[コラム]2022.5.21

【羽生・こぶし花ビール ピルスナー】『映画 翔んで埼玉』の名言「口が埼玉になる」を真面目にビールで考える⑤

羽生ブルワリー休業 22年の歴史にいったん幕を閉じる

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羽生ブルワリー

2022年3月末。
埼玉県では桜が見頃を迎えていた頃、ビール業界に衝撃のニュースが流れた。
「羽生ブルワリー休業。22年の歴史にいったん幕を閉じる」
醸造責任者で工場長の市岡慎司さんの定年退職、新型コロナウイルス感染拡大による売上不振、製造施設の老朽化など、いくつもの要因が重なっての休業だ。
羽生ブルワリー』にとっても、苦渋の決断だったに違いない。

羽生ブルワリー【こぶし花ビール】とは

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【こぶし花ビール ピルスナー】と「こぶしの木」

埼玉県北部、利根川に面するまち・羽生市の地ビールとして、2001年4月に『羽生ブルワリー』は誕生した。

“麦の酒”らしさあふれるビール造りを心掛け、麦芽100%で造られるビールは、すべて手作業、少量バッチで丹精込めて造られていた。
さらに、タンク内のビールの美味さをそのまま味わってもらう為、ろ過や熱処理など保存処理をせずに出荷されていたのも特徴だ。

【こぶし花ビール】の名は、『キヤッセ羽生』の“四季の丘”に立つシンボル「こぶしの木」に由来する。
ピルスナー以外にも、ベルジャン・ホワイトやマイボックなど、『羽生ブルワリー』で造られるビールは、いずれも数々の鑑評会で好評価を得ている。
その品質は、折り紙付きだ。

【こぶし花ビール ピルスナー】との出会い

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羽生ブルワリー【こぶし花ビール ピルスナー】

私と【こぶし花ビール】との出会いは約10年前、2012年頃だったと記憶している。
当時、バイクで日本中を走り回っては、その土地のお酒を買って帰るのがルーティーンだった。
私は、『キヤッセ羽生』で休憩した際に、何の気なしに【こぶし花ビール ピルスナー】を購入して帰ったのだ。

飲みなれたピルスナーだったが、いつもより少し濃い液色、モルトの甘味と爽やかな苦み。
その一つ一つの個性が、普段飲んでいたビールとは違って感じたことを覚えている。

【こぶし花ビール ピルスナー】は「口が再開を待ち望むビール」

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ビール醸造を“いったん”休業した醸造設備

【こぶし花ビール】全製品の製造および工場出荷は、2022年4月にて終了している。
私は改めて『キャッセ羽生』を訪れてみたが、当然、ビール醸造は行われていない。
農業物産館『むじなも市場』でも、すでに全商品が完売していた。

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口が再開を待ち望むビール

様々な事情により、ブルワリーとしての稼働が継続できなくなってしまうことは、残念だが仕方のないことだ。
しかし、多少なりとも救いに感じているのは、『羽生ブルワリー』が“廃業”ではなく“休業”と発表したことだった。
「22年の歴史に幕を閉じる」ではなく、「22年の歴史に“いったん”幕を閉じる」
つまり、私たちは、いつの日か『羽生ブルワリー』が再開する日を思い描き、待ち続けることができる。

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こぶし花ビール ピルスナー

私は、『キャッセ羽生』を訪れた日の夜、事前に購入していた【こぶし花ビール ピルスナー】の栓を開けた。
偶然出会ったあの日から約10年。
濃い目のゴールド、泡立てて注ぐことで際立つ、ホップの苦みとモルトの甘味。
芳醇でありながら爽快。
この一本を飲み終えたら、【こぶし花ビール ピルスナー】とは暫くお別れだ。
間違いない。
【こぶし花ビール ピルスナー】は、埼玉県民のみならず、「口が再開を待ち望むビール」だ。

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

南原 卓也

ビアジャーナリスト/樽生アドバイザー

埼玉県にある“日本一面積の小さい市”で生まれ育ったビール好き。
サントリー樽生アドバイザー、業務用酒販店の営業を経て、埼玉とお酒を伝えるライターになりました。

【日本ビアジャーナリスト協会】2021年新人賞 受賞
【日本ビアジャーナリスト協会】2022年最優秀執筆賞 受賞

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