【環境ペアリング01】ASOBIペールエール×与謝野ホップ畑
クラフトビールにフードを合わせるフードペアリング。
ビールにちょっと組み合わせることで、おいしさがググっとアップします。
でもおいしさの相乗効果を引き出すモノって、食べ物だけじゃない。
天気だったり、店の雰囲気だったり、一緒に飲む人だったり、会話だったり。
どんな“環境”で飲むかでビールは感じ方が変わります。
当ビアジャーナリスト協会代表の藤原ヒロユキが、それを「環境ペアリング」と命名。
これを私はもっともっと追及していきたいと思います。
今回環境ペアリングさせたのはビールの主原料のひとつでもあるホップの畑と、その土地で生まれたビールのペアリングです。
ホップの畑は背高のっぽ
ビールに爽やかな苦味や香りを与えるホップですが、そもそもホップの畑がどんなのものご存じですか?
こーんなの!
アサ科のつる性植物で、春から夏にかけて5mから10mほどの高さに成長します。
ビールに使われるホップの実は、毬花(まりはな・きゅうか)といい、松ぼっくりのような形。
この毬花を割ると出てくる黄色い粒々が、苦味と香りの元であるルプリンです。
ホップの根は地下3m以上にまで伸び、細いものであっても2m近く広がります。その根を掘り起こし植え替え、グングン成長する蔓をロープで誘引し、剪定や除草、さらに天候や害虫と睨めっこしながら、ここまで育てあけたホップ農家さんのご苦労は計り知れません。
香り高いビールをつくるために苦心されている農家さんに頭が下がります。
京都でホップの収穫体験
今回おいしいビールのペアリングを試すためにお邪魔したのは、京都府の日本海側に位置し山と海に囲まれ自然豊かな与謝野町。
ホップの収穫体験会に参加させていただきました。
ホップは、7月から8月にかけて収穫の最盛期で、真夏の炎天下の作業は一苦労です。
夏の青い空高く緑の葉が茂り、そのコントラストが美しい。植物の力強さを感じます。
与謝野では成熟した毬花を見極め一粒一粒手作業で摘み取っています
畑は暑いし、ご立派な蚊はいるし、ホップの蔓はなんだかチクチクするしもう大変。
でもこれがビールの原料になるのだと考えるとワクワクします。夢中で摘みとりました。
さてさて、このホップをつくる産地だからこそできる環境ペアリングが「ホップ畑×ビール」。
さらにこの畑から収穫されたホップを使ったビールなら、なお一層のことハッピーです。
与謝野で生まれたASOBIペールエール
合わせたビールは、与謝野町で2019年秋に誕生した「かけはしブルーイング」。
2022年8月現在では委託醸造をしていますが、来年には自分たちのブルワリーが完成し自家醸造のビールが誕生する予定です。
ASOBIは、与謝野産ホップを使用したペールエールです。
収穫後すぐに真空パックし冷凍保存されたホップ(フレッシュホップ)を使っており、新鮮ホップのみずみずしさが存分に楽しめるビールなのです。ホップはコロンバスとチヌークというシトラス香りとスパイシーさが特徴の種類を使っているのだとか。
さっそくひと口。オレンジの皮ような柑橘のアロマと、麦芽のこうばしい風味が好バランス。喉を滑り落ちた後に青々とした草の香り。
一仕事の後に飲む1杯は、筆舌に尽くし難いおいしさ。汗と疲労感、そして青空に映える緑の畑が最高のスパイスになっています。
今回は収穫を手伝ったご褒美として特別なコトを。
採れたてのマグナムホップをちぎってビールに浮かべてみました。ホップの特徴がしっかりとしたビールにさらにホップを追加しちゃう、“追いホップ”という御馳走です。
ホップ畑の青々しい空気を胸いっぱいに吸い込み、ビールをゴクリ。
グラスを傾けるたびに、ホップがドカンと鼻腔に押し寄せてきて香りの波に溺れてしまいそう。
口福・眼福・鼻福でした。
原料が育つ畑を見ながらビールを飲むと「ビールって工場で製造される工業品ではなくて、畑から造られる農作物」って体の底から感じることができました。
与謝野や岩手県遠野市、福島県田村市などの畑でも収穫体験会が開催されていますから、いちどホップ畑に足を運んでみてはいかがでしょうか?
本気でホップに愛を注ぎたい方は、株植えから収穫までいつでも好きなタイミングでお手伝いができる「ホップレンジャー」を与謝野では募集していますよ。
もちろん、その土地のビールとの環境ペアリングもお忘れなく。
ASOBIペールエール
醸造所:かけはしブルーイング
スタイル: ペールエール
原材料:大麦麦芽、ホップ
アルコール度数: 5.5%
URL:https://kakehashi.beer/
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。