[テイスティング,ビアバー,ブルワー]2023.5.30

【ビールを通して感じる韓国⑦】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(3) 時間をかけても行きたい!プレイグラウンドブルワリー(PLAYGROUNG BREWERY)@高陽市

*記事の最後に2024.5 の追記があります

これまで下記の記事で、2023年4月に現地で確認してきたことを中心に、ソウルにあるクラフトビールのお店を紹介してきました。

【ビールを通して感じる韓国⑤】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(1) 韓国伝統家屋が並ぶ益善洞へ

【ビールを通して感じる韓国⑥】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(2) アメイジングブルーイング(AMAZIING BREWING)@聖水洞

今回紹介するのは、ソウルの北西に隣接する高陽市(고양시・Goyang-si)にある「プレイグラウンドブルワリー」です。
「韓国で一番好きなビールは?」とか「韓国で一番美味しいと思うビールは?」と聞かれるとひとつだけ選ぶのはとても難しいですが、ソウル・金浦空港に到着して私がまず最初に飲みたいと思うビールならば、プレイグラウンドブルワリーのビールをあげると思います。
韓国の方のレビューでも「交通の便が…」と書かれているような、観光客はなかなか行きにくい場所にありますが、それでも行く価値があると私は感じています。行き方のヒントも載せておきますので、ソウルやその近郊で時間の余裕があるときには参考にして、ぜひ訪問していただきたいと思います。

プレイグラウンドブルワリー(PLAYGROUND BREWERY)へ

プレイグラウンドブルワリーは、2015年に高陽市の一山西区に設立されたブルワリーです。
プレイグラウンド(遊び場)という名前には、「ビールをひと口飲むだけで私たち皆が子どもの頃に感じていた幸せな気分に戻ることができる」という希望が込められています。
現在のキャッチフレーズは、”Drink Better, Play Better”。常に誠実に信頼性の高い美味しいビールを造り、飲み手がビールの体験を通じて新しい遊びを見つけることができるように…いう意味だそうです。

高陽市(고양시・Goyang-si)とは
高陽市は、韓国の京畿道中西部にある市で、ソウル特別市の北西に隣接。ソウルの玄関口でもある金浦空港から見ると、漢江を挟んだ北側になります。
かつては農村地帯でしたが、最近では都市化が進み、ソウル近郊のベッドタウンとしての性格も非常に強くなってきています。

地下鉄3号線大化駅(대화역)近くの風景

タップルームには2018年に3回訪問していますが、前回訪問してから4年以上開いてしまっての再訪です。タップルームの営業が続いていることだけは確認していましたが、どう変わっているのか、それとも変わっていないのかドキドキしながら向かいました。

まずは金浦空港から直接訪問

今回、最初は日本からソウル・金浦空港に到着したその足でタクシーで向かいました。
到着してまず目に入ったのは、以前と変わらないこの建物。ただし、以前は写真の右側に醸造スぺース、左側の部分がタップルームになっていましたが、タップルームは同じ敷地内の別の建物に移転していました。


現在のタップルームの新しい建物。入り口を入ると手前ではテイクアウト用に缶が売られていて、その奥が広々としたタップルームになっていました。
営業時間は12:00~22:00。ただし15:00~17:00は休憩時間になっているので注意が必要です。月曜日は定休日です。


到着したのは平日の13:00近く。先客が何組かいらっしゃいました。席はざっと60席。以前と比べると増えていて、スペースもゆったりとしています。

自社製ビールのレギュラーのラインナップが9タップと、シーズナルが2タップつながっていました。

この日飲んだビールは3種類。まずはMadam Rasberry Ale(アルコール度数5.6%・IBU10)。パイントサイズで6800ウォン(約680円)でした。ラズベリーがビールの味わいを損ねない程度で非常にバランスガよくて、それでいて飲みやすいビールです。

続いて飲んだのはJoker Pale Ale(アルコール度数5.6%・IBU28)とシーズナルのフルーツエール(アルコール度数5.0%・IBU10)で、いずれも6300ウォン(約630円)でした。


パスタ、ハンバーガーやエスニック料理など食事メニューも豊富。この日は飛行機で機内食を食べてからあまり時間が経っていなかったので、一番軽そうに見えたタコス(12000ウォン・約1200円)を注文してみました。

プレイグラウンドブルワリーをお勧めする理由

ここまで書いてきたことと重なる部分もありますが、私がプレイグラウンドブルワリーをお勧めする理由をあげたいと思います。

◎ビールはもちろん料理も美味しい
味わいがありバランスがいいビールが多く、好きなタイプはもちろん、ちょっと苦手なタイプのビールも頼んでみようかなという気になります。お値段もお手頃。
お料理も韓国料理こそありませんが、種類が豊富で美味しいです。

◎昼から飲むことができる
開店が12:00なので、昼から飲むことが可能です。平日のランチタイムにはお得なセットもあり、3種類の食事と3種類のビールからひとつずつ選べて14900ウォン(約1490円)です。

