伝統や流行は気にしない。「BAK」はおもしろいビールやおもてなしで目の前の人を全力で楽しませる
現在、大阪市に「BAK」の屋号で4店舗の飲食店を展開している株式会社JCTN。2018年からは北浜エリアの「BAK BREWERY」でビール醸造・販売を開始しています。2022年には醸造規模を拡大するため、堀江エリアの「BAK HORIE Brewing Studio」にブルワリーを移転。これまでの1回の最大仕込み量300Lから800Lに増量しています。
勢いのある「BAK」はどんなブルワリーなのでしょうか。代表取締役の川本祐嗣さんに話を聞きました。
目次
ビールを飲んで悪いことは忘れて楽しい時間を共有できる場所を提供したい
「BAK」は、大阪市内で飲食店を経営している川本さんが、大好きな「ドラフトギネス」や海外ビール、そして、人気が高まっているクラフトビールを提供している中で「提供しているだけでは面白くない」と思うようになったことが始まりです。
何をしたらもっと楽しくなるのか。来店する人を喜ばせられるのか。川本さんが辿り着いた答えは、「今までにないビールを自分達で造って提供した方が楽しい」とブルワリーを立ち上げることでした。
ブランド名の「BAK」は、漢字だとけものへんに麦と書きます。「これは創作漢字ですね。麦はビールの原料。そしてけものへんは幻獣の獏からとっています」。
悪夢を食べてくれると言う獏。「ビールを飲んで悪いことは忘れよう」との思いを込めてつくったという川本さん。
醸造開始当初は、ブルワリー設備を併設した「BAK BREWERY」と元々あった飲食店を改装した「BAK 堂島 JCT.」の2か所で提供。その後、2020年2月にグランフロント大阪の「BAK UMEKITA」をオープン後に消費量が増加したことで川本さんは醸造規模を拡大することを決意します。
「緊急事態宣言明けに一気に需要が増したことで生産量が追いつかなくなってしまいました。しばらくの間は、OEM(Original Equipment Manufacturing 委託醸造)で対応していましたが、自社醸造のビールを提供できないのは良くないと資金面や場所探しが大変でしたけどブルワリーを拡大、移転することにしました」
現在、醸造は堀江エリアにオープンした「BAK HORIE Brewing Studio」で行っています。
ひたむきにおいしくて面白いビールを造るブルワリー
「BAK」のビールコンセプトは、「ビールの伝統や主流なんか気にしない。ひたむきに、おもしろいビールをつくる。それでいて、おいしくて、はちゃめちゃに楽しいビールをつくる」です。
川本さんは、どんな思いでコンセプトを考えたのでしょうか。
「クラフトビールにはニッチな世界観があると思っています。でも、その感じが広まっていないなと感じています。日常的にクラフトビールを飲まない人達に、『こんなにも面白くておいしいビールがあるのか』ということを『BAK』のビールを通じて知ってほしいと思って考えました」
お店に飲みに来て、「これ、おいしいから飲んでみて」と、みんなで共感し合えるカジュアルさがクラフトビールの魅力だと川本さん。
そのため、「苦渋(IPA)」以外は定番ビールを設けていません。
「ありきたりな感じにはしたくないので、楽しさや面白さ、奥深さを感じられるビールを造っています。ビアスタイルは意識しないでフリースタイルでやっています。だからと言って適当に造っているわけではありません。オフフレーバーを出さないのは当たり前で、クリーンなビールに副原料を合わせておいしさを追求しています」
個性的な面に意識が向きがちだが、おいしさを求めたうえで楽しさや面白さを打ち出しています。
BAKの思いに共感できる人と一緒に広めていきたい
自社醸造を始めて6年目。醸造規模を拡大し、コロナ禍を超えて順調に成長しているように感じます。実際にはどうなのでしょうか。
「今は醸造から店舗運営まで、すべての事に関わっています。やっぱり1人ではできることが限られてきます。醸造だけではなく、飲食部門をはじめ、『BAK』の考えに共感してくれる方と一緒にもっと面白いことをやっていきたいです」
特に醸造は川本さんの思い描くビールだけではなく、一緒に歩んでくれる人の思いを掛け合わせて、飲む人をもっと喜ばせる環境を築いていきたいと言います。
規模を大きくしていくと1人では手が足りなくなる。だからと言って人がいればいいわけではありません。同じ志をもつ人が集まらなければ目指す方向へ歩むことは難しくなります。どのようにしたら自分達に共感してくれる人を集められるのかが今後の課題だと川本さんは話します。
最後にこれからのことを聞いてみました。
「地元以外の地域の人達にも知ってもらいたいと考えていて、外販を始めました。それとご縁があれば大阪以外の地域に出店をしてみたいです。ただ、今までとは違う販売の仕方なので慎重に進めています」
日本全国、様々な人達に「BAK」を知ってほしい思いをもちつつも、SNSや広告、インフルエンサーを使って一気に認知を広げるのではなく、お店に来店してくれる人達に対して、丁寧に接して「また来たい」「また飲みたい」と思ってもらい、地道にファンを増やして広めたいと語ります。
「『BAK』のビールをしっかりコミュニケーションをとって飲んで喜んでもらえるようにする。私達を応援してくれる人達が新しい人を招き入れてくれる。そう考えています」
「BAK」をスタートして5年が経ち、ファンも付いてきていると言います。
「リピートのお客様の多くが1店舗だけではなく4店舗を巡ってくださいます。提供する料理は違えどビールは同じなのに。本当にありがたく、感謝しています」
今回、話を聞いて感じたのが「目の前の人を全力で楽しませたい」という思いでした。将来は、「大阪以外の地域で店舗の運営や海外への輸出もやってみたい」と夢を話してくれ、これからどんな展開を見せてくれるのか楽しみです。
大阪をはじめ関西エリアのビールファンはもちろん、遠方のビールファンも大阪に行った際には「BAK」でビールを楽しんでみてください。
★お知らせ
株式会社JCTNでは、「BAK」の考えに共感して一緒に働いてくれる人材を募集しています。詳しい内容は以下のリンクから確認してください。
株式会社JCTN「BAK」
BAK HORIE Brewing Studio
住所:⼤阪市⻄区北堀江2-7-1
電話:なし
営業時間:15:00~21:00
定休⽇:不定休
BAK UMEKITA
住所:大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪 北館6F
電話:06-4256-6678
営業時間:11:00~23:30
定休⽇:不定休(施設に準ずる)
BAK 堂島 JCT.
住所:大阪市北区曾根崎新地2-5-32
電話:06-7494-9157
営業時間:月~金曜日 17:00~24:00 土曜日・祝日 15:00~22:00
定休日:日曜日
BAK BREWERY
住所:大阪市中央区高麗橋1-1-3 桝千ビルB1
電話:06-4256-2955
営業時間:火~⼟曜⽇ 18:00~25:00
定休⽇:日曜日、月曜⽇
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