[イベント]2011.1.17

「ビールで痛風になる」は迷信だ!

私の知り合いで「私は通風なんでビールは飲まないんですよ」という人がいる。
酒好きの彼はいつも日本酒や焼酎、ワインばかり飲んでいる。たまに私が宴もたけなわになった頃「旨いからこのビール、ちょっと飲んでみてよ」と薦めると、渋々一口飲み、数分後に「あぁ、足の親指が痛くなってきた。やっぱビールはダメだ」とビール以外の酒を飲み続けている。

通風は尿酸値が高くなることによっておこる関節炎であるが、なぜかビールが悪者扱いされている。
はたして本当にビールを飲めば通風になったり通風がひどくなるのだろうか?

今回も前回同様、医学博士宍倉朋胤氏にお話を伺った。
「尿酸はDNAの構成成分であるプリン体の代謝産物です。すべての細胞に1個ずつふくまれていますので、すべての生物が持っており、ほとんどの食物に含まれています。悪者にされているビールに含まれるプリン体は500ミリリットルあたり約25ミリグラムで、食品にすると少ない部類に入ります。御飯一合は50ミリグラム、イワシ1匹(約100グラム)は210ミリグラムのプリン体を含んでいます」
ビールはそんなに多いほうではないわけだ。

「細胞1つ当たりに含まれるプリン体の量はほぼ等しいため鶏卵1個も鱈の卵1粒もプリン体は同じです。タラコや明太子は鶏卵何万個に匹敵するプリン体が含まれていることになります。干物は水分が取り除かれているため重量当たりの細胞数も多くなり見かけより遙かにプリン体が多くなります」
ビール以上にスゴイんですね!

「しかし、もともと尿酸の約8割は体内細胞のプリン体から合成されるもので、食品から摂取されるものは2割程度にしか過ぎません。調節期間が正常であればプリン体を多少多めにとっても問題はありません。尿酸値が高くなる原因はストレス、激しい運動、肥満、アルコールの過剰摂取などがあげられます」
食べ物や飲み物は20%程度の要因ということだ。ビールを飲んですぐに足が痛くなっるなんて考えられないわけだ。それは、一種の催眠術のようなもので思いこみに過ぎない。
尿酸値を下げるためには、利尿効果を高めることも必要とのデータもあり、ビールは他のお酒よりもアドバンテージがある。アルコール度数も低いしね。

宍倉先生曰く「バランスのとれた生活を送ることが一番でしょう」と。

なるほどぉ。ビールを言い訳にしてはイカンということだ。(と今回も自戒)

The Beer & Pub vol.1 『Dr.宍倉の「ビールで健康」』を再構成して掲載。

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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