◎スタッフが素晴らしい
以前と変わらずフロアのスタッフの方が感じがよく、注文も素早くしっかりと受けてくれます。
そして今回たまたま醸造の方にもお会いしたのですが、何と4年前に来た私のことを覚えていてくれていました。こういうことがあると嬉しくてまたぜひ行こうと思います。(まあ、スーツケースを持ったまま日本人がひとりでくることが、よほど珍しくて印象に残ったのだとは思いますが…)

◎缶のビールも豊富
タップルームの入り口にはテイクアウト用のビールが数多く並んでいます。

1缶3500ウォン(約350円)から購入でき、さらにまとめ買いをすると安くなることもあります。缶のデザインも韓国風。要冷蔵ですし日本に持ち込める量には限りがありますが、ビール好きな大切な方へのお土産にもピッタリだと思います。

そしてビールとは直接関係はありませんが、タップルーム裏の畑が広がる風景も、個人的にはお勧めポイントのひとつです。何だかほっとするのは私だけでしょうか?(今回、まだ緑が見えていなかったのは残念でしたが…)

どうやって行けばいいのか?

ここへ行くネックになるのは、何と言ってもソウル中心部から離れていて、列車や地下鉄の駅からも歩ける距離ではないことです。今まで私が使った方法を参考までに載せておきます。

金浦空港からタクシーを使う

プレイグラウンドブルワリーは高速道路の脇にあり、金浦空港からタクシーに乗って順調に行けば約20分、20000ウォン(約2000円)程度で着きます。荷物を持って動くにしてもそれほど不便ではないように感じますが、これがなかなか一筋縄ではいきません。
空港からのタクシーはほとんどがソウル中心部のホテルへ行くことを想定しているようで、私は数回トライしていますが、順調に着けたのは半分ほど。今回も乗せてはもらえましたが英語の住所表記と地図では行き先がちゃんとわかっていなかったらしく、高陽市の中心部までは行ったものの「ここで待っていれば地元のタクシーがくるから…」とスーツケースごと降ろされ、自力で次のタクシーを停めることになりました。(私が停めた次のタクシーの運転手さんはいい人でよかったです…)
どうしてもタクシーを使うなら、英語ではなくハングルで書かれた住所は必要かもしれません。ハングル版を示しても老眼の運転手さんが苦労していたことがあるので、字は大きめで。

ソウル中心部へ地下鉄で向かう

今までは、タップルームからの帰りはタクシーを呼んでもらって地下鉄3号線の終点大化駅まで行っていましたが、今回駅に向かうバスの存在を教えてもらいました。
ブルワリーを出てまっすぐの道を数分歩くとバス停があり、始発であり終点でもあるので乗り降りしやすいです。ちゃんと時刻表も貼ってありますし、タップルームでも時刻は教えてもらえます。だいたい1時間に1~2本程度あり、大化駅までは15分程度で着きます。

大化駅とソウル中心部は、地下鉄で1時間~1時間半ぐらいはかかってしまいますが、このバスの反対方向を使えば、大化駅からはタップルームへ意外と簡単に行くことができます。それを2回目の訪問で実証してきました。

地下鉄とバスで再度行ってみる

2回目の訪問は帰国当日。荷物はソウル市内のホテルに預け、地下鉄3号線とバスを利用してみました。
大化駅の5番出口を出るとバス乗り場があります。乗るのは56番のバス。いろいろな方面へバスが出ているのにプラスして、56番バスは3種類あるので注意が必要です。


今回泊まっていたホテルからは2時間弱かかって、プレイグラウンドブルワリーのタップルームに到着しました。

この日は、まずランチセットからパスタとLight Best Lagerを選びました。Light Best Lagerという名称ですが、確かに味わいはやや軽めに感じましたが、アルコール度数は4.8%、IBU18となっていました。


続いて頼んだのは、Hazy Session IPA(アルコール度数4.9%・IBU8)。苦みは弱いものの、ホップがほどよく感じられるビールでした。

最後は、アルコール度数5.7%、IBU26のWitch Chocolate Stout。しっかりとした味わいながら、チョコレートスタウトとしては飲みやすく感じました。

行きにくいことは否定できませんが、到着した先には美味しいビールと料理、のどかな風景と素敵なスタッフが待っています。苦労して移動するのも旅の楽しみだと思える方、街中から離れたところへ行ってビールを飲んでみたい方に特にお勧めです。機会があれば、ぜひ一度訪問してみてくださいね。

◎プレイグラウンドブルワリー所在地:경기도 고양시 일산서구 이산포길 246-11(246-11, Isanpo-gil, Ilsanseo-gu, Goyang-si, Gyeonggi-do)

*参考文献:「CRAFT BEER KOREA(KOREAN CRAFT BREWERY GUIDE BOOK 2018)」BEER POST PUBLISHING
*10ウォンを約1円として換算しています

【2024.5 追記】
2023年秋にこちらのタップルームは閉店になり、新たな場所に移転しています。
新しいタップルームについては、

【ビールを通じて感じる韓国㉓】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(9) プレイグラウンドブルワリー(PLAYGROUND BREWERY)の新しいタップルームでビール!@高陽市(2024.5.30)

で紹介しています。

プレイグラウンドブルワリー大化駅韓国クラフトビール高陽市

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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