【東北で出会うビールの世界⑨】今、注目したい! 福島駅周辺のビール事情の進化
東北地方の南部にある福島県。福島市はその北東部に位置し、西は吾妻連峰、東は阿武隈高地に囲まれた福島盆地にある、人口約27万人の県庁所在地です。
古くは養蚕と阿武隈川の舟運で栄えた小さな城下町で、飯坂温泉や土湯温泉などの温泉も豊富。また果物の生産が盛んで、名物の桃をはじめ1年中みずみずしい果物を楽しむことができるフルーツ王国です。
夏と冬で気温差の激しい盆地特有の内陸性気候で、冬は市中心部でも10〜30cm程度の積雪になることがあります。
東京から北へ約260kmの距離にあり、福島市の玄関口福島駅までは新幹線を利用すると東京から約1時間30分、仙台からはわずか約25分で到着します。
駅の東口には、福島市出身でNHK連続テレビ小説のモデルにもなった作曲家・古関裕而のモニュメントがあり、来訪者を迎えてくれます。
昨年までは福島駅周辺でクラフトビールが飲めるところが見つからなかったのですが、今年は駅から徒歩圏内に2店舗誕生しているのでご紹介します。どちらも昼からでも飲めるところです!
イエロービアワークス
イエロービアワークスは、約2年前に設立された福島市の農家が醸造するブルワリーです。大麦やホップ、お米、野菜などを栽培し、原材料の一部として使用しています。
そのイエロービアワークスのビアスタンドが、8月下旬に福島駅東口から徒歩10分程度の福島市大町の文化通りにオープンしました。今までも福島市郊外には店がありましたが、車でないとなかなか行きにくい場所。今回の店は駅前にあるので、気軽に足を運べるようになりました。
お店では、イエロービアワークスで醸造したクラフトビールやゲストビールはもちろん、自身で栽培している米を使ったおむすびなどのフードが提供されています。
訪問したのは平日のランチタイム。平日ランチ限定の「おむすびボックス」が並んでいました。おむすびボックスは具の組み合わせがいろいろ選べ、大きめなので食べ応えがあります。テイクアウトする方も次々と来店されていました。
タップはノンアルコールビールも含めて10タップ。2種類の自社ビールから定番のHazy IPAのどヘイジーパンクスを選び、おむすびボックスと合わせて2階でいただきました。
ロゴも店内もポップな感じですが、ビールは深みもありつつ穏やかな味わい。この日は1種類だけ飲みましたが、もっといろいろ味わってみたいと感じました。
イエロービアワークスでは、現在、この店のオープンに加え醸造所拡大を目指して、クラウドファンディングで協力を呼びかけています(募集は11月まで)。
集めた資金は醸造設備購入や店舗改修に充てられます。醸造設備が増強されると、ビアスタンドで飲める自社ビールもさらに増えるのではないでしょうか。リターンには、新しい醸造所で造られた新作クラフトビール、オリジナルグッズのほかにお米などもあります。こちらの応援もよろしくお願いします。
クラウドファンディングの詳細はこちらからご確認ください。
◎イエロービアーワークス文化通り店
住所:福島市大町 9-10
営業時間:11:30〜14:00・15:00〜22:00(フードL.O 21:30)
日曜日定休
◎大笹生醸造所
住所:福島市大笹生字横堀 12-5
営業時間:金曜日 14:00〜18:00
土・日 14:00〜16:00
津軽麦酒
イエロービアワークスのビアスタンドから徒歩で数分の福島市新町に、今年の3月にオープンしたのがビアバーの「津軽麦酒」です。東北のクラフトビール中心に8タップで提供しているだけでなく、ボトルでも約30種類が揃っています。
道路に面した部分に大きなガラスが使われている造りで、店の中の様子が分かりやすくとても入りやすい感じになっています。
店内は木目を基調にして壁はレンガ調で明るい雰囲気。カウンター席が多めなのでひとりでも入りやすいだけでなく、テーブル席もあるのでグループでの利用も大丈夫です。
店主の細谷さんは、福島県内のブルワリーでクラフトビールについての知識を学んできた方。福島にビール専門店が無く需要が高まっていることを感じ、オープンに至ったとのことです。ちなみに青森出身で「福島だけでなく地元の青森も好き」ということで店名を「津軽麦酒」としています。
写真には写っていただけませんでしたが、とても知識が豊富で話していて楽しい方なので、ぜひ実際にお店で会ってみてくださいね。
この日いただいたのは、福島県内の半田銀山ブルワリーで造られているフルーツエールの「暁#2」と北海道の忽布古丹醸造の「福禄寿ビール」。東北を中心に各醸造所の定番銘柄や季節限定の厳選のクラフトビールが揃っていました。
◎津軽麦酒
住所:福島市新町4-32 丸石ビル1F
営業時間:14:00~22:00
不定休
イエロービアワークスビアスタンドも津軽麦酒も、ビールのタップリストにそれぞれのビールの特徴がしっかりと記載されていて、好みにあったビールが選びやすいように配慮されているのも嬉しかったです。
みちのく福島路ビール
福島駅からは車での移動が必要ですが、福島市のビールといえば外せないのが20年以上もクラフトビール醸造を続けているみちのく福島路ビールです。定番のビールに加えくだもの王国福島ならではのフルーツビールもが揃い、季節限定の旬の味が楽しめます。
みちのく福島路ビールは、福島駅からは十数キロのアンナガーデンの敷地内にあります。
アンナガーデンとは?
福島の南西部、吾妻連峰の山麓に位置し、聖アンナ教会を中心にレストランや雑貨などのお店が並んでいる観光スポットです。四季折々の風景を楽しみながら、ゆっくりした時間を過ごすことができます。
こけしコレクション、こけしに関する資料等が展示されている「原郷のこけし群・西田記念館」もあります。
四季折々の花に囲まれた中に福島路ビールはあります。醸造所併設の売店「プロースト」では、お土産用ビールの購入はもちろん、出来立ての生ビールを飲むこともできます。
店内でも飲めますが、天気がよければテラス席がお勧め。私は、名物の骨つきフランクをおつまみにヴァイツェンを飲んできました。
ちなみに、冬でも年末年始以外は無休で営業していますが、12月でもこんなに雪深くなることもあるので、こちらには気候のいいときを選んで足を運んだほうが楽だとは思います。
◎みちのく福島路ビール
住所:福島市荒井横塚3-183
営業時間:10:00~17:00
定休日:なし(年末年始のみ)
交通:
《車利用の場合》東北自動車道 福島西ICより国道115号線を約10分。
《電車とバス利用》福島駅東口より土湯温泉行のバスに乗車し約30分、「自治研修センター」下車徒歩約10分。
今年、グッと進化した福島駅周辺のクラフトビール事情。ぜひ、実際に足を運んで、味わって感じてみてくださいね!
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。