【レビュー記事】『違いがわかる酒クズのクラフトビール超批評47都道府県コンプリート版』を読んでみた。
「理論派」か「感覚派」か?
特に技術職に携わる方を解説するうえにおいて、よく使われる対比の一つだろう。
今回、株式会社G.B.(東京都千代田区)『違いがわかる酒クズのクラフトビール超批評47都道府県コンプリート版(今酒ハクノ著)』を読む機会をいただいたが、貴書は感覚的に読者にクラフトビールの魅力を訴える内容であった。
ちなみに私は生粋の「理論派」だ。根っこが理系というのもあるのだろうが、ビールの味わいの魅力を語る上で
- オフフレーバーの有無
- 鮮度や熟成の状態
- ビアスタイルとしての正確性
- 上記外の特徴や醸造家の理想とした味わいの再現度
などの観点から、バックボーンも考慮したうえで目の前のビールの魅力はどこかを探り、発信している。「ビアジャッジ」として国際ビール審査会でも審査している都合上、やはりそういう観点からビールの味わいを紐解いていく場合が多い。
それ故に、『違いがわかる酒クズのクラフトビール超批評47都道府県コンプリート版』を読んだ印象としては「自分にはない表現をしている」というところに尽きる。
同書の詳細は下記の通りだ。
YouTubeチャンネル登録者数13万超の大人気VTuber今酒ハクノ、待望の初書籍!
全国650以上のブルワリーから60本を厳選!お酒レビューで多数のフォロワーを獲得している今酒ハクノが、膨大にある国産クラフトビールのなかから47都道府県を網羅する形で60本を厳選。初心者にもおすすめの飲みやすいものから、通好みのクセの強いものまで、動画でおなじみの独特の語り口で一挙に紹介します。
また、本書ではブルワリーの公式オンラインショップ等で販売されているクラフトビールだけを選んで紹介。レビューを読んで「実際に飲んでみたい!」と思ったら、47都道府県のどこに住んでいても入手できます。
(Amazon.jpより抜粋)
正直、人によって同書の表現への好き嫌いはあると思われる。
サブカル(と一言でまとめてよいのか微妙であるが)を中心とした言語や固有名詞、それを説明する注釈も非常に多い。
だからこそ知っている読者からすると、言語のイメージから共感しやすい語り口調となっているのかもしれない(著者の引き出しの広さは拝見していて面白い)。
味わいの表現については銘柄毎に簡単な味覚チャートが紹介されているが、数量的な表現よりは「舌の上でドッと広がる」「ややきゅっとくる酸味」といった一般消費者に近い感覚的な表現が多めである。普段クラフトビールに触れていない人にとっては、味わいの方向性をつかむには逆にこれくらいの方がストンと頭に入りやすいだろう。
クラフトビールをがっつり学ぶというよりは、(まさにYouTubeを見ているような感覚で)エンタメを楽しんでいる傍ら、クラフトビールにも興味を抱かせるようなカジュアルな内容に仕上がっていると思う。
小難しい話は置いておいて、「なんかクラフトビールって楽しそう」という”感覚”を持っていただけるのではないであろうか。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。