トラピストビール≠ベルギービール
目次
始めに
ベルギービール好きのフェイスブックグループは世界に多数あります。それに投稿する人の中には、トラピストビールだからベルギービールと思い込んでいる人も少なくありません。今回はベルギービール好きには釈迦に説法かもしれませんが改めてトラピストビールについてお話したいと思います。
トラピストビールとは
トラピスト会修道院で造られる上面発酵ビールの総称です。
トラピストビールの呼称は、1962年にベルギー貿易通商裁判所が承認し法的に保護されたものです。
1997年には名前の乱用を防ぐため国際トラピスト会修道士協会(ITA)を設立し、基準を満たした商品にのみ「Authentic Trappist Product」の文字の入った六角形ロゴマークが印刷されたラベルの使用を許可する取り決めをしている。基準とは下記の通りです。
•トラピスト会修道院の修道士が自ら醸造するか、修道士の監督の元で醸造されたものであること。
•修道院の敷地内の醸造所で醸造されていること。
•販売は営利目的で行ってはならず、収益は修道院のメンテナンスや運営費用に充て、残額は慈善団体に寄付すること
これらの基準を満たした醸造所だけがトラピストビールと呼称出来ます。
トラピストビールの推移
トラピストビール≒ベルギービール
1962年 トラピストビール呼称開始時
ベルギー
・ロッシュホール
・ウェストマール
・ウェストフレテレン
・シメイ
・オルバル
オランダ
・ラ・トラッペ
トラピストビール=ベルギービール
1997年のロゴマーク使用許可があった時点
ベルギー
・ロッシュホール
・ウェストマール
・ウェストフレテレン
・シメイ
・オルバル
1998年
ベルギー
・アッヘル
トラピストビール≒ベルギービール
2005年~2012年
ベルギー6カ所
オランダ
・ラ・トラッペ
トラピストビール≠ベルギービール
2012年~2018年
ベルギー6カ所+オランダ1カ所
オーストリア
・グレゴリアス
アメリカ
・スペンサー
オランダ
・ズンデルド
イタリア
・トレホンターネ
イギリス
・テイント・メドウ
2018~現在
ベルギーのアッヘルがアビィビール(トラピスト会以外の修道院が関与したり、かつて修道院で行われていた醸造方法やレシピを一般の醸造所に委託して造られるもの等を言います。)に、アメリカのスペンサーが廃業となりました。ベルギーで造られる醸造所が5つ、他の国の醸造所が5つ計10カ所の醸造所が現在トラピストビールとして呼称されています。
上記の結果
一時はベルギービール=トラピストビールでしたが現在はベルギービールの中でトラピストビールは半数になっています。トラピストビールにベルギービールは含まれますが、トラピストビールはベルギービールではありません。
最後に
オランダの「ラ・トラッペ」は1884年から醸造しています。1962年にベルギー貿易通商裁判所が承認し法的に保護されていた時点では、トラピストビールの中に入ってました。ロゴマーク申請時に修道士が醸造していなかので一時アビィビールになっていましたが、2005年にトラピストビールとして復活しています。長く、ベルギー以外の国で唯一トラピストビールとして今も醸造されています。「ラ・トラッペ」はオランダのトラピストビールです。ベルギービールではありませんが一緒にトラピストビールを発展して頂いたのは事実です。
近年、修道士の高齢化が進みトラピストビールとしての存続が世界的に厳しいものとなっていると聞いています。その中でも醸造を続けている事に感謝と敬意を持ってビールを楽しみたいと思います。
購入店
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