【東北で出会うビールの世界⑩】今、青森市のビールが楽しい!(前編) 先月オープンした浅虫温泉の蛍火醸造(KEIKA BREWING)へ行ってきました
「青森県」と聞くとまず連想するのがりんごという方も多いのではないでしょうか?
都道府県別のりんごの生産量ランキングでは、毎年青森県が全国生産量の半分以上を占めており、2位の長野県の3倍以上の生産量を誇っています。
そのため、お土産コーナーのお酒で目立つのはりんごを使ったシードル。また豊富な雪解け水や湧き水を使った日本酒にも、素晴らしいものが多くあります。
青森県のクラフトビールは、そんなシードルや日本酒にやや押され気味ではないか…とこれまでは感じることもありました。ところが今年に入ってからは、青森市でのクラフトビールのとても気になる話題がいくつか入ってきました。
青森市について
青森市は、青森県のほぼ中央に位置する県庁所在地です。人口は青森県の中では一番多く人口約26万5000人、面積はむつ市に次ぐ2番目の大きさです。青森湾に臨む交通の要地で、江戸時代より本州と北海道を繋ぐ交通と物流の要衝として発展しました、
日本を代表する青森ねぶた祭や、世界遺産に登録された三内丸山遺跡をはじめとした縄文遺跡群などが知られています。また、八甲田連峰や陸奥湾などの美しい自然に囲まれ、四季折々の景観や豊富な食材にも恵まれています。
夏は短く、冬は長く多くの雪が降ります。この人口規模の都市としては、世界でも有数の豪雪都市といわれています。
少し前は、青森市内ではクラフトビールを飲めるところがあまり見つからないという経験もしましたが、今年に入ってから気になるお店が誕生したので、先月下旬に訪問してきました。
まず今回紹介するのは、青森市の浅虫温泉に先月17日に開店したばかりの蛍火醸造(KEIKA BREWING)です。
浅虫温泉とは?
浅虫温泉は1200年以上の歴史があり、古くから青森の温泉地として知られ、レジャー施設も兼ね備えた観光地として賑わってきました。
青森県としては割合に冬の寒さは穏やか。情緒ある温泉の風情を感じられるだけでなく、四季を通じてレジャーが可能で海も山も温泉も一度に楽しめる湯の町です。
青森駅からならば、青い森鉄道や車で約30分とアクセスも良好です。八戸駅からだと青い森鉄道で約1時間10分です。
蛍火醸造(KEIKA BREWING)へ
最寄り駅の青い森鉄道の浅虫温泉駅から徒歩2分ほどの場所に蛍火醸造はあります。
訪問したときは開店してから数日しか経っていなかったので、まだ花輪が目立っていました。
店内はカウンター8席、テーブル4席とこじんまりとしています。カウンター席からは隣の醸造設備も見えます。
かつて銀行だったこともある空き店舗をリノベーションしたということで、奥にあるテーブル席は元金庫スペース。とてもいい雰囲気です。
「青森の食に合うビールを造りたい」と蛍火醸造を立ち上げた丸山さんは、花火の打ち上げなどの事業を手がける花火師でもあります。
遠野醸造(岩手県遠野市)などで修業をしたあと、花火大会の仕事で縁があった浅虫温泉を開業場所として選びました。醸造免許が下りるまで1年近くを費やし、予定より遅れてようやく先月開業できたとのことです。
「まだ失敗も多いがビール造りは本当に楽しい」と生き生きと話してくれました。
ビールを飲んでみた
この日つながっていたのは、3種類のオリジナルビールとキリン一番搾りプレミアム。私は、オリジナルビールをそれぞれ味わってきました。
まずは、フラッグシップビールの蛍火(keika)です。スタイルはペールエール。
アルコール度数:5.5% 。苦みはしっかり感じられますが、それでいて飲みやすくもある美味しいビールでした。
続いては、スタウトのAICO(アイコ)。
アルコール度数5.2%。ロースト麦芽の苦味やコクはあるのにドライな口当たり。その名のとおりアイスコーヒーのようにするする飲めてしまいました。普段黒ビールを飲まないという方にも、一度飲んでみてもらいたいビールです。
最後はSim Sim(シムシム)。スタイルは、SMaSH(Single Malt and Single Hop) IPAです。
アルコール度数5.8%。シムコーという単一のホップと、単一の麦芽で醸造したIPAで、アロマをしっかりと感じられるビールでした。
残念ながら、この日はゴールデンエールの残光(zankou)はまだ仕込み中。また違う時期に訪問て飲みたいと思います。
軽いおつまみも地元のものが中心。私は県産ヒラメの生ハム(700円)を注文しました。ほかにも、ハチノスのトリッパ、県産サーモンのりゅうきゅう、よっぱらいパンなど、気になるメニューが並んでいました。
店内で飲む以外にも、持ち帰りも可能。瓶ビール(訪問時にはひとり1本限定で1種類のみ)の購入のほか量り売りにも対応してもらえますので、お手持ちのグラウラーを持って行ってみるのもいいと思います。オリジナルのグラウラーの販売もあります。
今回は日帰りでの訪問でしたが、次回は旅館に泊まって食事の前や後にふらっと立ち寄るのもよさそうです。ビールと温泉…いろいろ可能性を秘めた素敵な組み合わせだと思います。
◎蛍火醸造
所在地:青森県青森市浅虫蛍谷64−15
営業時間:12:00~20:00(L.O 19:30)
定休日:月曜日
交通:青い森鉄道線浅虫温泉駅徒歩2分、あるいは車で青森市街から国道4号で約30分
浅虫温泉駅周辺のレジャー
浅虫温泉駅周辺には、多くの温泉旅館はもちろんのこと、何軒かのカフェ、道の駅、水族館、公園などもあるので、観光も楽しむことができます。いくつか紹介します。
◎浅虫温泉駅の広場の足湯
浅虫温泉駅を出ると目の前の広場の一角に足湯があります。電車待ちの際にビール片手に…もいいかもしれません。お湯はかなり熱めでした。
・営業時間
4月~10月 7:00~19:30
11月~3月 8:00~19:30
◎道の駅浅虫温泉 ゆ~さ浅虫
海岸線を走る国道4号線沿いにある「道の駅浅虫温泉 ゆ~さ浅虫」の最上階(5階)には展望浴場があります。陸奥湾や湯の島の絶景を眺めながら温泉を楽しむことができ、入浴料も大人が360円とリーズナブルです。
・営業時間
7:00~21:00(最終入館20:30)
◎県営浅虫水族館
県営浅虫水族館は、浅虫温泉駅から徒歩約10分ほどで行ける本州最北端の水族館です。陸奥湾の海を再現した長さ15mのトンネル水槽、ペンギンやアザラシなどが水中で泳ぎまわる姿を間近で見ることが出来る海獣館のほか、イルカパフォーマンスも開催されています。
・営業時間
9:00~17:00(最終入館16:30)
浅虫温泉は、海も山も近く、温泉も楽しめる場所です。ビールを飲むのはもちろん、それ以外に何を楽しむか…自分なりのスタイルを見つけてみてはどうでしょうか?
*後編では、日本ではまだ珍しい量り飲みのスタイルに変わったAomori Brew Pubを紹介したいと思います。
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