[イベント,ビアバー,ブルワー]2023.7.22

ビールでつながるローカルカルチャー ~磐田市TYU×秋田市BREWCCOLYの絆

今から約1年前。2022年の夏、JR磐田駅前で飲んだ1杯のフルーツエール。

音楽が鳴り響く駅前広場。にぎやかに並ぶカレーやホットドッグの屋台。

コロナ禍でマスクをした人が、ビールを片手に「そっ」とそれを外す。

 

醸造家とイベント主催者が、ビール片手に談笑している風景。

夕暮れ時の心地よい空気。妙に絵になる2人。味覚だけでなく、視覚や聴覚、全身で味わうビール。

マグネティックダブ~磁力をもつ飲み物~

そのフルーツエールは、静岡県磐田市にある(ヘアカットもできる)クラフトビアバー『TYU』の5周年を記念してつくられたビールです。

醸造を行ったのは、秋田県秋田市にあるブルワリー『BREWCCOLY』で、ビールの名前は『マグネティックダブ』

「一体どんな流れでこのビールが生まれたのだろうか?」

TYUオーナー後藤さんとBREWCCOLY醸造長の筒井さん、お2人に話を聞きました。

BREWCCOLYに周年ビールを依頼したワケ

-Q.オリジナルビールづくりの経緯を教えて下さい

 

 TYU後藤:

自身が経営するビアバーの5周年記念に、『縁』を大事にしたオリジナルビールをつくりたいと思いました。

日頃から、職人の血の通ったクラフトビールをリスペクトしているので、血液を連想させる赤い果汁『国産ブラッドオレンジ』を使ったビールをつくりたいと!

原材料と同時に、つくり手としてアタマに浮かんだのが、秋田市の『BREWCCOLY』筒井さんでした。

 

こだわりの方向性や、カッコいい(ダサい)と思っているものが似ていて、つくるビールにそれがしっかり表れているのがお願いした1番の理由だと思います!

 

年齢が同じだったり、何かと共通点があるのですが、凄くこだわりの強い人だということも理解していたので、正直オリジナルビールを依頼するときは緊張しました。(結果、快諾してくださり!嬉しい限り)

-Q.ビールのネーミングやラベルはスムーズに決まりましたか?

 

 TYU後藤:

ラベルデザインは、秋田在住のjutaくんというアーティストにお願いしました。

 

名前は、なかなか決まらず大変でした。

思い入れが強くて、ハンパな名前にしたくなかったので・・・。

 

ビールは人を繋ぐもの、気持ちのあう仲間と強く繋がるビール。磁力のように、反発もするし、引かれ合う。

 

聴いてきた音楽のルーツや、カルチャーの好みを擦り合わせていきながら、最終的に『マグネティックダブ』という名前になりました!

TYUからのビール醸造依頼を受けたワケ

-Q.オリジナルビールづくりの経緯を教えて下さい

 

 BREWCCOLY筒井:

うちは小さい醸造所ゆえ、流通量が限られています。従って、取引を開始するにあたり慎重にならざるを得ません。

もっと言ってしまえば理由やストーリーみたいなものを重視しています。(どんな関係性でビールを扱ってもらうのかは僕にとって大切なことです。)

 

後藤さんは同い年で、自らも事業を興し、同じく地方をベースとして活動している。自然と打ちとける感じでお付き合いが始まりました。

 

うちのビールを気に入ってもらえている空気がヒシヒシと伝わってくるし、好みも似ていたのかもしれません。そんなことを思っていた時に今回のオリジナルビールの依頼を受けたんです。

 

このオファーはすごく嬉しくて、即答でやらせてほしいとお返事しましたね。

-Q.ビールづくりは順調に進みましたか?

