[コラム,ビアバー]2023.3.31

旅とビールと 愛媛のブルワリーを巡る

愛媛県松山のブルワリー(ビール醸造所)といえばDD4Dと道後温泉麦酒を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょうか。新たなブルワリーも誕生しています。今回旅した松山、大洲、今治で訪れたブルワリーの紹介をします。

・愛媛のブルワリー

DD4D BREWING & CLOTHING STORE

2019年に醸造を開始。形にとらわれないビアスタイルや様々な副原料を使用した個性的なビールで人気のブルワリーです。


もともとは1998年に松山で誕生したアパレルセレクトショップです。訪れた店舗には現在でも入り口側が洋服、奥がビールのスペース。この常識に捉われない発想力がビールのアイデアに活かされているんだなーと奥でビールを飲みながら思いました。ビールも店内も本当にカッコいい!

 

ガラス越しにタンクを眺められるオシャレな店内

店内奥からの景色。店内入り口に洋服が並びます

 

ちなみに「DD4D」とはアパレル創業当時からの由緒ある名前だそうです。
2021年には新工場DD4D FACTORY & CURIOSITIESが出来て、さらに自由で面白いビールにたくさん出会そうです。2月末までは冬季休業中で今回は伺えませんでしたが次回来訪時にはぜひリベンジしたいです。

道後麦酒館
醸造開始は1996年。愛媛県内そして日本国内でも老舗のブルワリーです。日本酒の蔵元でもある水口酒造(みなくちしゅぞう)が製造、販売をしています。

道後温泉だけでなく松山市内でも地ビールと言えばココ。松山空港をはじめお土産品店や飲食店のあちこちで道後温泉ビールのボトルを目にしました。
直営店内では地元の名物料理とビールを楽しめます。

ビールは蔵元直営店限定の「湯上がりIPA」

テイクアウトも可能で私が来店した夕方の時間にはビールを求めるお客様が次々と訪れていました。温泉上がりにビールを飲みながら街ブラなんてサイコーですね!
温泉で疲れを取り汗を流す、思いっきりビールを飲んで近くの温泉宿に泊まる。
旅だからこその贅沢な時間だと感じました。

GARYU BREWING
愛媛県大洲市。大洲城の城下町であるこの街で2022年に醸造を開始したブルワリーです。
もともと明治39年に建てられた赤レンガ倉庫をリノベーションし生まれ変わりました。1階がブルワリー、2階が洋館風のレストランです。近くに臥龍と名のつく名所があり、そこから名前はつけられました。地域でビール造りを根ざしたいという想いが感じられます。

2階のレストラン。アンティークな素敵な空間

 

醸造所とレストランの外観。煉瓦造りの趣きのある建物です

大洲盆地という夏暑く冬寒い気候に合わせて温度管理をしつつ工夫しながらビールを造っています。今後は大洲産のフルーツなどを使用したビールの醸造を目指しているそうです。
敷地内にはパン屋さんがありこちらで作られるパンは、臥龍醸造の製造過程でうまれるビール酵母を使用しています。馴染みの深いパンからビールへ興味の入り口になると素敵だなと思いました。臥龍醸造のレストラン内にパンを持ち込むことが出来、ビールとのペアリングも楽しめます。

左がパン屋さん、右が醸造所

今治街中麦酒
2020年10月に醸造開始。醸造歴はまだ浅いですが「ハレヒメ Hazy IPA」がインターナショナルビアカップ2021で金賞を受賞するなど実力は折り紙付きです。

商店街の通りからタンクが見えます。インパクトがありますね。

ビールは「はれひめHazy IPA」今治産はれひめ(みかん)を使用しています。

今治銀座という商店街の一角にブルワリーはあります。ガラス張りの店内はでふらっと立ち寄れる気軽さがあり美味しいおツマミも出来立てビールと一緒に楽しめます。

・愛媛のビールのこれから

今治街中麦酒を訪れた祝日の午後、銀座と名のつく商店街の中には人通りがほとんどありませんでした。最近は商店街が衰退しているという話を各地で聞きます。

今治街中麦酒でた所から見た商店街の様子

一商店街あたりの空き店舗率は全国平均で2006年が8.98% から2012年が14.62%と大きく落ち込み、その後2015年13.17% 、2022年が13.59%と横ばいで推移しているという調査結果があります。
同調査では商店街は店主の高齢化や店舗の老朽化とともに「集客力が高い・話題性のある店舗・業種が少ない又は無い」が問題点として挙げられています。
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2022/download/220408shoutengai01.pdf
令和3年度 商店街実態調査報告書

商店街の再生や活性化に街のビール醸造所・ビアバーが集客をする事で地域のコミュニティ作りのきっかけ作りも出来るでしょう。
今回訪れた中には愛媛県の種類豊富な柑橘系のフルーツを使用し、この土地ならではの特色を活かしているブルワリーもありました。フルーツの生産者と醸造所の地元ならではの繋がりから新たな店舗作りや業種が増やす事も出来るかもしれません。
また愛媛県内や近場のブルワリー同士で話題性のあるイベントをするのも楽しそうですね。

愛媛県内でも世界的に品質を評価されている「今治タオル」や日本最古の温泉と言われる「道後温泉」などはそのブランド力で人気を得ています。身近なブランドをお手本にしたりこの土地ならではの魅力作りで人々を惹きつけていくために出来る事はまだまだありそうです。
日本国内で増え続けているクラフトビールブルワリー。今回訪れたブルワリーを見つめ続け、さらに応援したいと思います。

本文内写真提供:全て筆者

・今回の旅の行程
【1日目】
松山空港〜松山市駅(高速バスで約20分)
DD4D(松山市駅より450m 徒歩約5分)
DD4D〜松山駅(1,2km 約徒歩20分)
松山駅〜今治駅(JRしおかぜ・いしづちで約30分)
今治駅〜今治街中麦酒(800m 徒歩約13分)
今治バスセンター〜松山市駅(約1時間20分)
【2日目】
松山市駅〜道後温泉駅(松山市電 路線番号3か5で 10停留所目)
旅館〜道後温泉麦酒本館(道後温泉駅からは250m 徒歩約4分)
【3日目】
道後温泉駅〜松山駅(松山市電 路線番号5 12停留目)
松山駅〜伊予大洲駅(宇和島海9号で約30分)
伊予大洲駅〜臥龍煉瓦倉庫 (市内循環バス ぐるりんおおず まちの駅あさもや下車バス停から約3分)
帰りの松山駅までは上記と逆の行程
松山駅〜松山空港(リムジンバスで約15分)

※ちなみに松山駅はJR、松山市駅は伊予鉄道と全く別の駅です。県外から行く方は間違えてない様にご注意下さい!

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

高橋朗子

ビアジャーナリスト/ディプロムビアソムリエ/JSA公認ワインエキスパート

横浜生まれ。
「ビールが好き!」「お酒が好き!」「人が好き!」
ビールが自分のコミュニケーションツール。
ビールから広がっていく知識や、人の輪。その楽しさを
たくさんの方々に伝えたいの思いからビアジャーナリストの世界へ。
自らも新しいビール・人の出会いを探しに各地飛び回る日々。

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