今年も朝採れ生ホップを使用したFar Yeast Brewingのフレッシュホップビールが飲める日がやってきた
9月に入り、今年もフレッシュホップビールが飲める季節がやってきました。山梨県にあるFar Yeast Brewing株式会社(以下、FYB)でも昨年に引き続き同県北杜市にある「小林ホップ農園」のホップを使用したフレッシュホップビール「Far Yeast Farm to Brew 2022」を9月4日から発売しています。
目次
ホップのフレッシュさを生かすため朝採れ生ホップを使用
「Far Yeast Farm to Brew 2022」は、「山梨応援プロジェクト」として2021年に初めて醸造したビールです。FYBがある山梨県北杜市は、日本で初めて本格的なホップ栽培を始めた地域です。過去には多くのホップ栽培農家がありましたが、今ではほとんどの農家が撤退してしまっています。
「小林ホップ農園」とは?
小林吉倫さんが山梨のホップ栽培を継承しようと2015年より北杜市内での試験栽培を実施。2016年より本格的にホップ栽培とビール販売を開始して、ホップ栽培の継承と発展に取り組んでいます。日本産ホップは⼤⼿ビールメーカーの契約農家が栽培しているものが多いです。しかし、⼩林ホップ農園では独占契約は⾏わず、⾃由に販売を⾏うことでホップの魅⼒を広く伝えています。
ホップは収穫後から酸化が始まります。フレッシュホップビールでは、繊細なホップの香気成分をどれだけ保てるのかが重要です。「Far Yeast Farm to Brew」は、収穫から仕込み釜へと投入するまでの時間を最短にして、生ホップのアロマとフレーバーを最大限に活かすことに挑戦しています。
今年も源流醸造所のスタッフが早朝から北杜市にある「小林ホップ農園」を訪れて収穫作業を行って、約4時間で40kgのホップを収穫。収穫後は、すぐに源流醸造所へと運び、香り成分を効果的に抽出するためにひとつひとつ手作業で鞠花を分解・粉砕してそのまま仕込み釜へと投入しました。
フレッシュホップビールの醸造で大変なことをFYBにお聞きすると、「収穫したてのホップを当日に投入するフレッシュホップビールは、生育具合や天候に左右されるため日程調整が難しいです」。天候の良いが続くと生育早くなり、仕込む日を前倒しにしなくてはならなかったり、収穫予定日が雨になると遅らせる必要があったりと直前までスケジュールを調整が必要で大変ということでした。
また、早朝から収穫班と仕込み班に分かれて、チーム一丸となって1つのビールを造るので多くの労力がかかるビールでもあります。
商品名の「Farm to Brew」は、「農場から食卓へ」という意味の“Farm to Table”から名付けられ、地産地消により、輸送や倉庫管理等に伴う環境負荷を抑えたサステナブルな取り組みを表現しています。
生ホップの自然な香りを活かしたケルシュ
「Far Yeast Farm to Brew 2022」のビアスタイルはケルシュ。生ホップの自然でフレッシュな香りを届けるため、昨年と同じくシンプルで伝統的なビアスタイルを選択しました。
今回、苦味付けにジャーマンホップのメルクールをわずかに使⽤。その他は全て「⼩林ホップ農園」で収穫したホップを使⽤しています。品種は、メインに2022年から収穫ができるようになったシトラスとグラッシーさやハーバルなどのユニークなWild Americanと称されるアロマを持つ「コメット」に変更。この他に杉やヒノキ、レモングラスのような⾹りが特徴の「ソラチエース」、刺激の少ない爽やかな苦味が特徴の「スターリング」の計3種類を使用しています。
ブルワーチームから今年のホップについて聞きました。
「今年のフレッシュホップを嗅いだ時、昨年よりも品種ごとの個性が際立っていました。昨年、感じたソラチエースのレモン様の香り、スターリングのグレープフルーツのような香りは、それぞれより強調されたように感じます。また、今年から新しく使えることになったコメットは、青草のようなインパクトのある香りが特徴的でした。普段は同じ品種のアメリカ産ペレットホップを使っていますが、加工品には無いフレッシュホップならではの力強さがあります。完成したビールは、モルトに調整を加えて味わいを爽やかにすることで、特にレモン感や青草感がよく表れています」
ホップとモルトが織りなすすっきりとドリンカブルかつフルーティーな味わいに仕上げたということです。
ホップ圃場で香るフレッシュなホップの香りとフレーバーが楽しめる
実際に飲んでみた感想をお伝えします。
色はきれいなゴールドです。グラスに口を近づけていくと、最初に穀物の甘い香りを感じた後にフレッシュホップ特有のみずみずしく爽やかな香りがふわっと立ってくるのを感じました。
ホップの香りを感じながら口に含むと、甘味が最初に口の中に広がり、その奥からフレッシュで爽快なグラッシーなフレーバーが顔を出して甘味を覆っていきます。普段飲むペールエールやIPAと比べても新鮮ですっきりしたフレッシュホップならではのフレーバーだと思います。苦味は程よく続き、弱まってくるとモルトのフレーバーが軽やかに鼻から抜けていきました。
あくまでも個人的な感想になりますが、昨年の「FARM TO BREW」よりもフレッシュホップの香りとフレーバーをしっかり感じることができました。口当たりも良く、テイスティングながらあっという間に飲み干してしまいました。
圃場で、ホップを摘んで毬花を割ったときに香ってくる香りをそのまま感じることができるビールですね。
「Far Yeast Farm to Brew2022」は9⽉4⽇(⽇)より発売を開始しています。FYBは今後も⼭梨県内の⽣産者や事業者と連携し、さまざまなメイド・イン・⼭梨のビールを届けると言います。ホップ畑と醸造所が同じ山梨県内に位置するからこそ造れる、この時期限定のスペシャルなビールを味わってみてはいかがでしょうか。
<Far Yeast Farm to Brew 2022 商品概要>
品目:ビール
原材料:麦芽(ベルギー製造、ドイツ製造)、ホップ、小麦
アルコール度:5.0%
スタイル : Fresh Hop Kölsch
仕様:350ml缶
販売開始日:2022年9月4日(日)
希望小売価格:オープン価格
※2022.9.12 ブルワーチームのコメントを加筆をしました。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。