 

 BREWCCOLY筒井:

レシピのポイントは、ブラッドオレンジの甘さや果実感をどう残していけるか。

香りの面では仕込みの終盤、麦汁の煮沸時に乾燥させたオレンジの皮を一緒に煮込むことで香りを乗せようと考えました。

TYUスタッフさんと一緒にビールを完成させたいと思い、事前に磐田市でブラッドオレンジをピューレ状に加工してもらうことに。

「仕込み当日は、直接ピューレを持って秋田に行きたい!」と後藤さんから連絡があり、本当の意味でのコラボブリューが実現したわけです。

仕込みだけでなく、僕らのローカルを知ってもらう良い機会にもなる嬉しい申し出でした。

5周年。飲んでいるヒトの表情が見たかった

-Q.5周年イベントを終えての感想を聞かせて下さい

 

 TYU後藤:

成したなと!笑

とにかく感謝を伝える場にしたかったので、たくさんお客様が来てくれてよかったです。

 

TYUは苦しくてもやる意味がある店だと信じ続け、共感してくれている仲間もたくさんできた5年間でした。

その結果が駅前広場の風景として広がった瞬間は、本当に感動的でした。

 

 BREWCCOLY筒井:

仕込みのタイミングで秋田まで足を運んでくれた後藤さんの想いに応えたくて、イベント当日、磐田市へと向かいました。

『マグネティックダブ』を飲んでいる人たちの表情を見てみたかったし、見届ける責任が自分にはあると思ったんです。

秋田とは質の違う陽射しの下、ビールが飲み干されていく光景にパワーを感じました。

そのパワーを生み出す仕組みをつくっているのが後藤さんなんだなと気づくと同時に、地方で活動する身として、これだけのムーブメントを起こせることに刺激を受けました。

 

地方で暮らす僕らが、足元にあるモノや街に胸を張れるということが、ローカルを面白くしていくことになるんだと感じています。

クラフトビールシーンにおいても同じ。それが結果的に外から目を向けてもらうことに繋がる。

個人的な感想ですが、磐田の人たちは自然にそれができていたんじゃないかと思います。

 

日も暮れてイベントも終盤にさしかかる頃、良い感じに酔った頭で、TYUに集まる人たちが自分達の街を本当に好きなんだなぁと思いながら眺めていた記憶があります。

6周年。等身大で面白いコトをかさねて

5周年イベント終了後も、タップテイクオーバー企画など、磐田・秋田間の親交は続きます。

そして、季節がめぐり2023年8月5日。磐田駅前広場で再び、TYU6周年イベントの開催が決まりました。

 

【TYU 6th anniversary-wakeau siyawase-】

2023.8.5 16:00~21:00 at磐田駅前北口広場
 ~ FOOD& DRINK ~
 ホルモン満月/epina/DAN/coffee echoU/philllll/街角レモンサワー/チャイ姉さん/ONE HAND STAND/TYU
 ~ LIVE&DJ ~
 ISSY/da-ishi/YAGI a.k.a MMA/THEアップヘッターズ/斉藤ネヲンサイン/ジリリタ/大石裕美/matatapia/
 (順不同・変更可能性アリ)

 

前作『マグネティックダブ』とは異なる、新たなオリジナルビールを、BREWCCOLY×TYUのタッグで仕込んでいると言います。

今年は原料に、秋田県と静岡県それぞれで採れたホップを使用。名前は『fu-sen beer』です

 

気になる味は、イベント当日のお楽しみ!

「去年、磁力でくっついた縁。幸せの種が、風船みたいに膨らんで空まで飛んでいけー!」

と新作ビールのイメージを話してくれました。

 

■BREWCCOLY.BEER(ブリュッコリー)
秋田県 秋田市中通3ー4ー27
https://www.instagram.com/brewccoly_tomonari/

■TYU GOOD BEER NICE HAIR(ツゥ)
静岡県磐田市中泉219−10
https://www.instagram.com/tyu_beer/

BREWCCOLYTYU

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

ジャンク板村

ビアジャーナリスト

静岡県在住、広末・松坂世代の髭眼鏡ビアライター。

海外を旅して飲んだビールは数知れず。
アウトドアやフェスで飲む太陽の下でのビールが何よりの好物。
舌は大雑把だが、味以外の魅力を伝える記事と写真で
美味しくビールを傾ける。

好きなビール映画は「ショーシャンクの空に」
好きなビールソングは「夜の盗賊団/ブルーハーツ」

ストップ!20歳未満者の飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。
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