆者
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【店舗情報】
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。